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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第五話 グレッグ・ラングレイ伯爵②

僕達は闘技場へ行き、グレッグ・ラングレイ伯爵が来るのを待った。


闘技場へは、ニコルとして何度か足を運んでいる。

エミリは当然ながら、アレンさんも幾度となく足を運んでいた。


「待たせたなっ!」


そう言って、全身紅色の装備を纏いグレッグ伯爵は現れた。

その紅色の輝きは(まさ)しく《ヒヒイロカネ》のそれであり、極上の大剣と鎧という事が見てとれた。


僕がこの装備を見るのは初めてで、彼の本気度が窺えた。

他にも、複数の補助アイテムを身に付けていそうだ。


一方僕は、《魔鋼》製の大剣と鎧を纏っていた。

色は全身黒く、グレッグ伯爵の紅色と対照的である。


原材料の差は大きいが、加工技術と付与と戦闘能力で差は補えると踏んでいる。



「おー、グレッグ。《紅蓮剣》と《紅蓮の鎧》を持ち出すとは、本気だな?」


「当たり前だ。アレン殿を凌ぐ強さなのだろう。万全を期さないと礼儀を欠く」


「兄貴、いい年して血気盛んね」


「俺は剣士として、まだまだ高みを目指しているからなっ!」


「領主なんだから、怪我しないでよね」


「怪我が怖くて、《剣聖》など名乗れるかよっ!」


「やれやれ。いつまで経っても、変わらないわね」


「よーし、審判は俺が引き受けよう!」


「頼む、アレン殿!」


グレッグ伯爵はそう言うと闘技場の中央へ歩いて行き、僕とアレンさんはそれに続いた。



僕達は、闘技場の中央で対峙した。


「準備は良いか?」


「「ああ!」」


「それでは、剣を構えろ」


『『ジャキッ!』』


「・・・・・始めっ!」


「うおーーーーーっ!」


グレッグ伯爵は、始まりの合図と共に唸り声を上げた。


するとヒヒイロカネの大剣と鎧が、赤い光を放った。

武具に魔力を流し、性能を引き上げたのだ。


僕はそれを見て、同様に大剣へ魔力を流した。



『ダダッ!』


次の瞬間、グレッグ伯爵が間合いを一気に詰めた。


『ビシュッ!』


『ガイーーーーーンッ!』


グレッグ伯爵の鋭い横一線は、大岩をも真っ二つにする技と威力があった。


「ふっ、やはり受けるか。そこいらの剣だったら、絶ち切っていたところだ。しかもまともに受けて微動だにせんとは、このままでは力も及ばぬか」


魔鋼の剣は《重量一トン》の魔鋼を《圧縮》して作っており、強度に特化した代物である。

更に様々な特性を《付与》し、性能の強化を図っている。


「喋りが過ぎるな。剣で語るんじゃなかったのか?」


「ははっ、そうだった。ならば早速、《身体強化》だっ!」


その掛け声と共に、グレッグ伯爵の体が一回り膨らんだ。


「《紅蓮の炎》!」


続けてそう叫ぶと、剣身が深紅の炎を纏った。



「受けられるものなら、受けてみやがれーっ!」


『ブオオオンッ!』


『ガイーーーーーン!!』


『ブボアーーーーーッ!』


剣を切り結ぶと、紅蓮剣の炎が剣を伝い僕の全身を覆った。

その炎は人を消し炭にする程の火力があり、また剣の威力も数段増していた。



『パンッ!』


だが次の瞬間、炎は弾き飛んだ。

鎧の付与効果で、霧散させたのだ。


「嘘だろっ! こんなにもあっさり・・・」


「どうした、遠慮は要らんぞ。俺を一歩でも動かしてみろ」


「くそっ、舐めるなーーーっ!」


『ガイーン!! ガイーン!! ガイーン!! ガイーン!! ガイーン!!・・・・・・・・・・!!』


グレッグ伯爵は真正面に対峙し、目まぐるしい速さで剣を振るった。

それは鎧の付与が、炎を霧散させるスピードを上回った。


だが僕は炎に包まれながらも、その場を動かず剣を受け続けた。



『これでも一歩も退かぬとは・・・・・』グレッグは剣を振るいながら、そんな事を考えていた。


「ならば」


『タッ!』


グレッグ伯爵は一歩間合いを取り、剣を振り上げた。


「出力アップ!」


そしてそう叫ぶと、剣身の炎が火力を増し渦を巻いた。


「だりゃーーーっ! 《紅蓮の業火》だーーーっ!」


『ブバボアーーーーーーーーーーッ!!!』


気合と共に剣を振り下ろすと、剣先から業火が吹き出した。

しかし僕は避ける事をせず、大剣を構え炎をまともに受けた。



「兄貴っ、闘技場が壊れちゃうよっ!!」


その炎は二十数メートル離れた闘技場の壁まで達し、壁の岩をも溶かした。


「ぬっ!」


エミリの叫びに反応し、グレッグ伯爵は炎を放つのを止めた。


『スッ!』


すると止んだ炎の中から、無傷の僕が現れた。



「無傷。英雄とは、これ程までのものなのか?」


「お前、その剣の能力まだ隠してるだろ?」


「分かるのか?」


「ああ。だが今度は、こちらから行く」


『ダタッ!』


「速いっ!」


「《重量最大》」


剣が交わる瞬間、付与で軽くしてあった剣の重量を重くした。


『ガイーーーーーン!!!』


『ズザザザザザーーーーーーーーーー!!!』


「くっ、重い!」


「良く耐えたな?」


グレッグ伯爵は足を引きずり大きく後退したが、辛うじて転ばずにすんだ。



「えーい、負けてなるものかっ!」


『シュバッ!』


グレッグ伯爵は、《瞬動》スキルを発動した。


『ズドッ!!』


「ぐあっ!」


『ドサッ!』


僕は移動先を察知し、カウンターで顎へ掌底を放った。

鎧越しだが、ダメージは相当な筈だ。



『ジャキンッ!』


僕は倒れたグレッグ伯爵の喉元に、剣を突き立てた。


「まだやるか?」


「負けだ! 今のが剣だったら、首が飛んでいた。しかし《瞬動》スキルにカウンターを合わせるとは、恐れいった」


《敗北宣言》を聞いて、僕は剣を下ろした。


「良し、終わったな。では、勝者ヤマト!」


そして審判のアレンさんが、僕の勝ち名乗りを上げた。


こうして、僕とグレッグ伯爵の立ち合いは終わった。

ストック、もう切れました。

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