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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第四十七話 スラムの騒動③

武装した男達を前にし、サーシアとレコルが戦おうとしている。


しかし僕は嫌らしい笑いを浮かべるこいつ等と、二人を関わらせたくなかった。

そう思った瞬間、《威圧》スキルを放ち失神させてしまった。


「一体、何が起こったんじゃ?」


「何で倒れたの?」


「俺達、助かったのか?」


スラムの人達は、何が起こったか理解できずにいた。


「パパ、ズルいよー。また一人でやっつけちゃったー!」


レコルが、つまらなそうに文句を言う。



「えっ、まさか聖人様が? どうやって?!」


「そんな事より、縄を解いてしまおう。《解縄》」


『『『『『『『『『『ハラリッ!』』』』』』』』』』


「えっ!」


「縄が解けた」


「触れてもいないのに、どうして?」


「魔法だ」


「「「「「「「「「「うおーーー!」」」」」」」」」」


スラムの人達は興奮し、雄叫びを上げた。



その後武装した男達を、ほどいた縄で縛り上げた。


「どうして、こんな事になった?」


「いきなりこいつらが現れて、聖人様と家族の皆さんを出せと」


「そうか、僕達が目的か。『此処を去る』と仄めかしたのに、誤魔化せなかったか」


「それに体が治った理由を聞かれ、《魔法薬》を寄越せと脅されたり、俺達を《奴隷商》に売るとまた言い出して」


「治療した事で、かえって迷惑を掛けたな」


「そんな事ないっす。みんな喜んでましたから」


「だがこのスラムには、居辛くなったろ」


「こいつ等がいる限り、そうっすね。俺達はスラムを出ていけば良いけど、年寄りや問題を抱えてる奴達は行く所がないっすから」


「ここまで関わってしまうと、放っとく訳にいかないか・・・・・」


この件を、どうやって解決するか悩んだ。



スラムを直ぐに出て行く意思のある者は、十九人。

残り二十八人の安全を、確保しなければならない。


サーシアに付き合って旅を続ければ、こんな事はいくらでも起こりうる。

その度に保護していては、何千人にもなってしまう。


こんな《慈善活動》、いずれ無理がくる。


「パパ、大丈夫?」


「正直、凄く困ってる」


「そうなの? でもパパなら、きっと何とかなるよ!」


「サーシア」


「なーに?」


「サーシアが言い出した事なんだから、パパに任せっきりじゃ駄目だ」


「そうだった。サーも一緒に考えなきゃ!」


『ニコッ!』


うん、可愛い。

そして、純粋過ぎる。


『こんな慈善活動を続けるより、サーシアには自分の幸せを追い求めて欲しい』と思った。



「ニコルちゃん」


「何?」


「炊き出しは?」


「そうだった。みんなお腹を空かせてるだろうから、そっちが先だな。ミーリア、サーシア、頼む」


「「はーい!」」


魔法袋を預け、二人に炊き出しを任せた。



炊き出しの間、一人で妙案を考えていた。

しかしこれといった案は、思い浮かばなかった。


「しょうがない。一時凌ぎだが、あれを使うか」


そう言って、《悪事矯正リング》を取り出した。

そして失神した男達の右足首に、装着していった。



『ペシペシッ!』


「起きろ!」


大柄のボスらしき男の頬を、叩いた。


「うっ」


男は意識を取り戻し、目を開いた。


「俺が誰だか分かるか?」


「ひぃー、許してくれー!」


「ああ、今回は許してやる」


「マジか?」


「ああだがな、次は許さない。保険として、右足首にリングを取り付けた」


男は右足首に、視線を移す。



「これは?」


「魔道具だ。悪事を考えただけ(・・・・・・・・)で激痛が走るから、気を付けろよ」


「そんなもんが、あるのか?」


「忠告はしたぞ。疑うなら試してみろ。《解縄》」


『ハラリッ!』


「縄が解けた。あんた、魔法が使えるのか?」


「みんなを起こして、サッサと帰るんだな」


「あんた、一体?」


「ただの商人だ」


僕はそう言い残し、家族の元に戻った。



「うひーーー!!」


「うぎゃーーー!!」


「いってーーー!!」


「馬鹿野郎、何度言ったら分かる。余計な事を考えるんじゃねー!」


男達は暫く悲鳴を上げていた。

そして、何とか帰っていった。



「聖人様、すげーすっ! あいつ等に何をしたんすか?」


「特殊な魔道具を付けた。悪さを考えただけで、ああなる」


「そんな物まで持ってるんすか。聖人様は、やっぱすげーや!」


「そんな事より、スラムを出る奴に物資と金を配る。みんなを集めてくれないか?」


「えっ、もう全員分用意できたんすか?」


「そういう事だ」


「分かりました。野郎共を集めてきます。ついでに魔道具の説明もしときますよ!」


ロイドは僕の代わりに、みんなに《悪事矯正リング》の説明をしてくれた。

すると安心感からか、みんなの顔が綻んだ。


そしてスラムを出る人達が、僕の元に集まった。



一時間掛けて、一人ずつ物資と金を渡し終えた。


「こんなに貰って良いんすか?」


「ああ。その替わり、二度とスラムの住民になるなよ」


「はい。絶対戻らないっす!」


「俺も!」


「私も!」


「それと《孤児》を見掛けたら、保護して教会に連れて行ってくれ」


「「「「「「「「「「任せてください!」」」」」」」」」」


これで孤児が奴隷になる危険性が、かなり下がった。


「後は君達だ。マザーに紹介するから、採用されるよう頑張ってくれ」


「「「「はい!」」」」


教会の手伝いをしたいと、男女二名ずつ名乗り出た。

採用するかはマザー・テレジアが決めるとして、紹介する事になった。

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