表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
372/401

第七話 フリーデン公爵の欲求と要求

半年前、王都フリーデン公爵邸。


「くっ、何故だ。何故ユミナは、公爵になった私の申し入れを拒むのだっ!」


「独り身では、極上のあの肢体をもて余してしまうだろうに!」


「まさか、既に男がいるのか?」


「いや。調査をしたが、そんな噂は聞かぬ」


「今は若さを保っているが、いずれは老いる。かくなる上は、手段を選んではおれん」


ユミナに思いを寄せる当主フレデリックは、自室で独り呟いていた。



現在、九月中旬。


王族の魔法指南役であるマイク・グルジットの執務室に、ユミナ付きの執事が訪れた。


「マイク様、大変ですっ!」


「何事だ?!」


「フリーデン公爵が、『ユミナ殿下が嫁に来ねば、周辺領地と共に独立し国を立ち上げる』と言っておりますっ!」


「何っ、誠かっ!」


「はい。ユミナ殿下宛に、昨日手紙が届きました」


「ユミナは、どうしている?」


「深く、悩んでおられます」


「くっ、フレデリックめっ!」


「どうされます?」


「私はユミナの所へ行く、君はこの事をエドワード様に知せてくれ!」


ここで言うエドワードとは、前ノーステリア大公爵の事である。


「畏まりました!」


マイクは急いで、娘であるユミナの所へ向かった。



「ユミナ、大丈夫か?」


「お父様。私、どうしたら・・・・・」


ユミナは父親の顔を見て、涙ぐんだ。


「心配しなくて良い。今度は私がユミナを守る!」


グルジット家を守る為王家に嫁がせた事を、マイクは引け目を感じていた。


「ですがこのままでは、国が分裂してしまいます」


「私は再び、ユミナに辛い思いをさせたくないのだ」


「お父様・・・・・」


ユミナは《未来視》スキルで、フリーデン公爵の独立が現実になる事を視ていた。

そして、その先の事も。



「ユミナ。その様子だと、未来を視たのだな?」


「はい」


「ではこの先、どうなるか教えてくれ!」


「分かりました」


ユミナは父親に、《未来視》スキルで視た内容を話した。


それは旧王都の南東部に位置するフリーデン公爵家が、周辺領地を纏め上げ《公国》を作るというものだ。

政治や経済が北部に集中し、『面白くない』と思っている領主は少なからずいたのだ。


その後も武力や経済制裁をちらつかせ、公国は勢力の拡大を図ろうとする。

王国はそれを阻止しようと、最終的に《戦争》に発展してしまうのだ。



「国が分裂し、戦争まで起こるとは・・・・・」


「このままでは、私一人の為に多くの人が犠牲になってしまいます」


「戦争になる前に、何か手を打たねば・・・・・」


『トントンッ!』


「エドワード様を、お連れしました!」


マイクが対策を考えようとすると、エドワードがやって来た。


「エドワード様、入ってくれ!」


「失礼するぞい」


エドワードを部屋に招き入れると、手紙を見せ《未来視》スキルで視た内容を話した。


エドワードはユミナのスキルの事を知っていて、国の重要案件について密かに相談する間柄になっていた。

その様な関係になったのは、王都移転後エドワードが《鑑定》スキルでユミナのステータスを視てからである。



「成る程のー。では、あ奴を消すか?」


「エドワード様、ユミナの前ですぞ!」


「初心な少女でもあるまい。良いじゃろう」


「しかしユミナは、自分のせいで人が傷付く事を嫌います」


「一人の犠牲で、多くの人間が救われるのじゃ。そんな事を言ってられまい。それが分からぬ歳でも、立場でもなかろう」


「そっ、それは・・・・・」


「エドワード様。本当に命を奪う以外、解決策は無いのですか?」


ユミナが、二人の会話に割って入った。



「一生涯、投獄する手もある」


「それはあまりにも・・・・・」


「これもユミナ殿下の好みではないのじゃな?」


「はい」


「それなら、他にも手はあるぞい」


「あるのですか? 一体どんな?!」


「ある魔道具を使うのじゃ」


「魔道具ですか?」


「悪事を行えなくする魔道具じゃ。今、巷で騒がれておる《仕置き人》が使っておる」


「それって、まさか!」


ユミナは昔、ニコルがガーランド帝国の勇者達に使うのを《未来視》スキルで視ていた。



「何じゃ、知っておるのか?」


「ええ、魔道具の事だけは」


「私は、仕置き人の噂は耳にしてますぞ!」


「その者を探し出し、協力をさせれば良いのじゃ」


「お父様。その人って、もしかしてニコル君の事じゃないですか?」


「そうだな。彼ならやりそうだ」


「ぬははっ! 二人もニコルとは関わりがあったのー。その通り、その者とはニコルの事じゃ!」


「「やっぱり」」


「じゃが今は、何処を旅しておるか分からぬ」


「ならば、今直ぐ探させましょう!」


こうしてニコルの知らないところで、また面倒事に巻き込まれ様としていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ