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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第三十二話 ニコル、家族と王都へ②

マイク様とバロン殿下が現れ、お茶の時間は延長された。

サーシアはちゃっかりケーキをお代わりし、やがてお茶の時間が一息ついた。


「もうそろそろ、調理を始めて宜しいでしょうか?」


「そうね、厨房に案内するわ」


「お願いします」


「私も料理を覚えたいので、見ていて良いですか?」


「構わないよ」


「私は、味見役をさせて貰おう!」


「僕も行きます!」


結局ここにいる全員で、厨房に移動する事となった。



「バルトロメオ料理長、こちらがニコル君とサーシアちゃんです。しっかり、《ボール焼き》の作り方を覚えてちょうだいね」


「はい、ソフィア様」


「ニコルと申します。宜しくお願いします」


「サーシアでーす」


「わしは料理長のバルトロメオだ。二人共、宜しくな!」


「「はい(はーい)!」」


「ところで貰ったレシピで、タコ・鰹節・紅生姜・青海苔・天カスが手に入らなかったんだが」


「あっ、情報が不足しててすみません。鰹節・紅生姜・青海苔は僕が独自に作った物で、元々手に入りません。タコは捕れる数が少なく、直ぐに売り切れてしまうのでしょうね。天カスなら簡単に作れます」


鰹節・紅生姜・青海苔は、材料を集め錬金術で作った物である。


豚カツソースやマヨネーズもレシピにあったが、どうやら揃えられた様だ。

勇者が《御食事処やまと》にレシピを伝えたのが、いつの間にか広まったのだろう。



「手持ちの材料だけで、作れるのか?」


「そうですね。近いものは作れます。色々と工夫しながら作りましょう」


「今更愚痴を言ってもしょうがねー。旨い物を頼むわ!」


「はい。ですが材料は一通り持って来たので、最初はそちらを使って説明します」


「持って来たのか? オリジナルを、是非味見をさせてくれ!」


「勿論です。あと器具は、此方を使います」


僕は魔法袋から、《ボール焼き鉄板》と《専用の串》を取り出した。


「おー、これが穴の空いた鉄板か?」


「大きさの違う物を幾つか用意したので、コンロに合う物を使います」


「そうか。うちのコンロはこっちだ!」


この後準備を整え、サーシアが調理をし僕が解説をした。



『クルッ、クルッ、クルッ・・・・・・・・・・!』


「じょーちゃん、手際が良いな!」


「毎日やってるからね」


正直、僕よりも手慣れている。


「良し、できた!」


サーシアはでき上がった《ボール焼き》を皿に取り分け、トッピングをしていった。


「バルトロメオさん、食べてみて!」


いつものメインの具タコ・エビ・チーズ・トウモロコシに、ベーコンを追加している。


「おー、これで完成か。本当に見た事も無い面白い料理だ!」


バルトロメオ料理長は皿を受け取ると、直ぐには食べずまじまじと《ボール焼き》を観察した。


その間サーシアは、待ちわびるマイク様達の分を皿に取り分けた。



「良し、食べるぞ!」


『はむっ! はふはふ、もぐもぐ。ごっくん! ・・・・・・・・・・!』


バルトロメオ料理長は皿に盛られた五個の《ボール焼き》を、一個一個味わいながらたいらげた。


「外がカリカリ中がトロトロ、そして薄力粉に混ぜたスープが味に深みを与えている。時折感じる酸味と辛味は、紅生姜だな。良いアクセントになっている。またメインの五種の具はどれもマッチし、トッピングの豚カツソース・マヨネーズ・鰹節・青海苔が濃厚かつ複雑な味に仕上げている!」


「凄い感想だね!」


「流石です料理長っ! 分かってらっしゃる」


「出汁と呼んでいるスープとトッピングに使った鰹節は魚の様だが、一体何なのだ?」


「そうですね。ざっくりと言えば、鰹という海の魚を煮詰めて、燻製にし削ったものです」


出汁は昆布でも代用は効くが、エステリア王国の海では採れなかった。



「成る程。これが手に入れば、料理の味に深みを出せるな。分けてくれんか?」


「残念ですが、譲れる程の量を作ってません。紅生姜と青海苔も同様です」


「無い物はしょうがないな。しかしお前さん、大したものだ!」


「ありがとうございます。それで鰹節の出汁の替わりに、鶏のコンソメスープを使おうと思うのですが」


「コンソメスープか。それなら、作り置きがある」


「それは良かった」


「紅生姜の替わりは、取り敢えず普通の生姜でいいな?」


「そうですね」


「青海苔の替わりは、パセリで良いか?」


「はい。先程も言いましたが、色々試して美味しい物を完成させましょう」


「良し、分かった。やってみよう」


バルトロメオ料理長は、手際良く調理を始めた。

一回説明しただけで、手順を覚えてしまっている。


「すごーい、バルトロメオさーん!」


「長年料理をやってるからな。だが串捌きは、お嬢ちゃんには敵わんよ」


バルトロメオ料理長は謙遜しているが、初めてにしてはなかなか上手である。



「できたぞ。味見してくれ!」


「はい」


「美味しそう!」


メインの具はタコを除いたベーコン・エビ・チーズ・トウモロコシの四種類で、トッピングはマヨネーズと豚カツソースとパセリが使われている。

バルトロメオ料理長は、手持ちの食材だけで作り上げた。


食べてみると普通に美味しく、《洋風ボール焼き》という感じだ。

トマトソースや、バジルソースが合うかもしれない。


「バルトロメオさん、美味しいよ!」


「うん、美味しいです」


「そうかい。どれ、俺も」


『はむっ! はふはふ、もぐもぐ。ごっくん!』


「おー、これはこれでいけるぞ!」


「おい、私にもくれ。サーシアちゃんが作った分だけじゃ、物足りん!」


「これは失礼しました。今、皿に取り分けます!」


マイク様は、《ボール焼き》を気に入った様だ。



『はむっ! はふはふ、もぐもぐ。ごっくん!』


「バルトロメオ、旨いじゃないか?!」


「ありがとうございます」


「バルトロメオ料理長。一つ提案があります」


「何だ、ニコル?」


「トッピングをトマトソースやバジルソースに替えても、美味しいんじゃないですか?」


「確かに。コンソメスープには、そっちが合いそうだ!」


バルトロメオ料理長は新たにソースを作ると、次から次へと《ボール焼き》を作り、中に入れるメインの具も色々挑戦していった。

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