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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第五十二話 サーシアとレコル、初めての魔物狩り

サーシアとレコルは、廃村から少し奥へ行った所で魔物を狩っていた。


「やー!」


『ザシュッ!』


「えいっ!」


『ドスッ!』


二人は余裕で、それぞれホーンラビットを仕留めた。


「物足りないね」


「そうね。魔法を使うまでもないし」


サーシアは、長杖を鈍器として使用していた。


「モキュッ!」


「うん。ポム、お願い」


ダンジョンとは違い、此処で倒した魔物はそのまま亡骸が残る。

ポムは戦闘に参加せず、血抜きを担当した。


『プスッ!』


『ゴキュ、ゴキュ・・・・・!』


触覚を亡骸に刺し、ストローの様にして飲み込んだ。

魔素を含んでいて、美味しい様だ。



「おねーちゃん、もっと奥に行こうよー!」


「あまり遠くに行くと、お昼ご飯までに帰れないよ」


「でもこの辺、スライムとラビットとホーンラビットしかいないよー!」


二人は初めての狩りだったが、魔物図鑑を見て魔物の名前や特徴を知っていた。


「パパが連れて行ってくれるって、言ったじゃない。我慢しなよ」


「こんな事、滅多に無いんだよー。おねーちゃんだって、行きたいでしょー!」


「・・・・・もうレコルってば、我が儘なんだからー。ちょっとだけだよ!」


「やったー! おねーちゃん大好き!」


サーシアとレコルは、好奇心から更に奥へと進んだ。



「もー。レコルがどんどん先に行くから、道に迷ったじゃない!」


「だってこいつ、逃げ足早いんだもん!」


二人の足元にはレッドボアの亡骸が転がっており、ポムが血抜きをしていた。


「もうお昼じゃない。パパに怒られるよー!」


「おねーちゃん、お腹空いたー!」


「サーだって、お腹空いたよー!」


「取り敢えず、お菓子食べようよー!」


「そうね。お腹空いたままじゃ、動けないからね。おやつ休憩してから帰りましょ」


サーシアは魔法袋から、クッキーとオレンジジュースを取り出した。



「でもおねーちゃん。僕何だか力が強くなった気がする」


「サーもだよ。パパが言ってたけど、『魔物を倒すと強くなる』って本当だったね」


「もっともっと魔物を倒して、もっと強くなるんだ!」


「そうだね!」


二人は能力の向上を実感し、高揚していた。



「パパ、すごいすごーい!」


「ははっ、そうか。パパは凄いか?」


「うん、すごーい! エミリアもやりたーい!」


「今は無理かな。大きくなったら、錬金術の勉強しようなー」


「うん!」


僕はエミリアの面倒を見ながら、廃村を住める環境に変えていった。

鬱蒼と茂った雑草を刈り、地面を石畳に変え、壊れた家や井戸を綺麗に直した。


「ニコルちゃん。お昼ご飯できたけど、あの子達帰って来ないのよー」


「しょうがないなー。お昼までに帰れって言ったのに」


「もう少し待つ?」


「いや、先に食べよう。当分帰らないよ」


《地図》機能で確認すると、まだ遠くにいた。

待っていたら、いつになるか分からない。



「そんな遠くに行ってるの?」


ミーリアは、僕の能力の事を知っている。


「そうだね。まーあの子達なら、怪我は無いと思うよ。ポムもいるしね」


「ニコルちゃんがそう言うなら大丈夫だと思うけど、やっぱり心配」


「帰らない様だったら、迎えに行くよ」


「お願い」


僕達は二人を待たず、先に昼食をとる事にした。



「ねえ、ニコルちゃん?」


「何?」


「人助けは良いけど、お金の事は大丈夫なの?」


「誰かから、聞いた?」


「うん。マザーや教会に雇われた人達に。私にも凄く感謝してた」


ミーリアは教会で怪我人の回復や炊き出しの料理の手伝いをし、親交を深めていた。


「心配しなくて良いよ。今まで貯め込んだお金がたんまりあるから、全然余裕。丁度《寄付》をしようと考えてたんだ」


「可愛い娘のお願いだからって、無理しないでね」


「分かってる」


ミーリアは、僕の所持金が幾らあるか知らない。

関心が無い様だ。


しかし今回の件やこれからの事を考え、心配になったのだろう。

本当の事を言って安心させたい気持ちもあるが、きっと驚かせてしまう。


だが結局、その事は黙っていた。



「さて、休憩は終わりにして帰ろう!」


「おねーちゃん、帰り道分かったの?」


「多分、あっち」


『モキュッ!』


ポムは触覚を伸ばし、サーシアとは違う方向を指した。


「えっ、ポム。あっちなの?」


『モキュッ!』


「おねーちゃん、駄目じゃん」


「そんな事言ったって、レコルだって分からなかったでしょ!」


「それはそうだけどさ。もう良いから、早く帰ろうよ!」


「うん。ポム、道案内よろしくね!」


『モキュッ!』


ポムは『任せろ!』と、触覚で胸を叩く様な感じのポーズをしてみせた。



だが、そんな時である。


「うわーーー!!」


「逃げろーーー!!」


「殺されるーーー!!」


「グァオォォォォォ!」


遠くから、人の叫び声と猛獣の唸り声が聞こえてきた。



「おねーちゃん!」


「レコル!」


レコルとサーシアは、顔を見合わせた。


「行ってみよう!」


「うん!」


『『ダダダッ・・・・・!』』


「モキュッ!」


二人は声のする方へ駆け出し、ポムも二人の後を追った。

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