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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第二十八話 バロン初めての海①

バロン達は保養所へ行く前に、サーシアの案内で海岸を訪れた。


「これが、海!」


「どう、凄いでしょ?」


「はい、お祖母様。こんなに広くて大きいとは、思いませんでした」


「初めて海を見た人は、みんなそう言うのよ」


「来て良かったわね?」


「はい、母上!」


「四年前までは、私達も来れなかったんだ!」


「どうしてだ?」


「山があって、行き来が大変だったんだって」


「それでは今通って来たトンネルは、四年前にできたのだな?」


「うん。パパが作ったんだ」


「サーシアの父親が?」


「サーシアちゃんのパパは、凄いのね」


「うん。パパは凄いんだよ!」


サーシアは父親を誉められ、誇らしげにした。



「それにしても、人々の肌の露出が多いな」


素直にニコルの事を認められずばつが悪くなったバロンは、話題をすり替えた。


「前は『ハレンチ』なんて言われたけど、今はそこまでじゃないみたい」


「夏の海が、人を大胆にさせるのかぁ・・・・・」


思春期に差し掛かったバロンには、思うところがあった。


「でも日焼け対策をしないと、お肌が焼けちゃうわ」


「スーパーで買った《日焼け止め》を塗れば、大丈夫ですよ」


「サーシアちゃんが勧めてくれたクリームね。水着に着替える時、忘れない様にするわ」


「ですがお祖母様。回りは、肌が焼けている者ばかりですよ」


「日焼けは若い内は健康的で良いけど、年を取るとシミに変わるのよ」


「そうなのですか。では焼かない方が、肌に良いのですね?」


「そうよ」


そんな話しをし、店や露店の立ち並ぶ通りを見て歩いた。



「何だろ、あれ?」


そこにはステージが設置され、催し物の準備が行われていた。


「なーんだ!」


サーシアが近くへ行って確認すると、『フロリダビーチ 水着・筋肉コンテスト!』という看板が掲げられていた。


「キミ、かわうぃーね!」


するとチャラい男が、いきなりサーシアに声を掛けてきた。


「えっ、サーの事?」


「そうそう、サーちゃん。キミだよ!」


「何の用?」


「サーちゃんかわうぃーから、午後から開かれる《ジュニア水着コンテスト》にエントリーしなーい?」


「ジュニア水着コンテスト?」


「手足は長いしチャーミングだから、上位を狙えると思うよー!」


「サー、出ないよ」


「そんな事言わず、出てちょうだいよー。実は出場者が足りなくて、僕ちん困ってるのよー!」


「今、忙しいのっ!」


「良いから、良いから。ちょっとあっちで、水着に着替えようか?!」


「嫌っ、放して!」


男はサーシアの腕を掴み、強引に連れて行こうとした。



「おい、お前。サーシアを何処へ連れて行く!」


「ん? 何だガキッ!」


「貴様っ! バロン様にその様な口を利くとは、罪は免れんぞ!」


「なっ、なっ、何だお前らは!」


地味な服を着ていて、王族や近衛騎士とは気付かなかったのだろう。

男は一瞬で、近衛騎士に組伏せられた。



「こ奴、如何致しましょう?」


「そうだな。《少女誘拐》の罪で、《砂埋め》の刑にでもするか?」


「頭も埋めますか?」


「勿論だ」


「ヒャー、止めてくれー! 俺は誘拐なんてしてない。誤解だー!」


「どうやって証明する?」


「本当に困ってたんです。今年から開催されるジュニア部門のコンテストの出場者が少なくて。主催者に確認してください!」


「そうか。確認してきてくれ」


「はっ!」


近衛騎士が確認したところ、どうやら男の言う事は本当だった。

サーシアが男を許したので、今回は罰を受けずに済んだ。


主催が水着工房という事で、お詫びに全員分の新作水着を貰った。



「こんな事なら、水着買わなきゃ良かったね?」


「そんな事無いわ。貰った水着は肌の露出が多くて、恥ずかしくて着れないもの」


「ユミナ様、似合うと思うんだけどなー?」


「ありがとう。ところで、そろそろお腹空かない?」


「空いたかも」


「サーシアちゃん、美味しいご飯を食べられるところ知ってる?」


「パパが『ご飯を用意しておく』って、言ってたよ」


「そうなの? 御馳走して貰ってばかりで悪いわ」


「でも折角だから、保養所に行こうよ!」


「そう。それなら、サーシアちゃんの招待にあずかるわね」


「うん!」


一行は馬車に乗り、保養所へ向かった。



僕とミーリアはバーベキューの用意をし、バロン殿下達を待ち受けた。

ちなみにこの海の保養所も素泊まりで、食事は出ない。


「パパ、ママ。バロン君達、連れて来たよー!」


「おー、来たか。食事はどうした?」


「まだだよ!」


「そうか。庭でバーベキューをするから、ミーリアと一緒に連れて来てくれ」


「みんな水着を買ったから、着替えてきて良い?」


「それなら、空いてる部屋で着替えて貰ってくれないか」


「はーい!」


「レコルも行って、馬の食事を頼む」


「はーい!」


庭には屋根付きのバーベキュー場があり、強い日差しを避けながら食事をする事ができた。



「ニコル君、お邪魔します」


『ドキッ!』


ユミナが、水着姿で庭に現れた。


上品で比較的露出が少なく、更に上着を羽織っている。

しかしボリューミーな胸元に、つい視線がいってしまった。


「ああ、いらっしゃい!」


僕は直ぐに視線を上げ、何食わぬ顔で挨拶した。


「貴様、今イラらしい目で母上を見ただろ!」


「うえっ!」


そんな様子をバロン殿下に指摘され、狼狽えてしまった。



「あら、バロン。貴方もサーシアちゃんに、見蕩れてたでしょ?!」


「はっ、はっ、母上っ!」


「そうなの、バロン君?」


『カァァァッ!』


サーシアに問われて、バロン殿下は顔を真っ赤にした。

お陰で、僕への尋問どころでは無くなった。


バロン殿下も男なら、この気持ちその内理解してくれる事と願いたい。

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