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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第二十六話 フロリダ街のデート②

フランソワにデートを邪魔され、バロンはイライラしていた。


「僕達は他所へ行く。フランソワは、この店でゆっくりするが良い。サーシア、行こう」


「うっ、うん」


「待って下さい! 私も御一緒させて下さい!」


「駄目だ。ついて来るな!」


「そんな・・・・・」


「フランソワ、どうした?!」


するとそこへ、端正な顔立ちの少年が現れた。



「お兄様っ!」


「デューク」


現れたのはフランソワの二歳年上の兄、デューク・フリーデンだった。


「これはこれは、バロン殿下。それにユミナ殿下にソフィア様。こんな所で会うなんて奇遇ですね」


「「「そうだな((そうですね))」」」


「我々はこの街に着いたばかりでして、これから温泉宿へ向かうところです」


「あら、私達は昨日からよ」


「そうでしたか。宿でもお会いするかもしれませんね。ところで、そちらの可愛いらしいお嬢さんは?」


バロン達と一緒にいるサーシアが、デュークの目に止まった。



「お兄様、その娘は平民です。名前を聞く必要などありませんわ!」


「平民? 殿下は平民と戯れておられるのですか?」


「お前達は、似た者兄妹だな。僕が誰といようが、関係無いだろ!」


「殿下。御自分の立場を、理解された方が良いですよ」


「うるさい、黙れっ! サーシア、行こう!」


「あっ!」


バロンはサーシアの手首を掴み、今度は本当に店を出て行った。



「デュークさん、フランソワさん!」


「「はいっ!」」


「サーシアちゃんは私にとっても大切なお嬢さんなの。平民だからって、蔑んだ物言いは止めて下さらない!」


「いや、あの、その・・・・・、はい」


「分かりました」


二人はユミナの迫力に、萎縮してしまった。


『ニコッ!』


「分かってくれれば、良いのです。私と母も失礼しますね」


「「はい」」


ユミナが店を出ると、ソフィアは軽く会釈し後を追った。



「ユミナ殿下まで怒らせてしまった。あの娘は一体、何者だ?」


「知りませんわ! でもバロン様、あの娘に御執心の様で悔しいです!」


「平民でもあの容姿では、分からんでもないな」


「お兄様まで!」


「ははっ。今回は残念だったが、挫けずに頑張る事だ」


「言われるまでも、ありませんわ!」


二人も店を出て、護衛を引き連れ温泉宿へ向かった。



「サーシア、海へ行こう!」


「もう行くの?」


「あいつらが来たからな」


「仲、悪いの?」


「いや。あいつらとは、特別悪い訳じゃない」


「そうなんだ。ところでバロン君、水着持ってる?」


「持ってない」


「海に行くなら、あった方が良いよ」


「そうか?」


「うん。向こうの店で、売ってるよ」


「ふむ。それじゃ、行こうか」


バロンは店を出てからも、掴んだサーシアの手を放さなかった。

ユミナとソフィアは、それを微笑ましく見ていた。



店に到着すると、今年の新着水着を見て驚く者達がいた。


「こっ、これは下着じゃないのか?!」


「あらあら。流石にこれを人前で着るのは、恥ずかしいわー!」


「確かに、肌の露出が多いですね」


「そうかなー? サーは大丈夫だよ!」


店にはビキニの水着が、ずらりと並んでいた。

今はまだ、女性が肌を露出するのは良しとされないご時勢である。



だがその原因を作ったのは、ニコルだった。

例の如くリートガルド男爵が、ニコルに《海岸地域発展》の相談を持ち掛けたのである。


その案として上がったのが、《水着コンテスト》だった。

ニコルが提供した水着をフロリダ街の服飾工房が複製し、それを着させて出場させたのだ。


出場者は若い女性限定で、上位三人には賞金が出された。

そして参加者全員に、着ている水着がプレゼントされた。


これが大当たりし、人を集める結果となった。

更に海の家の海鮮料理や、バーベキューが話題を呼んだのである。


それが一昨年の事で、昨年は水着の肌の露出が一気に増えた。

そして、今年のビキニに繋がった。



「サーシアは、これを着るのか?!」


「サーのは、フレアスカートが付いたタイプだよ」


「スカート。そんなのもあるのか?」


「ほら、これ」


サーシアは、近くにあった水着を見せた。


「本当だ。でも、まだ露出が多い気がする」


「そういう人には、こっちがお勧め」


「これは、普通の服じゃないのか?」


「水着だよ。ちゃんと濡れても大丈夫な素材でできるんだ」


「なるほど。サーシアは、物知りだな」


「そんな事無いよ」


二人の様子を、ソフィアが見ていた。


「この水着なら肌の露出も少ないし、着れるかしら?」


「そうですね。私も此方のデザインにします」


「サーシア。男性用水着を見に、一緒に来てくれるか?」


「いいよ!」


バロンとサーシアは、男性用水着を見に行った。



バロンは複数ある男性用水着から、無難な膝丈サイズの水着を選んだ。

いわゆる、《サーフパンツ》というやつである。


「しかし、これをはく奴がいるのか?」


バロンは《ブーメランパンツ》を手に取り、呟いた。


「いるよ。水の抵抗が少なくて、泳ぐのにいいんだって」


「成る程」


「でも殆んど、《筋肉自慢》の人がはいてる」


「きっ、筋肉自慢?!」


「うん。昨年《筋肉コンテスト》っていうのが開催されたんだ。賞金も出るんだよ」


《水着コンテスト》に味をしめ、新たに男性向けに催されたのだ。


『世の中には、僕の知らない世界があるんだ』と、バロンは思った。



「そう言えば、母上とお祖母様は?」


「まだ選んでるみたい。女性は色々と時間が掛かるんだよ」


「どうしてだ?」


「ほら、サイズとかあるじゃない」


そう言ってサーシアは、自分の胸に手を当てた。


『カーッ!』


バロンはその動作につられサーシアの胸元を見てしまい、顔を赤くした。


「バロン君、大丈夫? 顔、赤いよ」


「だっ、大丈夫。ちょっと、暑いだけ!」


バロンはサーシアから顔を逸らし、誤魔化した。



「二人共、お待たせ」


そこへ、ソフィアとユミナが現れた。


「みっ、水着を選び終わったのですね。それでは会計を済ませて、海へ参りましょう」


「バロンちゃん。海用のサンダルも買って行くから、もう少し待ってね」


「そっ、そうですか」


「あら、顔が赤いわね?」


「だっ、大丈夫です。何でもありません!」


「それなら、良いんだけど」


この後会計を済ませサンダルを買い、一行は海へ向かった。

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