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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第二章 王都行商編
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第二十一話 試験申込みとダンジョンの街の孤児

僕はいつもの店で昼食を食べてから、ダンジョンの街エーテルに来ていた。


勇者の仲間達が気になって、居場所を検索したがすでにこの街にはいなかった。


そして、通称《ダン防》に足を運び、受付で《ダンジョン探索者試験》の申込みをしている。

試験は《パーティー用》と《ソロ用》が有り、《ソロ用》は合格条件が厳しいとの事だ。


申請書に必要内容を記入していき、戦闘スタイルのところで考える。

戦闘スタイルは、片手剣だけにした。


「魔法無しでも、剣の実力だけで大丈夫だろう」


受付に申請書を提出すると、受付の女性から心配そうに話し掛けられた。


「やはり、ソロの試験を受けるのですか? ソロは危険なので審査基準は厳しいんですよ」


「やってだめだったら考えますよ」


「そうですか。分かりました」


受付の女性は心配そうにしていたが、申請書と試験費用の五千マネーを受け取ってくれた。


「二日後の朝から試験を行いますので、遅れずに来て下さい」


「分かりました」


僕の見た目で、ソロは無理だと思われたのかもしれない。

なめてはいないが、何とかなる自信はあった。《剣技》スキルはレベル10だしね。


それにパーティーを組んだら、自由に行商をできなくなる。


その後、ダンジョンで必要な道具や食料を買いながら街を散策した。



日がだいぶ傾いてきた。


ふと見ると、ダンジョン探索者に混ざってやせ細った子供達がたむろしている。


そして、一人の幼女が僕に声を掛けてきた。


「おにーちゃん。たべものをくだちゃい」


「えっ、お腹が空いてるのか」


「うん」


僕は魔法袋から黒パンを二個取り出し、幼女に与えた。


「おにーちゃん。ありがと」


幼女はお礼を言って去って行った。

すると、今度は三人の幼児と二人の幼女が同じように声を掛けてきた。

しかたないので、全員に黒パンを二個ずつ与えた。


すると、子供達がどんどん集まって来て二十人近くなった。


「おいおい、全員にあげるほど黒パン持ってないぞ」


「「「「「えー!」」」」」


「そんな事、言ってもなー」


「おなかすいたよー」


「うわーん、おなかちゅいたー」


「なんでもいいから、たべさせてよー」


この子達は孤児なのか? この状況からそうなのだろう。

そこで、僕は年長の子供に確認した。


「ご飯を食べさせてあげるから、教えてくれないか?」


「うん」


「君達のお父さんお母さんはいるのか?」


「みんないないよ」


やっぱりそうか。多分ダンジョンで命をなくした人も、少なからずいるんだろう。


「そうか。それじゃ孤児院に住んでるのか?」


「うん。でもたべるものがないんだ」


「それで、街の人に声を掛けて食べ物をもらってるのか?」


「うん」


「孤児院に全部で何人いるんだ?」


「えーと、さんじゅうさんにん。あと、おじいちゃんがいる」


「そんなにいるのか。それじゃ食べ物を買ってから、孤児院で食べさせてあげるよ」


「ほんとに?」


「本当だ。ところで君の名前は何て言うんだ?」


「コニー」


「そうかコニーか。僕はニコルだ。よろしくな」


「ニコルにいちゃん、ありがとう」


「ああ」


そう言って、コニーの頭を撫でてやった。


僕が買物をしている間、子供達がぞろぞろと後を着いて来るのであった。

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