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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第五十九話 家族揃って魔物狩り③

レコルはウルフとの戦闘に、手こずっていた。


「ガウッ!」


「ちっ!」


「ガウッ!」


「くっ!」


ウルフは一定の距離を取り、背後に隙を見せた時しか襲ってこなかった。

そこで動きを止めてしまうと、次々と追撃がやってきた。



「くそっ、一人だと戦い辛い!」


「モキュッ!」


レコルが愚痴をこぼすと、そこにポムが現れた。


「何だポム。手伝ってくれるのか?」


「モキュッ!」


ポムは触覚を腕の様に伸ばし、返事をした。


「それなら、背後の守りを頼む!」


「モキュッ!」


強い味方を得て、レコルは攻撃に転じた。



レコルとの戦闘に(あぶ)れたウルフ達は、サーシアを標的にした。


「良いわ。来なさい」


警戒しながら近付くウルフを、サーシアはギリギリの距離まで引き付けた。


「「「「「「「「「ガルルッ!」」」」」」」」」


「*****、*******、*****、*******、*******、風刃連射」


『シュババババッ・・・・・!』


「「「「「キャイーン!」」」」」


「あっ!」


「「「ガウガウガウッ!」」」


サーシアの魔法は、全てのウルフを仕留めきれなかった。



『バキッ!』


「きゃーっ!」


サーシアは辛うじてウルフの突進を杖で受け止めたが、バランスを崩し突き飛ばされてしまった。


『タタタッ!』


「ニャー!」


『ビリビリビリーーーッ!』


サーシアのピンチにシロンが駆け付け、《電撃》を放った。


「「「キャイン、キャイーン!」」」


ウルフは感電し、その場で倒れ動きを止めた。



「えっ、シロンが助けてくれたの?」


「ニャー!」


「でもこの魔法って、先代シロンの・・・・・。本当に生まれ変わりなの?」


「・・・・・!」


「そうよね。質問しても答えられないわよね」


「ニャー!」


「あっ、そうだ。レコルは?!」


「モキュッ!」


『『『プスッ!』』』


「「「キャイーン!」」」


視線を向けると、レコルの戦いにポムが参戦していた。



「向こうは大丈夫そうね。こっちも止めを刺さないと」


サーシアは腰からナイフを抜き、痺れて動けなくなったウルフを見下ろした。


「「「クウーン!」」」


するとウルフ達は、上目遣いで命乞いをする様に声を上げた。


「・・・・・可哀想」


サーシアはそう呟き、止めを刺す事に躊躇してしまった。



「ニャー!」


『ビリビリッ!』


『『『ザシュッ!』』』


「「「キャイーン!」」」


サーシアの様子に気付き、シロンが《雷刃》を手に纏い止めを刺した。


「シロン!」


僕はその様子を、後ろから見ていた。



「サーシア」


「パパ!」


「自分に襲い掛かってきた魔物に、同情か?」


「うん」


サーシアは、俯きながら答えた。


「中途半端な気持ちでいると、自分だけでなく仲間を危険に晒すぞ。《非情》になれないなら、魔物狩りは止めた方が良い」


「えっ! サー、止めないよっ!」


サーシアは、慌てた様子で否定した。


「今度同じ状況になっても、躊躇しないか?」


「うん。今度は躊躇しない!」


僕が本気なのを感じ取り、サーシアは真剣な眼で訴えた。


「・・・・・分かった。今の言葉、肝に命じておけよ!」


「うん!」


可哀想だが、命に関わる事なので厳しい態度をとってしまった。



「おねーちゃん、こっちのウルフ全部やっつけたんだ!」


「レコル」


「どーしたの? 元気無いね」


「サー、シロンに助けられちゃった」


サーシアは、止めをさせなかった事は言わなかった。


「僕もポムがいなかったら、どうなったか分かんなかったよ!」


「サー達もっと戦えると思ったのに、違ったね」


「ヒツージより全然少ないから、いけると思ったんだよなー。ウルフの奴、思ってた以上にずる賢かったよー!」


「レコル、怪我は無いの?」


「大丈夫。この防具を着けてれば、素肌を噛まれても全然平気だよ。流石パパ!」


「そう言えばさっき、突き飛ばされても痛く無かった」


怪我をされては困るので、二人には《過剰な防御力》の防具を装備させている。

ただその事は、油断を招くので黙っていた。



「レコル。防具の性能に頼って、無茶をするなよ!」


「うん、反省してる。僕、まだまだ弱いや」


「サーも」


「でもまー、その辺の大人達よりかは強いよ。これから色々経験を積んで、戦い方を学ぶんだな」


「「うん!」」


『ウォーベアとの戦闘と今回の件で、二人は自分に足らないものが何か学べたのではないだろうか?』

そんな事を思いながらウルフを回収し、この後休憩を挟んだ。



「次は、上位種のウォーウルフを倒してやるっ!」


「レコル、何でそうなる。反省したんじゃないのか?」


「だって強い魔物を倒した方が、早く強くなれるんでしょ?」


「それはそうだが、もっと経験を積んで技術を磨いてだな」


「じゃあ今回みたいな時、どうすれば良かったの?」


「相手の戦力が上なら、最初から逃げるべきだった」


「パパ。ウルフの強さ知ってて、行かせたよね?」


「二人に、今の限界を知って欲しかったからな。逃げて来ても、文句は言わなかったさ」


「そんなの最初から言ってよ!」


「まー、そう起こるな。今回の件で、二人共今後の課題が見えたんじゃないか?」


「「うん!」」


「それをクリアしてから、強い魔物に挑もうな」


「分かったよ!」


「サー、頑張る!」


「エミリアもー!」


「あらあら、エミリアはもう少し大きくなってからね」


「やー!」


こうして《慈善活動》の旅を続けながら魔物を狩り、子供達は成長していった。

お読みいただき、ありがとうございます。

《第九章》は、ここまでです。


またストックが溜まるまで、暫くの間投稿を休ませていただきます。

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