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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第五十七話 家族揃って魔物狩り①

先日奴隷商の用事が済み、今日は《魔素地帯》の奥地へと足を運ぶ事になった。


僕はサーシアとレコルと三人で行くつもりだったが、『エミリアもいくー!』と駄々を捏ねられ、仕方無く家族全員で行く事になった。


「エミリア。パパとママから離れちゃ駄目だぞ」


「はーい!」


馬車は使わず徒歩で出発し、シャルロッテも僕達の横をゆっくり歩いた。



「サーシア、レコル。魔物との戦闘は任せたからな」


「パパ、任せて!」


「僕の活躍、見ててよっ!」


二人は、やる気満々だった。


「ニコルちゃん、若い頃を思い出すわね」


「そうだな。ダンジョンとは違うけど、懐かしいな」


「この《魔法銃》も、久し振りに握ったわ」


「腕は鈍ってないか?」


「どうかしら。勘を取り戻すのに、少し時間が掛かるかも」


護身用に、ミーリアに持たせていた。



「コッ、コッ、コッ!」


「あら、ニーワトリだわ。えいっ!」


『ビシュッ!』


「コケーッ!」


『バサッ!』


ミーリアの《魔法銃》が、ニーワトリの頭を貫いた。



「あっ! ママ、ずるーい!」


「魔物狩りは、僕達に任せてよー!」


「ごめんなさーい。美味しい唐揚げが作れると思ったら、つい」


「『つい』って何だよ。もしかして、《ケイコ》にもそんな風に思ってたの?!」


「なっ、何言ってるのレコル。そっ、そんな事思ってないわ。本当よ!」


「ママ、慌ててるー!」


『ゴツッ!』


僕は拳骨で、レコルの頭を叩いた。


「レコル。今のは悪い冗談だ!」


「ごめんなさーい」


レコルは、素直に謝った。


ちょっとした騒動もあったが、ニーワトリを回収し奥地へ進んだ。



『タタタタタタタタタッ!』


シロンが疾風の如く、地を駆けた。


「ニャニャー!」


『スパッ!』


「ブギャーッ!」


『ドサッ!』


「「えっ!」」


狩りの衝動を押さえられず、シロンは飛び出してしまった。

しかも魔法を使って、ボアを一撃で仕留めた。



「シロン! 何でお前が、ボアを倒せるんだよっ!」


「今、《雷属性魔法》を手に纏ってなかった?!」


「あらあら。まるで先代のシロンみたいね。似てるのは容姿だけじゃなかったのね?」


「パパ。魔法を使える猫って、そんなにいるの?」


「さあ、どうだろうな。もしかして、本当に先代シロンの生まれ変わりだったりして?」


「えっ! そうなの?」


「おねーちゃん、きっとそうだよ!」


シロンは能力を隠すつもりが無い様なので、『生まれ変わり』という事で誤魔化した。



僕がボアの回収を請け負うと、サーシアとレコルは次の獲物を探しに行った。


「モキュッ!」


ポムは護衛の為、二人の後を追った。

一方シロンは満足したのだろうか、僕に寄り添ってきた。


本当、気まぐれである。


「シロン。サーシアとレコルのレベル上げが目的だぞ。我慢できないのか?」


「ニャー!」


「二人の手に負えない時だけにしてやれ」


「ニャー!」


「パパ、すごーい。シロンとおはなししてるー!」


「そうか? エミリアだって、シロンと話しをするだろ?」


「うん。でも、なにしゃべってるかわかんなーい」


「パパだって同じさ。一方的に話し掛けてるだけだよ」


「そうなのー?」


シロンの前々世は《人間》であり、この異世界の言葉を理解し話しもできる。

しかしこの件に関しては、打ち明けるつもりは無かった。



ボアの血抜きを終え回収すると、サーシア達の後を追った。


『シャルロッテは、狩りに興味無いから暇だろ?』


横を歩くシャルロッテに、《念話》で話し掛けた。


『気にしなくていいですよ。私はみんなと居られるだけで、楽しいですから』


『それなら良いけど』


『ダンジョンでは、いつも留守番でしたからね』


『ははっ、そうだったな』


僕は昔を思い出し、笑った。



「きゃー!」


「わぁー!」


サーシアとレコルが、悲鳴を上げながら戻って来た。


「どうした?」


「「あっちにゾンビがいたっ!」」


二人が指差す方へ視線を向けると、一体のゾンビが此方に歩いて来るのが見えた。



「倒さないのか?」


二人には、アンデッドに振り掛けるだけで灰にしてしまう《特級聖水》を持たせていた。


それに体内から魔石を取り出せば、一時的に動きを止められた。

《魔素地帯》では、形が残っていると何れ復活してしまうのだ。


また、サーシアの《火属性魔法》も有効であった。


「生理的に無理ー!」


「気持ち悪いー!」


「言ってあっただろ。『《魔素地帯》に足を踏み込めば、ゾンビに遭遇する』って。《聖水》を掛けるだけだぞ」


若い頃僕も苦手だったので、気持ちは分かる。

今は、何とも思わないけど。



「いやー! パパ、何とかしてー!」


サーシアが、僕に抱き付き嫌がった。


『デレー!』


「しょうがないなー。今回はパパが倒してあげるよー」


「パパ、ありがとう。大好きっ!」


「パパ、おねーちゃんに甘いや!」


レコルが何か言っているが、流した。


「ミーリア、エミリアを頼む!」


「任せて。エミリア、此方にいらっしゃい!」


「はーい!」


ミーリアはエミリアを抱き寄せ、ゾンビが視界に入らない様にした。



僕はゾンビの前に赴き、立ち止まった。


「《聖火》」


《火属性魔法》と《聖属性魔法》の合成魔法を放った。


「うぎゃーーー!」


ゾンビは悲鳴を上げながら、あっという間に灰になってしまった。



「「パパ、すごーい!」」


サーシアとレコルが、駆け寄って来た。


「何でパパの火は、青いの?」


「《聖属性》を合成した火だからだよ。アンデッドには、《聖水》以上に効果的なんだ」


「良いなー。サーも使いたいなー」


「その内勉強しような」


「うん!」


「でも、ゾンビの克服もしないとな」


「あっ!」


遺体に戻し、違う場所に埋葬するという手段もあった。

しかし敢えてそうしなかったのは、あの仕事は僕の中で区切りが付いていたからだ。

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