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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第十話 似た者親子

フレデリックが去った後、バロンと待合室を出たマイクが鉢合わせになった。


「お祖父様!」


「バロン。今、学園の帰りか?」


「はい。そんな事より、フリーデン公爵が性懲りもなく母上に会いに来ましたよ!」


「知っている。私が対応したからな」


「あいつ、まだ母上の事諦めてませんよ。しっかり言ってやったのですか?!」


「ああ、言ってやったとも。だがフリーデン公爵は堪えてなかった」


「駄目じゃないですか。しっかりしてください、お祖父様!」


「分かっている。ところでフリーデン公爵は、他に何か言ってなかったか?」


「女の幸せがどうとか。お義父さんと呼べとか、言ってました」


「そうか。子供にそんな事を・・・・・」


こうは言ったが、《独立》の言葉が出なかった事に安堵した。

国の一大事を、子供に聞かせるべきではないと思ったのだ。


この後二人して、ユミナの部屋へ向かった。



「母上、只今帰りました!」


「バロン、お帰りなさい。お父様も一緒だったのね」


「下で、偶然会った」


「母上。質問があるのですが、聞いても宜しいですか?」


「ええ、良いわよ」


「母上は、今幸せですか?」


「えっ、ええ。幸せよ」


「それは、《女性》としての幸せですか?」


「女性として? バロン、突然何を言い出すの?!」


思いもしなかった問いに、ユミナは驚いた。



「此方に来る前、フリーデン公爵に言われたのです。僕のせいで母上は、『女の幸せを得られない』と」


「そんな事ないわ。バロンが立派に育ってくれて、私はとても幸せよ」


「そのお言葉、とても嬉しいです。しかしそれは《母親》としてですよね? フリーデン公爵が言っていたのは、《恋人》や《結婚相手》を意味してると思うのです。母上にそんな想い人はおられるのですか?」


「いっ、嫌だわ。バロンったら、母親に何て事を聞くのっ!」


「その慌てぶり、もしかして」


「知らないっ!」


ユミナは年甲斐もなく、顔を赤くしてしまった。



「バロン。お前はユミナの再婚に、賛成なのか?」


「相手次第です」


「ユミナ、だそうだ。良い相手がいるのなら、紹介してくれないか? そうすれば、フリーデン公爵を諦めさせる口実になる」


「そんな方いません」


『バーンッ!』


そこで突然、扉が開いた。


「ユミナちゃん。貴女、嘘を言ってるわねっ!」


扉の向こうから現れたのは、ユミナの母ソフィアだった。



「お母様!」


「私には分かるのよ。ユミナちゃん、今でもニコル君の事が好きなんでしょう?!」


「そっ、それは・・・・・」


「お婆様。それは一体どういう事ですか?」


「バロンちゃん。貴方は知らなかったわね。良い機会だから、聞かせてあげる」


「お母様っ!」


「ユミナちゃんは黙ってて!」


そう言って、ソフィアは昔の事を語り始めた。



「母上とあいつに、《結婚》の話しがあったなんて・・・・・」


「バロン、昔の話しよ」


「しかしその時母上が結婚していたら、僕は生まれてこなかった」


「貴方にとって、気分の良い話しではないわね。こんな話しもう止めましょう」


「あらユミナちゃん、誤魔化すの? お母さんはユミナちゃんの為なら、もう一度ニコル君を説得するわよ!」


「あの頃と今では状況が違います。それに私、もう《オバサン》だから」


「そんな事を気にしてるの? 年齢は三十八歳でも、見た目は二十代前半で通用するわ!」


「それだけじゃありません。ニコル君はミーリアさんと幸せな家庭を築いてる。そんな中に未亡人の私が今更割り込めない」


「ミーリアさんとお子さん達も、説得するわ!」


「皆さんに迷惑です。私の事はもう良いから、止めましょう。王族になった私と平民のニコル君が結婚なんて、無理な話しなんですから」


「えっ! 母上、無理なのですか?」


「バロン、貴方。もしかして、サーシアちゃんと結婚したいの?」


「それは・・・・・」


「そう。まったく私達って、似た者親子ね」


『ニコッ!』


ユミナは憂いを含んだ笑顔を、バロンに向けた。



「マイク君。こうなったら、二人の願いを叶えてあげましょうよ!」


「しょっ、正気か? 王族ともなると、グルジット伯爵家の一存では済まないぞ!」


「ニコル君は、エステリア王国の《英雄》なのでしょう。充分釣り合うわ!」


「英雄は《ヤマト》であって、ニコル君ではない。事情を知っているのは、極一部の人間なんだ!」


「それではニコル君を、英雄として公表しましょう!」


「いやニコル君だって、事情があって正体を隠している訳だし」


「マイク君。うだうだ言ってないで、良い提案をしてちょうだい。じゃないと、口利いてあげないわよ!」


「それは無いよー、ソフィアー」


「じゃあ、前向きに検討してくれる?」


「分かったよー」


マイクは年甲斐もなく、情けない声をあげた。


この後ユミナとバロンの想いを叶える為、二人の話し合いは続いた。

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