表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
371/401

第六話 手合わせの後

2022/08/21 レコルとエミリアの年齢を修正し、ニコルの年齢を追加ました。

グレッグ伯爵と剣の手合わせをした後、屋敷で昼食を御馳走になった。

貴族だけあって、豪勢な食事がテーブルに並んだ。


「ヤマト殿。我が家の食事はどうだ?」


「満足している」


「そうか、そうか。それは良かった!」


軽く誉めてやると、グレッグ伯爵は上機嫌になった。



「時に、ヤマト殿」


「何だ?」


「ヤマト殿は、他国が召喚した《勇者》なのか?」


「違う」


「では、勇者の末裔か?」


「違う」


「ならば何故そんなに強く、しかも《黒髪》なのだ?」


「どうでも良いだろう。俺の事を詮索するなら、この場で帰らせて貰う」


「「「えっ!」」」


僕の言葉に、三人が驚きの声を上げた。



「ちょっと、兄貴。ヤマトの機嫌、損ねないでよね!」


「その通りだ。《亜空間ゲート》の件が駄目になったら、俺達が困るんだぞ!」


「うっ、あっ、いや、すまん」


アレンさんとエミリは、本気で怒った。

その結果、グレッグ伯爵の追及は止んだ。



食後、《亜空間ゲート》設置工事について打ち合わせを行った。


設置場所はラングレイ伯爵家の正門横に決まり、利用者は正門からではなく専用の門から出入りする事になった。

その為、柵の改修工事を追加で施す事になった。



打ち合わせの後、二時間程で工事が完了した。

近くにいた門兵にその旨を伝えると、暫くしてグレッグ伯爵達が馬車で現れた。


「おー、立派ではないか!」


「これで私達の領地に、楽に行けるわね!」


「ヤマト、感謝するぜ!」


「ああ。但し、契約した事は忘れるなよ」


「勿論だ!」


この後取り扱いについて説明すると、テストを兼ね馬車で《亜空間ゲート》を(くぐ)る事になった。



「おー、これは凄い。あっという間にアレン殿の領地に着いたぞ!」


グレッグ伯爵は、《亜空間ゲート》を利用するのは初めてだった。


「兄貴、はしゃぎ過ぎ!」


「はしゃいでなど、おらん!」


「ふふっ。でもダーリン、本当に良かったわね!」


「ああ。だが、これからが大変だ」


「そうね。荒れ果てて、何も無いものね」


「グレッグ。優秀な建築・土木の魔法師を手配してくれよ!」


「分かっている。だがその前に、《魔素地帯》の奥地へ調査に行くぞ!」


「今からか?」


「決まっておるだろ!」


「兄貴。今から行っても中途半端だよ。日を改めたら?」


「夕飯までに、帰れんぞ」


「むっ、そうか。だったらヤマトよ、夕食を食って行け。旨い酒を出す!」


「遠慮する。俺の役目は終わった。帰らせて貰う」


「付き合いが悪いのー!」


「何と言われ様が結構。じゃあな」


『フッ!』


そう言い残し、僕はこの場を去った。



アレンさんの領地から、直接自分の馬車に《転移》した。

そして変装を解き、《影分身》と入れ替わった。


「やれやれ。やっと一段落ついた」


『ご主人様、お疲れ様です』


「ああ。これで暫く、のんびりできる」


『良かったですね』


「今日はこの先の開けた場所で、夜営の準備だ」


『はい!』


馬車を走らせ、暗くなる前に目的の場所を目指した。



「パパ、もう直ぐごはんできるよー!」


夜営の準備を終えシャルロッテに食事を与えていると、ひょこりエミリアがやって来た。

旅の体裁を保つ為、夜から朝に掛けて家族全員で過ごす事になっている。


「ああ、こっちも準備できてる」


「じゃー、ご飯持って来るねー!」


「頼む」


暫くすると、ミーリア達がやって来た。



「ニコルちゃん、お待たせー!」


「パパ、今日はミートソースパスタだよー!」


「ミートソースパスタか。レコル、良かったな」


「まあね」


「エミリアも、大好きー!」


「そうだった。エミリアも、良かったな」


「うん!」


子供達の成長は早く、サーシアは十四歳、レコルは十二歳、エミリアは八歳になった。

そして妻のミーリアは三十六歳にもかかわらず、今でも若々しく可愛らしかった。


ちなみに僕は、三十八歳である。



ミーリアが魔法袋から料理を取り出し、子供達がテーブルに並べていった。


「さあ、みんな。いただきましょう」


「「「はーい、いただきまーす!」」」


「いただきます」


料理が並べられ、ミーリアの号令で食事が始まった。


「ねえ、パパ。今日、何かあった?」


サーシアが、怪訝そうな顔で聞いてきた。


「ん? 何も無いぞ」


「そう。何かいつもより、疲れてる気がする」


「そうか?」


日中面倒な事があったので、顔や態度に出ていたのかもしれない。



「サーが無理な事を言ったせいで、疲れてるんじゃない?」


サーシアは歳を重ね、《自分の願い》がどんなに困難な事か理解する様になった。


「大丈夫だよ。これからもできる限り、弱い立場の人達に救いの手を差し伸べていこうな」


『ニコッ!』


可愛い娘に《負い目》を感じさせまいと、本心を隠し笑顔で答えた。


「うん。パパ、ありがとう!」


『ニコッ!』


サーシアの笑顔があれば、この困難は乗り切れられる。

それにアレンさんの協力があれば、僕の負担も減るだろう。


だが僕の知らないところで、この国に《不穏な空気》が流れていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ