表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
351/401

第四十五話 スラムの騒動①

2022/06/01 登場人物ダニーを、イワンに変更しました。

僕は大病や大怪我を抱えている人達を、《エリクサー》と《上級エリクサー》を使って治した。

彼等は同時に体力も回復し、元気も取り戻した。


「これでまた、《魔物ハンター》に復帰できるぞ!」


「あんな酷い目に遇ったのに、またやるのか?」


「やられっぱなしじゃ、気がすまねー。強くなって、やり返してやる!」


「俺はもうこりごりだ」


「何だよ、付き合えよ!」


「俺はもっと安全な仕事に就く。それはそうとイワン、装備はどうする気だ?」


「あー、そうだった。先立つ物がねーんだ!」


僕はそんな彼等に、声を掛けた。



「スラムを出るなら、金や物資を援助するぞ」


「「「「「えっ!」」」」」


「聖人様。それは本当っすか?」


イワンと呼ばれた青年が、三下口調で問い掛けてきた。

右脚の欠損を、最初に治した青年である。


『聖人様』を止めろと言っても聞かないので、スルーする事にした。


「ああ。ただし、条件がある」


「何すか?」


「街の教会に、孤児の保護とスラムの炊き出しの依頼をした。その為の資金も提供してある。手の空いてる時、教会の手助けをして欲しい」


「この脚を治して貰ったんだ。そんなのお安いご用ですよ!」


「俺も、やります!」


「私も、お手伝いします!」


彼等は、素直に応じてくれた。

そして今後やりたい事を聞き出し、それに見合った物資や資金を提供する事になった。


「ん?」


だがそんな時、不穏な気配を感じた。

そちらに視線を移すと、廃村でヤマトに変装して追い払った男達が近付くのが分かった。


スラムの人達もそれに気付き、子供達を急いで隠した。



「おい。何だかいつもと、様子が違くねーか?」


「こいつら、小綺麗になってやがる!」


「そう言えば」


「んっ? 確かこいつ、片脚が無かった筈だが」


「こいつも、片腕が無かった筈だ!」


「テメー等、どうやって治した?!」


「「「「「「「「「「・・・・・!」」」」」」」」」」


男が問い質したが、答える者はいなかった。



「シカトすんじゃねー!」


「いてー目に遭わすぞっ!」


更に威圧するが、みんな黙りだ。


「よーし分かった。五体満足になった奴等は、今直ぐ《奴隷商》行きだっ!」


「税金も払えねーんだから、当然だよなっ!」


「お前等に、そんな権利無いだろっ!」


イワンが文句を言った。


「「「「「そうだっ!」」」」」


それに同調する者達もいた。



「俺達は、此処の《ショバ代》を納めてんだっ!」


「テメー等が此処に居られるのも、俺達のお陰なんだよっ!」


「お前等は行き場の無い弱い者を、食い物にしてるだけだろっ! この下衆野郎っ!」


「「テメー!」」


男達は激怒し、イワンに襲い掛かろうとした。


「ダメー!」


するとサーシアが、叫び声を上げた。



「「ん?」」


サーシアの可愛い声に反応し、男達は襲うのを止め振り返った。


「うひょー、可愛い嬢ちゃんがいるじゃねーか!」


「こりゃー、上玉だ。高く売れるぜー!」


男達はうって変わって、喜びの声を上げた。

そしてサーシアに、向かって行った。



「おねーちゃんに、近付くなっ!」


近付く男達の前に、レコルが立ちはだかった。


「嬢ちゃんの弟か。坊主も可愛いツラしてるじゃねーか!」


「へっへー、今回はほんと良い稼ぎになるぜー!」


サーシアだけでなく、レコルも男達の標的になってしまった。



「そこまでだ!」


「何だ、お前?」


「この子達の父親だよ!」


「そう言えば、確かに似てやがる」


「こいつも貴族のババーに、高く売れるぜー!」


「ニコルちゃん!」


「パパー!」


「はっはー。上玉の嫁さんと、もう一人可愛い娘がいやがった!」


男達は、心配するミーリアとエミリアも標的にした。



「どうやら、スラムの新入りじゃなさそうだな?」


「旅の商人だ」


「そうかい。だが、そんなの関係ねーな!」


「此処で会ったが運の尽き。家族纏めて売り飛ばしてやるぜっ!」


「お前等は、スラム以外の者にも手を出すのか?」


「さあな」


「金になりゃ、何だって良いんだよっ!」


「屑だな」


「誰が屑だ。意気がってんじゃねーぞ!」


「舐めんじゃねーぞ、ごらー!」


男達の標的は僕に変わり、襲い掛かって来た。



『ガシッ!』


「あがっ!」


『ドスッ!』


「うぐっ!」


『『ドサッ!』』


しかし顔面と腹に拳を見舞ってやり、何もする暇を与えなかった。

その衝撃で、二人は地面に伏した。



「あががっ!」


「うぐぐっ!」


「手加減したんだが、遣り過ぎたか?」


「パパ、ズルいよー。僕がこいつらやっつけたのにー!」


レコルが文句が言う。


「パパがいない時は、みんなを頼んだぞ」


「ちぇっ!」


確かにレコルなら、こいつらを余裕で倒せた。

しかし親の立場から、こんな奴等に関わらせたくなかった。


そんな事を考えていると、男達は痛みを堪え立ち上がった。



「テメー、このまま、ただで済むと、思うな」


男は痛みを堪え、やっと喋っている。


「まだやる気か?」


「腕に、自信が、ある様だが、こいつならどうだ!」


そう言って男達は、ダガーナイフを手にした。


「あー、怖い怖い。早く街から逃げないとー」


言葉とは裏腹に、舐めた口調で言った。



「くそっ、舐めやがって!」


「こいつだけ、殺っちまうか?!」


「ああ。子供や嫁だけでも、良い金になる!」


「物騒な話しだ。だが家族の為に、殺られる訳にいかない」


『キッ!』


「「ひえーーー!」」


『『ストッ!』』


男達に《威圧》スキルを放つと、悲鳴を上げ手に持ったダガーナイフを落とした。



「どうした。掛かって来ないのか?」


『『ガクガク、ブルブルッ!』』


「こっ、殺される!」


「ああ、こいつはヤバい。にっ、逃げるぞっ!」


男達は、慌てて逃げていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ