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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第二十四話 ニコル一家、フロリダ街の繁華街へ行く

フロリダ街に到着すると、そのまま保養所へ向かった。


「やあ、イザベラ」


「あっ、ニコルさん。それとご家族の皆さん、いらっしゃいませ!」


「一泊させて貰うよ」


「はい。お部屋は綺麗にしてあります!」


保養所の一室は《ニコル家専用》として、いつでも使える状態になっていた。


「ありがとう」


そして彼女は、僕が雇っている住み込みの管理人である。

また、ダニーの奥さんでもあった。


ダニー・サム・ルーシーの三人は建築した当初から此処に住み始め、後に管理人になったイザベラとダニーはくっついたという訳だ。



「ニコルさん、夕飯はどうします?」


「外で食べるよ」


「そうですか。それでは何かありましたら、呼んで下さい」


「ああ、ありがとう」


僕が決めた保養所のルールで、一様に《素泊まり》にしている。

此処には共用の調理場もあり手持ちの食材もあったが、折角の外泊なので外食する事にした。


シャルロッテの食事を用意すると、僕達家族は歩いて繁華街に繰り出した。



「何が食べたい?」


「お肉ー!」


「僕もー!」


「それじゃ、焼肉屋に行くか?」


「「やったー!」」


食べ盛りのサーシアとレコルは、焼き肉に大喜びした。



「ニコルの旦那。今日は家族サービスですかい?!」


「そんなとこだ!」


「相変わらず、美男美女揃いの家族ですやね!」


「ありがとよ」


「良い肉が入ったんだ。見てかないかい?」


「これから外食だ。また今度な」


僕達家族は目立つらしく、通りを歩いていると知り合いに声を掛けられた。



「あー、ニコルさん!」


「本当だー!」


「キャー、ニコル様ー!」


今度はダンジョン探索者の女の子達に、囲まれてしまった。


「ねー、どうしてお店に出ないんですかー?」


「屋台、楽しみだったんですよー!」


「ニコル様に会えなくて、凄く寂しいです!」


「みんな、ごめん。家族と過ごす時間を、大切にしたかったんだ」


「悔しい。私より家族を大切にしたいだなんて!」


「人聞きが悪いから、そんな言い方止めてくれ。妻や子供達だっているんだ!」


「「「えっ!」」」


女の子達は、恐る恐る視線を僕の横に移した。


「「「キャーーーッ!」」」


「えっ、どうした?!」


悲鳴の原因が気になり横を向くと、ミーリアが怒りの形相を浮かべていた。



「あーなーたーたーちーーー!!!」


「「「ごめんなさーい!」」」


三人は、慌てて逃げて行った。


「おい、こら。ちゃんと誤解を解いて行け!」


「ニーコールーちゃーーーん!!!」


「エミリア、誤解だっ!」


『ニコッ!』


「なーんてね、大丈夫よ。ニコルちゃんがモテるの分かってるから。ちょっと脅かしただけ!」


「ふぅ、何だそうかー。良かったー!」


「でもね」


「ん?」


『スー!』


「浮気は許さないから」


ミーリアの笑顔は一変し、無表情で言い放った。


『ゾクッ!』


「はははっ、分かってるよ」


僕は背筋が寒くなり、そう言い返すのがやっとだった。



再び歩いていると、何やら揉めてる声が聞こえてきた。


「てめー、何だとー。もう一辺、言ってみろっ!」


「へんっ! この街のダンジョン探索者のレベルが、低いって言ってるんだよっ!」


「この野郎っ!」


「何だやるのか? 素手でも剣でも、どっちでも良いぜ。掛かって来いよっ!」


「おい、止めとけ。あれはノーステリアの傭兵だ。明らかに奴の方が格上だぞ!」


「だからって、黙ってられるかっ!」


「腰抜けっ! 口先だけか?!」


「誰が腰抜けだ。舐めんじゃねー!」


『バシッ!』


「軽いパンチだな。ゴブリンの方が、まだマシだ!」


傭兵の男は放たれた拳を、掌で軽く受け止めた。


『バシッ、バシッ、バシッ・・・・・!』


それからは、一方的だった。


「パパー!」


「ああ」


エミリアが怯えた声で訴えるので、仲裁に入る事にした。



「もう良いだろ。止めてやれよ。あんたが強いのは分かった!」


「何だ、てめー!」


「この街で、商売をしている商人だ」


「商人が格好つけるんじゃねーよ。こいつみたいにボコボコにすんぞっ!」


「やれやれ。あんたも粋がってると、痛い目見るぞ」


「痛い目だと。俺がお前にか? できるもんならやってみろっ!」


「口だけで説得するのは、無理な様だな」


『キッ!』


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」


《威圧》スキルを放つと、傭兵の男は情けない声を発した。



「まだ、やるつもりか?」


「わっ、分かった。もうやらねー。だから許してくれっ!」


その言葉を聞き、《威圧》スキルを解いた。


「ふぅ、殺られるかと思ったぜ!」


これだけ喋れるという事は、まだ余裕がある様に感じた。


「そっちの若いのも、ちょっと言われたからって短気を起こすなよ」


「はっ、はいー!」


仲裁の効果もあり、喧嘩をしていた男達は別々の方向へと去って行った。



『『『『『『『『『『パチパチパチパチ・・・・・!』』』』』』』』』』


「ならず者を睨んだだけで追っ払うとは、大したもんだ!」


「あの人、ステキー!」


「俺達のパーティーに、入ってくんないかなー?!」


今の騒動を見ていた大衆が、騒ぎ始めた。



「パパ、スゴい!」


そこにシロンを抱えたエミリアが、駆け寄って来た。

僕はそのまま二人を、抱き上げた。


「さあ、ご飯にしよう!」


「うん!」


「ニャー!」


何事も無かった様に、僕達はその場を離れた。



その後お目当ての焼肉屋へ行き、炭火で焼いた美味しい肉を家族で食べた。


「お肉、美味しかったねー!」


「「「うん。美味しかったー!」」」


「ニャー!」


ミーリアの声に、子供達とシロンが賛同の声を上げた。


「パパのお陰で食べられたんだから、ちゃんとお礼を言いなさい!」


「「「パパ、ありがとう!」」」


「どういたしまして!」


子供達の喜ぶ顔に、僕の顔も綻んだ。



保養所に帰ると、ダニー達も仕事を終え帰っていた。


「ニコルさん、要らしてたんですね。それに皆さんも!」


「ああ、一晩だけ泊まってくよ」


「そうですか。もっとゆっくりすればいいのに」


「ニコルさん、お風呂沸いてるよー!」


「ああ、ありがとう」


「サーシアちゃん、久し振りー!」


「ルーシーさん、おひさー!」


「あれっ、レコル君。子猫抱いてる!」


エミリアは疲れてしまい、レコルにシロンを預けた。



「気付いた? 今日から家で飼う事になったんだ!」


「可愛いねー!」


「このこのなまえ、《シロン》っていうの!」


「そうなんだ。そう言えば、シロンに似てるねー!」


「うわっ、本当だー。ちっちゃいシロンじゃん。レコル、俺にも抱かせてくれよ!」


「何言ってるの。私が先よ!」


「俺だ!」


「私よ!」


「おいおい、二人共止めろ! 先ずは、俺からだ!」


そう言ってダニーが割り込み、シロンを抱きかかえた。


「「あー、ズルいー!」」


こうして夜遅くまで、シロン争奪戦の第二ラウンドが行われた。

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