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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第八話 それぞれの動向

マイク・グルジットはエドワードとの話し合いにより、《エシャット村》へ使者を送った。


「ニコル? ニコルなら、行商で仕入れの旅に出てますぜ」


門番をしている村人にニコルの居場所を訪ねると、そう返事が返ってきた。


「いつ帰って来るのだ?」


「毎年の事でやすが、十月末頃でやすね」


「ひと月以上先だな」


「そうでやすね。ただここ二・三年は、帰って来てもまた直ぐ出掛けちまいやすよ」


「彼は忙しいのだな」


「へい。ところで、急ぎの用でやんすか?」


「うむ、急を要する」


「そりゃー、困りやしたねー」


門番を務める村人は、ミーリア達が《亜空間ゲート》でニコルの馬車と行き来している事を知らなかった。



「今何処を旅してるか、分からんか?」


「さあ。あっしは、その辺の事は見当もつきませんねー」


「そうか分かった。急を要するので失礼する」


使者はそう言い残し、王都へ帰った。



マイク・グルジットは、執務室で使者からの報告を受けていた。


「十月末まで帰らんか。分かったご苦労だった」


「はっ、失礼致します」


報告を済ませ、使者は部屋を出ていった。


「ユミナの《未来視》通りだな。さて、どうしたものか」


マイクは使者を送った後ユミナと二人になり、《未来視》スキルでニコルの動向を確認していた。


「迎えを出しても、無駄に終わりそうだ。《亜空間ゲート》を利用しに、王都へ戻るところを捕まえるのが得策か」


マイクはそう呟き、ニコルを待つ事にした。



その頃ニコルは、カプコン街の教会にいた。


「マザー、今回の《御布施》と《野菜の種》です。どうぞお納めください」


「いつもありがとうございます」


「良いんです。ところで、孤児の人数は増えましたか?」


「ええ。以前いらした時から二人増え、十三人になりました」


「そうですか。それなら、御布施を少し増やしましょうか?」


「御気遣いありがとうございます。でも今までの分も残ってますし、畑も順調ですから大丈夫ですよ」


孤児院の職員や子供達で野菜を育て、食費に掛かる負担を減らしている。

そのお陰で、僕の御布施の金額も抑えられている。



「分かりました。それでは、他に困っている事があれば言ってください」


「そうですねー・・・・・」


と言いながら、マザー・テレジアは考え始めた。


『食事や衣服は足りてるわ。本や遊び道具も提供して貰っている。困ってる事なんてあったかしら? ああ、そうだわ。一度で良いから、ニコルさんとデートがしたいのだけど・・・・』


そんな思いが、マザー・テレジアの頭を過った。


「ぶつぶつ・・・・・」


「マッ、マザーどうしました?」


「ぶつぶつ・・・・・」


「マッ、マザー?!」


「ハッ! 私、何か言いました?」


マザー・テレジアは、具体的なデートの妄想まで始めていた。



「ええ。仰ってましたが、声が小さくて聞き取れませんでした」


「ごっ、ごめんなさい。思わず考えに没頭してしまって」


「そっ、そうでしたか。それで、何か思い浮かびました?」


「いえ、これといってありませんでした。これもニコルさんのお陰です」


「ははっ。それではマザーも忙しいでしょうから、私は孤児院の方に顔を出してきます。《肥料》は倉庫に置いておきますね」


肥料は腐葉土より扱いが楽な、《化学肥料》を提供している。

勿論、錬金術で作ったものだ。


野菜の育ちが良いと、大変喜ばれている。


「はい、宜しくお願いします」


僕は教会をお暇し、孤児院に向かった。



王都のフリーデン公爵邸。

ユミナ宛に手紙を届けてから十日後。


「くっ、返事はまだかっ!」


フレデリックは王都で要職に就いてなかったが、ユミナを手に入れる為領地を離れ王都に来ていた。


「はい。音沙汰ありません」


フレデリックの苛立ちに、その場に居合わせた老執事が答えた。


「返事を寄越さぬとは、我がフリーデン公爵家がエステリア王国から《独立》しても構わんと言うのかっ!」


「旦那様。やはり独立を引き合いに出すのは、不味かったのではないですか?」


「まだ言うかっ! 今まで財宝や金、それに権力に靡かなかったのだぞ。拒否できぬ条件を突き付けるしかなかろう!」


「もし本当に独立する事態になったら、王国が黙ってませんよ」


「えーい、うるさいっ! 分かっている! 今回のは単なる脅しに過ぎん!」


「王家相手に、脅しで済むのでしょうか?」


「ご託はいい。今直ぐ王城へ行って返事を貰ってこい。うだうだ言ってると首にするぞっ!」


「かっ、畏まりました」


フレデリックは、待つ事に限界が来ていた。

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