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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第三十六話 ニコル、家族と王都へ⑥

僕達家族は公爵家の大勢の兵士に囲まれ、今にも捕獲されようとしていた。


「こんな《理不尽》、受け入れられません!」


「抵抗すれば、痛い目を見るぞ!」


「力ずくと言うなら、こちらも抵抗しますよ」


「この人数を、相手にしようというのか?」


「そういう事になりますね」


「馬鹿な。家族も一緒なのだぞ!」


「心配には及びません。《結界》」


被害が及ぶ前に、家族に《結界》を張った。



「なっ! 無詠唱で《結界》だとっ!」


「イザベラ副隊長。こんな優男、私に任せてください!」


「おい。副隊長の前で格好つけるな。俺も行くぜ!」


「抜け駆けはさせん。私も行く!」


三人の兵士が警戒もせず、僕に近付いて来た。


「待てっ! 奴には《威圧》スキルが」


『キッ!!』


「ひえーーー!!」


「うわーーー!!」


「ぎゃーーー!!」


『『『バタッ!』』』


女性指揮官が三人を引き止めたが、僕は構わず《威圧》スキルを放った。

昨日より強力だった為、失神して倒れてしまった。



「くっ! 勝手な行動をするからだ。だが貴様のスキルは確認できた。報告以上の威力だったがな」


「そう思うなら、もう争いは止めましょう。このまま、引き下がってください」


「ふざけるなっ! フリーデン公爵様の命なのだぞ。おめおめと、引き下がれるかっ!」


「今引き下がらないと、皆さん同じ目に合いますよ!」


『『『『『『『『『『ゴクリッ!』』』』』』』』』』


僕の言葉に反応し、兵士達は唾を飲み込んだ。



「皆、怖じ気付くなっ! 囲んで一気に畳み掛けろっ!」


「「「「「「「「「「うおー!」」」」」」」」」」


注意したにも関わらず、兵士達は僕に向かって来た。


『キッ!!』


《威圧》スキルを《危機感知》スキルと連動させ、方向に関係無く個別に放った。


「「「「「「ひえーーー!!」」」」」」


「「「「「うわーーー!!」」」」」


「「「「「ぎゃーーー!!」」」」」


兵士達はレジストできず、皆悲鳴を上げ倒れた。



「残るは、貴女だけです!」


兵士達を介抱させる為、女性指揮官は敢えて残した。


「馬鹿なっ! 貴様は、一体何なのだっ?!」


「只の旅行者です」


「バロン殿下やグルジット伯爵家と繋がりがある事は分かっている。何を企んでるっ?!」


「企んでなんていませんよ。言い掛かりは止してください」


「どちらにせよ、このまま引き下がる訳にはいかぬ。《威圧》スキルを受ける前に、決着を付けるっ!」


『ジャキンッ!』


『ダッ!』


女性指揮官は剣を抜くと、その直後姿を消した。

その刹那《危機感知》スキルが働き、その場から離れた。



『シュタッ!』


『ブオンッ!』


すると女性指揮官の剣が、先程僕がいた場所で空を切った。

《瞬動》スキルを使って、僕に迫ったのだ。


「なっ! 避けただと」


「危ないですね。避けなければ、死んでましたよ」


「剣の腹で切った。死ぬ筈は無い!」


僕の目でもそれは見えていたが、敢えて茶化す様に言った。



「女性を傷付けたくないので、引いていただけませんか?」


「くっ! 舐めるなっ!」


『ブオンッ!』


『サッ!』


『ブオンッ!』


『サッ!』


『ブオンッ!』


『サッ!』


『ブオンッ!』


『サッ!』


女性指揮官が連続で剣を振るうが、僕は体捌きで悉くかわした。



「人の大勢いる繁華街で暴れたら、迷惑ですよ」


「貴様が逃げるからだっ!」


「そりゃ剣を向けられたら、逃げますよ」


「うるさいっ!」


『ブオンッ!』


「《防御力強化》」


『ガシッ!』


「馬鹿なっ!」


《防御属性魔法》で身体の防御力を上げ、右手で剣を掴んだ。



「このまま続けたら、衛兵までやって来ます。終わりにしてくれませんか?」


「剣を放せっ!」


『ブオッ!』


僕の忠告を聞かず、女性指揮官は蹴りを放った。


『キッ!!!』


「キャーーーーーーーッ!!!」


『仕方無い』と思いつつ兵士達より更に強力な《威圧》スキルを放ち、女性指揮官の攻撃を止めた。

女性指揮官は悲鳴を上げたが、辛うじて立っていた。


「これを耐えますか? 大した胆力ですね」


しかし脚を伝って、液体が滴り落ちてきた。


「はわわわわわわわっ!」


『ガクガク、ブルブル!』


「《清浄》」


僕は《生活属性魔法》で、女性指揮官の服や体を綺麗にしてやった。

このまま放置したら、流石に気の毒に思えた。



「もう私達家族には、関わらないでください!」


「ひいーーーーー!!!」


「聞こえてます?」


「わっ、わっ、分かりました。もう関わりません!」


「約束ですよ」


『ニコッ!』


僕は家族の元へ戻り、《結界》を解いた。


「「「パパー!」」」


「ニコルちゃん、怪我は無い?」


「大丈夫。それより、今はこの場から離れよう」


「「「「うん!」」」」


回りが騒ぎになっていたので、僕達は逃げる様にこの場を離れた。



「ねえ、ニコルちゃん。二日続けて酷い目に合ったけど、こういう事って良くあるの?」


「そうだなー。多くはないけど、少ないとも言えないなー」


「貴族って、やっぱり怖いわね」


「権力を翳して理不尽な事をするから、機嫌を損ねない様にしないとな」


「パパ。マイク様やソフィア様は、あんな事しないよね?」


「大丈夫だと思うよ。けど正直なところ分からない」


「どうして?」


「世間で良い人だと言われてる人が、実は悪い人だったなんて話しは良く聞く。信じたばかりに、痛い目をみるんだ」


「そんなの嫌だよー!」


「みんなはパパが守るから、安心して」


「うん!」


サーシアは素直だから、エシャット村を出た時《変な男》に騙されないか心配である。

人に対する《警戒心》を、もっと学ばせる必要があった。



「でもあの人達、もう来ないのかしら?」


「主人の公爵次第だろうなー」


「王都観光はどうするの?」


「ミーリアはどうしたい?」


「観光は続けたいけど、危険なら王都を直ぐに出ましょう」


「今晩の宿は諦める事になるけど、良いんだね?」


「うん」


僕達は宿に戻り、残り二泊分をキャンセルした。

前払いしたお金は戻らないと思っていたが、一日分戻ってきた。


僕達はその日の内に王都を離れ、次の目的地ノーステリア大公爵領の領都を目指した。

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