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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第四話 グレッグ・ラングレイ伯爵①

アレンとエミリは《亜空間ゲート》の設置・管理・警備と領地開拓の協力を得る為、エミリの兄グレッグ・ラングレイ伯爵のところへ押し掛けた。


グレッグはエミリと十歳離れ、現在四十八歳である。

身長は二メートルを越え、筋肉隆々でアレンと比べ二回り程大きかった。


「グレッグ、そういう訳だ。協力を頼む!」


「兄貴、お願い!」


「とんでもない話しばかりで、正直信じられん。だがアレン殿がこんな事で嘘をつく筈はないな」


「勿論、壁の建設も魔素の除去も《亜空間ゲート》の事も全て本当だ」


「するとそれだけの事を成せる協力者とは、《英雄ヤマト殿》の事ではないのか?」


グレッグは王都の開拓や《亜空間ゲート》の売買に、ヤマトが関わっている事を知っていた。

ニコルの名前を伏せた事により、勘違いを生んだのだ。


『キュピーン!』


「ヤマト? ああ、そうヤマトだ」


アレンは《第六感》スキルが働き、敢えてその勘違いに便乗した。



「英雄どうし、親交があったのだな」


「まあな」


「アレン殿とヤマト殿、どちらが強いのだ?」


「知らん」


「まさか《極上の好敵手》を前にて、手合わせしておらんのか?!」


「いがみ合ってる訳でも無し、戦う必要無いだろう」


「だあー、勿体無いっ!」


「お前のその思考には、あきれるぜ」


「なー、どちらが強いのだ?」


「ちっ、しつこいな。総合的に言えば、向こうだろうよ」


「なんとっ! そうか、ヤマト殿はそれ程か・・・・・。俺と手合わせしてくれんだろうか?」


「止めておけ。お前なんかじゃ、手も足も出ねーぞ」


「くっ、アレン殿が言うのであればそうなのだろう。だが高い山程、登り甲斐があるっ!」


「言ってろ」


アレンは、呆れていた。



「なあ、アレン殿」


「何だ?」


「俺の協力が欲しいのだろう?」


「ああ」


「ならばヤマト殿との手合わせ、仲介してくれても良いよなー?」


「くっ、痛いところを突いてきやがる!」


「さあさあ、どうなんだ?!」


「えーい、分かった。俺から話しを付けとく。その代わり、開拓の協力をしろよなっ!」


「よっしゃー、決まりだー!」


「ちょっと大丈夫なの? そんな約束して」


「しょうがねーだろ。お前の兄貴が、こういう奴なんだから!」


こうしてニコルのいないところで、ヤマトとして手合わせする約束がなされた。



「しかし《魔素地帯》と此処が繋がるとなると、国の北部と中央部の距離が一気に縮まる。行商やなんかで、人の往来が増えるな」


「だろうな」


「今は戦争も起きんし、兵士を連れて魔物狩りで鍛えるのも良いな」


今やガーランド帝国は滅び、侵攻により支配された国々は独立し主権を取り戻した。

戦争が起こる素振りは、無かった。


「それなら兵士専用の宿舎を建てよう。その代わりこっちの人員が揃うまで、治安維持をしてくれ」


「ああ、良いだろう」


こうしてアレンとエミリは、ラングレイ伯爵家の協力を得られた。

そして打ち合わせは、この後も続いた。



翌日。


「何でそうなるんですか?」


「ニコルが関わっている事を隠すには、ああ言っておく他無かったんだ」


「それで手合せが必要って」


「あいつの性格、分かるだろ。ちょこっと相手してやってくれ」


「あー、面倒臭い」


「ニコル君! これはニコル君の目的の為でもあるのよ!」


「娘の願いを、叶えるんだったよな?」


「二人して痛いところを突いてくる。これじゃグレッグさんと同じじゃないですか」


「そう言わんでくれ。ニコルが受けてくれんと、俺も困る」


「分かりましたよ。その代わり、手合わせするのは一度きりですよ」


「そうかそうか、受けてくれるか。それじゃ早速、ラングレイ伯爵邸に行こう!」


僕はヤマトに変装して、ラングレイ伯爵邸に連れて行かれた。



ラングレイ伯爵邸に到着すると、応接室で待たされた。

暫くすると、グレッグ・ラングレイ伯爵が現れた。


「おー、噂通りの黒髪。貴殿がかの英雄ヤマト殿か。俺はラングレイ伯爵家当主グレッグだ。宜しく頼む!」


「ああ」


「ヤマト殿は、随分寡黙なのだな?」


「問題あるか?」


「いや。武人はそれくらいの方が良い。俺とは剣で語ってくれ!」


「あんたに、その技量があればな」


「舐めて貰っては困る。これでも俺は、この国じゃ《剣聖》と呼ばれている。大いに語ってやろうじゃないか!」


「グレッグ、その前にもう一度確認だ。ヤマトと立ち合ったら、約束通り開拓の協力をしてくれるんだろうな?」


「ああ、任せろ。人員も資金も工面してやる!」


「良し!」


「ところでヤマト殿。見たところ軽装だが、武具はお持ちか?」


「問題無い。いつでも装備できる」


「ならば我が家の闘技場で待っててくれ。《最上の装備》を纏い、俺も行く」


「分かった。面倒事は、さっさと済ませよう」


こうして僕はラングレイ伯爵邸に来て早々、グレッグ伯爵と立ち合う事になった。

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