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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第二話 アレンさんの領地①

商品の仕入れを《影分身》に任せ、僕は翌日からこつこつと作業を始めた。


土壌から《魔素》を除去し、高さ二十メートルの壁を十キロ四方に立てていった。

規模が大き過ぎて大変だったが、《魔物避け》もしっかり付与した。


「良し、完成だ!」


僕が請け負ったのは、指定範囲の魔素の除去と壁の建設である。

ここからの開拓は、領主であるアレンさんの仕事だ。



僕は一ヶ月ぶりにアレンさんの屋敷を訪れ、作業の完了を告げた。


「よし、早速見に行くぞ!」


「はい」


「私も行くわよ!」


「そうだな。ニコル、エミリも連れて行って良いか?」


この場には、奥さんのエミリもいた。

子供達は学園の夏休みが終わるので、先日王都に戻ったそうだ。


今屋敷にいるのは、アレンさんとエミリと数名の使用人達だけである。


「ええ、構わないです。それでは行きますよ。《転移》」


『『『フッ!』』』


僕達三人は、アレンさんの領地に《転移》した。



「おー、王都並みの立派な壁だー!」


「本当だわ! それにこの辺一帯、魔物の気配を感じない」


「魔素の除去が、上手くいったんだな?」


「はい。魔物は魔素のある場所へ移動しました」


「魔物ハンターはどうした?」


「変装して、丁重に追い出しました」


「丁重にか・・・。まあ良いだろう」


「ニコル君にこれだけの事をして貰ったんだから、良い街を作らないとね!」


「ああ。俺が隠居するまでには、立派な街にしてみせる」


「具体的な事は考えてるの?」


「いいや、まだ何も。俺は政治的な事は、からっきしだからな」


「それなら、頼れる人材が必要ね。例えば、ニコル君とか」


『チラッ!』


エミリがニヤケながら、僕を見た。


「おー、それは名案だ。ニコル、俺のところで働け!」


「お断りします。自分が今抱えてる事だけで手一杯です!」


「ははっ、そうだった」


忙しいのに、街の開拓まで手伝わされたらたまったもんじゃない。



「でも、ここへ通うのも大変ね。ニコル君、あれ売ってよ!」


「あれって?」


「《亜空間ゲート》よ。王都とフロリダ街を行き来できるやつ。国に売り付けたのって、変装したニコル君なんでしょ?!」


あの件に関して、エミリは無関係である。

しかし何処からか、情報を嗅ぎ付けていた。


「確かにそうだけど、幾らで売ったか知ってて言ってるのか?」


「知らなーい」


「三十億マネーだぞ」


「サッ、サンジューオクーーー!!」


「ニコル。よくそんだけ、吹っ掛けたな?!」


「価値は充分にあると思いますよ。それに売ったのは、王国ですから」


「三十億マネーなんて、ライト家じゃ払えないわ!」


「そうだな。開拓に金が掛かるし」


どうにかならないものかと、二人は考え込んだ。



「そうだ、《レンタル》にしましょうよ。そして通行料を取るの。その売り上げから、ニコル君に支払えば良いじゃない!」


「レンタルなら、三十億マネーも必用無いな!」


「どうせなら、馬車が通れるでかいのにしましょうよ!」


「おー、そうだな!」


「ちょっ、ちょっと待ってください。二人で勝手に、話しを進めないでください!」


「開拓が進まなかったら、孤児院も老人ホームも作れないし、仕事も斡旋できないぞ」


「それはそうですけど」


「ニコル君と私達の仲でしょ!」


「売り上げの六割がニコル、四割は此方の経費に使わせて貰う。心配なら担保に一億マネーを預ける。なんならプラスして、ここの土地をやる!」


「・・・・・・・・・・!」


国宝級の魔道具を、おいそれと提供して良いものか悩んだ。



「しょうがないですね。分かりましたよ」


考えた末、お互いの目的の為に了承した。


「やったー!」


「無理を言ってすまんな」


「その代わり、《亜空間ゲート》の事で僕の名前は出さないでください。貴族に知られたら面倒なので」


「分かった約束する!」


「ニコル君の貴族への警戒心は、相変わらずね」


僕はこうして、アレンさんに《亜空間ゲート》をレンタルする事になった。



「大型のゲートは消費魔力が多いですけど、良いんですか?」


「回りは魔物だらけだ。魔石は簡単に手に入る。大丈夫だ」


「分かりました。それじゃ、渡しておきますね」


そう言って《亜空間収納》を開き、《亜空間ゲート》を取り出した。


「すごーい、大きい! これなら余裕で馬車が通れるわー!」


「持ってたのか?」


「ええ。僕も馬車を通そうと、同じ事を考えましたから」


「でもこれって、このまま置いてたら盗まれないかしら?」


「見張りと設置する建物がいるな。どうせなら、屋敷を建てる場所の近くが良い」


「何処にするか決まってるの?」


「まだだ」


「なら、直ぐに決めないとね」


「と言う訳だ。ニコル、もう少し付き合え」


「しょうがないですね」


僕の仕事は終わった筈なのに、ずるずると二人に付き合う事になった。

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