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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第五十四話 村長任命

イワン達の案内で、サーシアとレコルは迷わず帰り道を進んだ。


「モキュッ!」


ポムは手柄を譲る形になったが、全く気にしなかった。


「前に俺が右脚を失ったのって、奴が原因だったんすよ。こいつらの怪我もそうっす」


「何であのウォーベアだって、分かるの?」


「額に、十字の傷があったっすから」


「そう言えば、あった気がする。イワンさん達は、復讐しに行ったの?」


「違うっすよ。ウォーベアのテリトリーはもっと奥地なんすけど、奴はたまに外に出てくるんす。そこに運悪く遭遇したんす」


「そうなんだ」


「にーちゃん達、ツイてないなー」


「モキュッ!」


「本当っすね。もっと強くなってから挑もうと思ってたんすけど、復帰早々出会うんすもん」


「だけどよ、イワン。俺達こうやって生きてるんだ。ツイてるじゃねーか!」


「そうだぜ、イワン。復讐は果たせなかったが、奴はもういないだ。これからは安心して狩りができるってもんだ!」


「死に掛けたのに、ツイてるか。お前等、馬鹿みたいに前向きだな?」


「五体満足なんだから、スラムにいた時みたいに落ち込んでいられるか!」


「じゃなきゃ魔物ハンターなんて、やってられねーからな!」


《エリクサー》で回復した者の中には、魔物に襲われた恐怖から魔物ハンターを辞めた者もいる。

しかし、この三人は違った。


道中あれこれと話しをしながら、森を進んだ。



暫くして、廃村の見える場所まで来た。


「あれっ、いつの間にか壁ができてる」


「きっと、パパが作ったのよ」


「そうだね」


「噂には聞いてたすけど、聖人様やっぱり凄いっす!」


「孤児院も建てたんだろ。聖人様って、一体何者なんだろうな?」


「きっと、神の使いかなんかだろ!」


「そんな訳無いよ。早く中に入りましょ!」


「「「はい(っす)!」」」


一行は、村の入り口に向かった。



「あれっ、鍵が掛かってる!」


『ドン、ドン!』


「ただいまー。パパ、ママ、鍵開けてー!」


壁には門と扉が設置されており、どちらも鍵が掛かっていた。


「やっと帰って来たか」


レコルの声に気付き、僕は扉の鍵を開け子供達を迎えた。



「お帰り」


「「ただいまー!」」


「モキュッ!」


「君達も、良く来たな」


「「「聖人様!」」」


「まー、中に入ってくれ」


「「「はい!」」」


《地図》機能で、イワン達と一緒なのは知っていた。



「えっ、ここが廃村?!」


「どれもこれも、建てたばかりみたいだ!」


「聖人様が、全部やったんすか?!」


「まあな」


「「「ほえー!」」」


イワン達は、度肝を抜かれた。



「お腹空いたー。ママ、ごはーん!」


「サーもー!」


「おいおい。約束を守らず、お昼に帰って来なかったのは誰だ?」


「ごめんなさい、パパ。初めての狩りに、夢中になったの」


「違うよ。僕がおねーちゃんを、森の奥に誘ったんだ! 怒るなら僕を怒ってよ!」


「理由はどうあれ、サーシアはお姉ちゃんだ。レコルを諌める責任がある。罰として、二人共お昼ご飯は抜きだ!」


「えー!」


「しょうがないよね」


罰を言い渡すと、二人は違った反応を示した。



「聖人様、二人を許して欲しいっす。俺達は二人とポムさんに、ウォーベアから命を救われたっす!」


「本当なのか?」


「うん。でも、結局ポムが倒したんだ。僕じゃ攻撃を受け流すのもやっとだった」


「サーの魔法も、効かなかった」


「ウォーベアか。怪我が無くて、良かったな」


「「うん」」


「でも約束を破った事と、イワン達を救った事は別の話しだ。ご飯は抜き。いいな?!」


「「うん」」


「だが、イワン達を救った事は誉めてやる。良くやった!」


「「へへっ!」」


頭を撫でてやると、二人は照れ臭そうに笑った。



「ポムも良くやった!」


「モキュッ!」


「そうだ、パパ。ポムはどうしてあんなに強いの?」


「ん? そう言えば、言ってなかったな。実はパパとママがが結婚する前から、ダンジョンに行ってたんだ」


ダンジョン出入口のセンサーに反応しない様、コッソリと侵入させていた。

それに《魔素地帯》でも魔物を狩っているし、僕が倒した魔物の経験値も加算されている。



「でもポムって、ベビースライムなんでしょ。こんなに強いのおかしいよ!」


「長い事生きてるんだ。ベビースライムな訳ないさ」


「じゃー、何でこんなに小さいの?」


「黙っていたけど、ポムは進化して《キングスライム》になったんだ。小さいのは《擬態》スキルで、姿を変えている」


「「えー!」」


二人は、ポムを見詰めた。



「二人も大きい姿より、小さい方が可愛いくて良いだろ?」


ポムがこの姿でいるのは、僕の好みが影響している。

それに素の大きさだと、一緒に生活するのが困難になる。


「「・・・・・うん。このままの方が良い!」」


二人はポムが大きくなった姿を想像し、そう答えた。


「モキュッ!」


ポムは二人の言葉に、頷いた。



「なー、君達」


「「「何ですか?」」」


「この村に、住んでみないか?」


「「「良いんですか?」」」


「ああ。スラムに残った人達に此処に住んで貰おうと思ってるんだが、君達みたいなのがいた方が安心できる」


「聖人様に恩返しできるなら、何だってやるっす!」


「それじゃイワンには、村長を努めて貰おうか?」


「村長っすか?」


「スラムの人達に任せるには、荷が重いだろう?」


「確かにそうっすね」


「やってみたらどうだ?」


「俺達も、協力するぞ!」


「お前等・・・・・」


イワンは真剣な面持ちで、少しの間考えた。


「聖人様。俺自信無いすけど、恩を返す為一所懸命やるっす!」


「そうか、助かる!」


悪いと思いつつ『村長任命』という形で、イワンに責任を押し付けてしまった。

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