第四十九話 スラムの騒動④
カルトッフェル男爵は豪華な料理をテーブルいっぱいに並べ、家族と夕食の席に着いていた。
『誰があいつ等を・・・・・。それにあの魔道具・・・・・。スラムの奴等の欠損も治っていたと言っていたな・・・・・』
だが利害関係を共有する《ならず者集団》が壊滅し、困惑していた。
「あなた。難しい顔をされて、どうしました? もしかして、食欲が無いのですか?」
「ハッ! そんな事は無い。考え事をしていただけだ」
「珍しいですわね。大好きな食事中に考え事だなんて!」
「ふんっ! 私だって食事中であろうと、考え事くらいする」
『ガブッ、モグモグ!』
男爵はイライラしながら、熱々のステーキに齧り付いた。
「父上。この《ジャガフライ》、とても美味しいです!」
ジャガフライとは、男爵が名付けた《フライドポテト》の事である。
《トルネードポテト》を元に、料理人に作らせたのだ。
「そうだろう。たかがジャガイモが、油で揚げるだけでこんなにも旨くなる。屋台の店主には感謝せねばな」
「ボク、おやつに毎日食べたいです!」
「うむ、良いだろう。明日から大量に作らせよう」
「やったー!」
後日男爵は、ならず者を壊滅させたのが屋台の店主だと知る事になる。
◇
スラムの四人が無事教会に雇われ、翌日スラムの炊き出しに行く事になった。
昨日の事もあり、心配なので僕も同行した。
ちなみに家族は、教会で留守番をしている。
「今日から、私達が炊き出しに来る事になったよー!」
「嬢ちゃん、料理できたんかい?」
「馬鹿にしたな。私だって料理くらいできるんだからー!」
「そうかい、そうかい。しかしあれだね。顔の傷が治ったら、性格も明るくなったね」
「元々、こうだったんだ。これも《聖人様》のお陰だよー!」
「良かったねー。美人だし、これなら嫁の貰い手もあるさねー」
「やだー、お婆ちゃん。お世辞言っちゃってー! 私は暫く、教会の仕事を続けるんだからー」
そんな会話をよそに、僕はスラムの生活環境を整える事にした。
◇
近くには小川があり、それを生活用水にしていた。
しかしより便利にする為、井戸を掘り手動式のポンプを取り付けた。
そしてトイレは地面に穴を掘っただけで、見るからに不衛生だった。
そこで新たに、個室の便座式トイレを二つ建てた。
「聖人様。この建物は何ですか?」
炊き出しの配膳を終えたボランティアの青年が、話し掛けてきた。
「トイレだよ。向こうには、井戸も掘ったぞ」
「えっ、いつの間に?」
「君達が、炊き出しをしている間だ」
「流石、聖人様! 孤児院を一人で建てるくらいだから、これくらい朝飯前なんですね?」
「まあな」
「中を拝見しても、良いですか?」
「良いぞ」
「ありがとうございます。それじゃ!」
『ガチャッ!』
そう言って、扉を開けた。
「凄く綺麗ですね! ですがこれ、どうやって使うんですか?」
「此処に座って用をたすんだ。そしてこのボタンを押すと、排泄物や使用者の体を綺麗にしてくれる」
「えっ! そんな事、可能なんですか?」
「これは魔道具のトイレだ」
「魔道具のトイレ? ・・・・・凄い!」
「魔道具だから、定期的に魔力の補充が必要だ。《魔石》を渡すから、頼んで良いか?」
「はい、勿論です。みんなにこの事を教えてきます!」
青年は興奮しながら、食事の終わったみんなを集めた。
◇
トイレと井戸の使用方法を、僕からみんなに説明した。
「聖人様。こんな良い物を、感謝しますじゃ」
「楽な姿勢で用を足せて、年寄りにはありがたい」
「水も小川まで行く必要がなくなり、ほんに助かります」
「喜んで貰えて良かった」
『ガラガラガラガラ・・・・・!』
「ん?」
説明が終わり感謝の声を聞いていると、馬車が衛兵を引き連れて近付いて来るのが見えた。
『・・・・・ガラガラガラガラ!』
そしてその一行は、僕達の前まで来て停まった。
スラムの人達は、その様子を不安げに見ていた。
「此処がスラムか。酷い所だ。人の住む場所ではないな」
馬車を降りそう呟いたのは、カルトッフェル男爵だった。
「そうでございますね」
トルネードポテトの代金を支払った、側付きの男もいる。
「金になるからと放置していたが、奴等がああなってしまっては遊ばせておく意味が無くなった」
「やはり、開発を進めるのですか?」
「そういう事だ。それにはこいつ等は邪魔だ」
「確かに」
「排除しろ」
「はっ!」
側付きの男が此方へ来て立ち止まり、視線を向けた。
「ここは領主様より、カルトッフェル男爵様が管理を任された土地だ。勝手に住み着く事は許されない。今直ぐ出て行けっ!」
「「「「「「「「「「そんなっ!」」」」」」」」」」
スラムの住民は、突然の勧告に悲痛な声を上げた。
「男爵様が《人頭税》を上げたから、わしらはこんな場所に追いやられたんじゃ! それをまた追いやるつもりか?!」
「「「「「「「「「「そうだ、そうだー!」」」」」」」」」」
一人が声を上げ、みんながそれに賛同した。
「そんな事は、知った事ではない。《土地代》と《人頭税》が払えないのなら、街から出て行けっ!」
「この年老いた体で行ける場所なんて、ありゃせん!」
「《魔素地帯》なら、カルトッフェル男爵様の管轄外だ。そこへ行けば良いだろう」
「魔物が出る場所に、わし等を追いやるつもりか? 死ねと言ってるのと同じじゃっ!」
「そう言ってるのだが、気付かなかったか? あそこなら、わざわざ死体の掃除をせずに済む!」
「くっ! わしらは、此処を動かんっ!」
「それなら、腕ずくで排除するしかないな」
『チラッ!』
『『『『『『『『『『ザザザザザッ!!』』』』』』』』』』
側付きの男が目配せすると、衛兵達がずらずらと前に躍り出た。
2020年米の国大統領選挙以降《政治系YouTube》を見る様になって、世の中の見方が大きく変わりました。
テレビでは取り上げないヤバい事や、テレビとは違った意見が聞けます。
但し、それらが全て正しいとは思いません。
真実が分からなくて、モヤモヤする事も多いです。
そして今気になっている事は、《上○電力》と《大阪一○一路》です。
序でに《上○カラオケ》も、上げておきます。
C国のハニートラップや利益供与に、一体どれだけの日本人が関わっているのでしょうね。




