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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第五十話 スラムの騒動⑤

カルトッフェル男爵は、スラムの人達を無理矢理追い出そうとした。


「待ってください!」


僕は我慢できず、咄嗟に口を挟んだ。

すると、衛兵が動きを止めた。


「お前は確か、トルネードポテトを売っていた屋台の店主っ!」


側付きの男が、僕の顔を覚えていた。


「はい」


「何故、此処にいる?」


「この人達を、支援していました」


「支援? もしや貴様が、《ならず者共》を退治したのか?」


「はい。ですが先程男爵様の口から『使いものにならなくなった』と聞こえたのですが、何かご関係でもありましたか?」


「カルトッフェル様は、そんな事言ってない。聞き違いだ!」


「そうですか。まー、良いでしょう」


僕の中では、十中八九繋がってると思っている。



「どけっ!」


「あっ、はいっ!」


そこに衛兵を押し退けて、カルトッフェル男爵が現れた。


「貴様かー! 私の《収入源》を台無しにしたのはー!」


「収入源って何の事です?」


「此処の《ショバ代》と、《奴隷商》から入る金だー。それを貴様は潰しおってー!」


「カッ、カルトッフェル様。衛兵の前です!」


側付きの男が、慌てて諌めた。



「やはり、ならず者や奴隷商とグルだったんですね。街長だったら、困ってる住民を助ける立場だと思うのですが?」


「何処の生ぬるい領地の事を言っている。貴族が平民から《搾取》するのは当然の事だっ!」


「その結果街から人がいなくなったら、誰から搾取するんです?」


「うるさい! 貴様に言われる筋合いは無いわー!」


「そうもいきません。娘の願いでこの人達を支援しているので、見過ごしてしまっては娘に合わす顔がありません」


「娘の願いの為に、男爵の私に楯突く気か?!」


「いけませんか?」


僕はそう言って、《悪事矯正リング》を取り出した。



「「それはっ!」」


男爵と側付きの男が、顔を引きつらせた。

これが何か、分かっている様だ。


「貴様、それを我々に使うつもりか?!」


「さー、どうでしょう」


「くっ! 衛兵、奴は私に逆らう危険人物だ。取り押さえろっ!」


「はっ、はい!」


『『『『『『『『『『ザザザッ!』』』』』』』』』』


僕の前に衛兵が、立ちはだかった。

しかし皆、浮かない顔をしている。



「衛兵さん達、男爵の話しを聞いて何とも思わなかったのか?」


「「「「「「「「「「・・・・・!」」」」」」」」」」


衛兵達が、戸惑いの表情を浮かべた。


「俺達には妻や子供がいる」


「そうか。あんた達にも、引けない立場があるのか」


「「「「「「「「「「・・・・・!」」」」」」」」」」


「貴様等、何をしておる。早く捕まえろ! 解雇にするぞ!」


「はっ、はい。お前等、捕らえるぞ!」


「「「「「「「「「おうっ!」」」」」」」」」


衛兵達は表情を引き締め、僕に襲い掛かってきた。


「《睡眠》」


『『『『『『『『『『バタッ!』』』』』』』』』』


しかし例のごとく、眠らせてしまった。

《威圧》スキルを使わなかったのは、彼等に《殺意》や《悪意》を感じなかったからだ。



「はへっ?」


男爵は間の抜けな顔で、変な声を上げた。


「きっ、きっ、貴様、衛兵に何をしたっ?!」


「魔法で眠らせただけです」


「馬鹿な、魔法だと! 詠唱してなかったではないか?!」


「カッ、カルトッフェル様。あれはおそらく《無詠唱》です。ならず者共も似た様な目に遭ってます。この男、とんでもないです!」


「何、そうなのか? おっ、おい、何とかしろっ!」


「わっ、私には無理です!」


逆に追い詰められ二人は、あたふたした。


「さあ。お二人に、このリングをプレゼントして差し上げます」


そう言って、二人に迫った。



「要らんっ! 近付くなー!」


「こっ、来ないでくれー!」


「何故そんなに嫌がるんです? 《ミスリル製》の《お洒落アイテム》ですよ」


「おっ、お前を、私の部下にしてやる。金もたんまりやる。だから止めろっ!」


「それが交換条件になるとでも?」


「だったら、何が望みだっ?!」


「そうですね。取り敢えず《人頭税》を、元に戻していただきましょうか」


「それはできんっ!」


「領主様の命令だからですか?」


「・・・・・!」


「もしかして、領主様に内緒で私腹を肥やしてたんですか?」


「くっ!」


「図星ですか。この状態では、交渉が長引きますね」


『キッ!』


「「あががーーーっ!!」」


お仕置きとばかりに、《威圧》スキルで二人を失神させた。

そして直ぐに、《悪事矯正リング》を右足首に取り付けた。



騒動から、十日が過ぎた。


あの後カルトッフェル男爵を起こし、交渉の末来年から《人頭税》を元に戻す事になった。

傍から見れば、拷問にも見えただろう。


そしてその事を踏まえ、スラムの人達に家に帰る提案をした。


結果、当分の生活費を提供する事で、帰る決意をする者が多く現れた。

その人達は一人ずつ家まで送り、家族に受け入れられるのを見届けた。


そして最終的に、スラムには七人残った。

この人達は帰る家が無かったり、完全に家族に見放されていた。


そんな事もありながら、今日孤児院が完成した。

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