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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第二十五話 フロリダ街のデート①

朝食をサンドウィッチで軽く済ませ、僕達家族は馬車で保養所を出た。


「パパ達も、一緒に街を見て回ればいいのに!」


サーシアが御者台に身を乗り出し、僕に提案した。


「偶にはパパ達抜きでも、いいじゃないか。海の保養所で色々準備して待ってるから、バロン殿下達の案内を頼むよ!」


王族という立場から、自由な恋愛が難しいバロン殿下だ。

少しでも、デート気分を味あわせてあげる事にした。


「パパがそう言うなら、そうする!」


「それにしても、サーシア。今日はいつも以上に、可愛いな」


「ありがとう。ママがやってくれたんだ!」


そんな会話をしている内に、馬車は温泉宿に到着した。



馬車を駐車場へ止め、僕とサーシアだけ馬車を降りた。

そして正面玄関へ行くと、バロン殿下が護衛を携え待っていた。


「バロン君、お早う!」


『ドキッ!』


「おっ、お早う」


バロン殿下は、おめかししたサーシアに見蕩れた様だ。


「バロン殿下、お早うございます」


「ああ」


バロン殿下の僕への態度は、相変わらずである。

『どうにかならないものだろうか?』と、思ってしまう。


「私達は先に海へ向かいますので、サーシアを宜しくお願いします」


「分かった」


「じゃあな、サーシア」


「うん!」


サーシアをバロン殿下に預けると、僕はいそいそとこの場を離れた。



「バロン君って、パパの事嫌いなの?」


「いや、そういう訳じゃ」


「それなら良いんだけど」


バロンは幼い頃から、ユミナに近付く男を遠ざけてきた。

今でもそれは変わらず、ニコルもその対象となっていた。



ユミナとソフィアが来るのを待って、バロン達は馬車で繁華街へ繰り出した。


「温泉宿、どうでした?」


「料理は美味しいし、何より温泉が良かったわ。お肌がいつもよりツルツルですもの。今朝も入ったのよ!」


ソフィアは、美魔女に磨きが掛かっていた。


「ソフィア様、お肌とても綺麗ですよね!」


「まー、サーシアちゃん。お世辞でも、嬉しいわー!」


サーシアの裏表の無い言葉に、ソフィアは素直に喜んだ。



「ところで、サーシア。行きたい場所はあるか?」


「サーは何回も来てるし、バロン君が行きたい所で良いよ」


サーシアと一緒なら(・・・・・・・・・)、何処でも良いんだが・・・・・」


「そうなの? それじゃ、馬車を降りて歩こうよ! 何か興味を引く物があるかもよ!」


バロンは勇気奮い甘い言葉を発したが、サーシアはそれに気付かなかった。


「そっ、そうだな!」


「それじゃ、私達も歩きましょうか?」


「そうね、ユミナちゃん」


サーシアの提案で、皆馬車から降りた。

しかし一際豪華な馬車は、人目を集めた。



「すげー、美人ばかりだー!」


「特に、あの若いご婦人!」


「はー、女神様ー!」


男達の視線は、ユミナに釘付けになった。

日除けの帽子を被りシックな服を着ていたが、その美しさは隠し切れなかった。



「くそっ、あいつら。母上は見世物じゃ無いぞ!」


「やっぱり、ユミナちゃんには敵わないわね!」


「お母様。娘に対抗心を燃やさないで下さい!」


「母上っ! 目立たない様、護衛の陰に隠れて下さい!」


「ふふっ。バロンは相変わらずね」


四人は近衛騎士に囲まれながら、店を見て歩いた。



バロンはアクセサリーの店で、サーシアへのプレゼントを探していた。


「この《髪止め》、サーシアに似合うんじゃないか?」


「凄く可愛いね」


「気に入ったのなら、プレゼントするよ!」


「良いの?!」


「今日は、僕に付き合ってくれてるんだ。遠慮は要らない!」


「そう。じゃあ、買って貰おうかな」


「良し!」


バロンは拳を握りガッツポーズを決め、自らお金を支払いサーシアにプレゼントした。



「ありがとう、バロン君。大切にするね!」


サーシアはそう言いながら、プレゼントを髪に止めた。


「どうかな?」


「うっ、うん。似合ってる!」


バロンはサーシアの笑顔に、ドギマギした。


だが、突然。


「バロン様ー!」


「えっ!」


声がした方へ振り向くと、そこにはバロンが見知った少女がいた。



「フランソワ!」


「こんな場所で会えるなんて、二人の運命を感じますわ!」


彼女はフリーデン公爵家嫡男の次女で、バロンのクラスメートである。


「バロン君、お友達?」


「学園のクラスメートだよ」


「貴方、誰? バロン様に馴れ馴れしいわね!」


「私、サーシア。宜しくね!」


『ニコッ!』


『ドキッ!』


「ちょっ、ちょっと何よその余裕。少し位可愛いからって、調子に乗らないで! 一体、何処の貴族家の方?」


「サーは、平民だよ」


「へっ、平民っ?! もしかして、王家で雇われてる《下級使用人》か何か?」


「違うっ! サーシアは、僕の友人だ!」


「平民が、バロン様の御友人?」


「フランソワに、とやかく言われる筋合いは無い。彼女を愚弄するなら、他所へ行け!」


「私はバロン様の《将来の妻》です。口を出す権利はあります!」


「それは、君が勝手に言ってる事だろ!」


「バロン様と釣り合う女性は、世界広しと言えど私しかいません!」


フランソワは美しく頭も良いが、バロンの恋愛対象ではなかった。

また次期フリーデン公爵である父親が、ユミナを狙っている事に業を煮やしていた。

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