表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
329/401

第二十三話 エミリアの独占欲

昼食のメニューは平凡ながらも、その美味しさに皆満足した。

今は食後に紅茶やジュースを飲み、寛いでいる。


「サーシア、レコル」


「「何、パパ」」


「ミーリアの提案で、今晩はフロリダ街の保養所に泊まる事になった」


「「本当っ?!」」


「その方が、明日の朝楽でしょ?」


「流石、ママ!」


「やったー、泊まりだー!」


「サーシアの仕事が終わったら出発するから、そのつもりでいてくれ」


「「はーい!」」


久し振りの外泊に、二人は笑顔を浮かべた。



「ところで皆さんは、この後どうされます?」


ソフィア様に、尋ねた。


「用事も済んだ事だし、フロリダ街に戻って温泉にでも浸かろうかしら」


「そうですか。でしたら明日の朝、サーシアを宿に連れて行けば宜しいですか?」


「そうね。朝食の後にお願い!」


「分かりました」


「バロン君。サーは仕事に戻るから、また明日ね!」


「ああ、また明日!」


「シロンも!」


「ニャー!」


サーシアはバロン殿下に挨拶すると、シロンを軽く撫でて仕事に戻った。

そしてバロン殿下達も、紅茶を飲み終えるとフロリダ街へ帰って行った。



皆を見送り食事をした部屋へ戻ると、シロンが尻尾を立て足に擦り寄って来た。


「ニャー!」


食事中はお客さんがいたせいか、『借りてきた猫』の様に終始大人しかった。

しかし帰った途端、甘えて来た。


「片付けが終わったら、厩舎にいるシャルロッテとポムを驚かせに行こうな」


「ニャー!」


最近ポムは、シャルロッテと一緒にいる事が多い。

同じ厩舎にいたケイコが亡くなり、一人でいるシャルロッテを気遣ってる様だ。



僕は《生活魔法》で食器や鍋を手早く綺麗にし、テーブルや椅子と一緒に纏めて片付けた。


「さあ、終わったぞ。シロン、厩舎へ行こう」


そう言ってシロンの姿を探すと、エミリアとレコルに捕まっていた。

振り払って脱出できる状況じゃ無い様だ。


「それにしてもあの子猫、生前のシロンにソックリね」


側にいたミーリアが、ふと呟いた。


「そうだな。最初に見た時、僕も驚いた」


「本当に、シロンの生まれ変わりだったりして」


「ふえっ!」


ミーリアの核心を突いた言葉に、思わず変な声を上げてしまった。


「だからきっと、エシャット村に帰って来たのよ!」


「はははっ、そうだな」


本気とも冗談とも取れる言葉に、僕は笑って肯定した。



「もふもふー、もふもふー!」


「このシロン、小さくて凄く可愛いな!」


「うん、かわいいー!」


「レコル。そんな事言ったら、天国にいるシロンが可愛くないみたいだぞ!」


「あっ! 僕、そんなつもりじゃ・・・・・」


バロンは笑顔から一転、『シュン』としてしまった。


「ははっ、冗談だ。パパも同意見だ!」


「パパ、酷いやっ!」


レコルは、頬を膨らませ怒った。

どうやら、純粋に育ってくれている様だ。


「エミリア。シロンをシャルロッテとポムに、紹介してあげよう」


「はーい!」


この後子供達と一緒に、厩舎へ向かった。



厩舎へ行くと、シャルロッテとポムが横になって休んでいた。


「シャルロッテ、ポム。ちょっと良いか?」


「ヒヒーン?! 『何ですか?!』」


「モキュッ?!」


「エミリア、出ておいで!」


「はーい!」


『ヒョコ!』


僕の後ろに隠れていたエミリアが、シロンを抱きかかえたまま姿を現した。



「ニャー! 『久し振りニャ!』」


「ヒヒーン?! 『えっ?!』」


「モキュッ?!」


「ニャー! 『シロンニャ!』」


「ヒヒッ、ヒヒーン?! 『嘘っ、本当なの?!』」


「モキュッ、モキュッ?!」


「ニャー。ニャニャー! 『本当ニャ。《転生》したニャ!』」


「パパ。シロンとシャルロッテとポム、おはなししてるよ!」


「本当だ。もう、仲良しになったみたいだな」


「うんっ! シャルロッテ、ポム。シロンをよろしくね!」


「ヒヒーン!」


「モキュッ!」


エミリアがシロンを差し出すと、シャルロッテはシロンに頬擦りをした。

その目には、うっすらと涙が浮かんだ。


「シャルロッテ。今日サーシアの仕事が終わったら、フロリダ街に行く。宜しくな!」


「ヒヒーン! 『分かりました!』」


この後ミーリアと、宿泊の準備に取り掛かった。



サーシアが帰宅し、出掛ける準備をしている。


「お待たせ!」


「もう、良いのか?」


「うんっ。ママが全部、用意してくれてた!」


サーシアは服を着替えただけで、直ぐに現れた。


「それじゃみんな、出掛けよう!」


「「「「はーい!」」」」


まだ日が充分ある内に、僕達はエシャット村を発った。



「ねー、エミリア。サーにもシロンを抱かせてよー!」


仕事で構う事ができなかったサーシアは、シロンと触れ合うのを楽しみにしていた。


「えー、やだー! シロンはエミリアのー!」


「良いじゃない。サーも、抱っこしたいよー!」


「だめー!」


エミリアが《独占欲》を発揮し、サーシアを困らせた。



「エミリア。お姉ちゃんにも、シロンを抱かせてあげなさい!」


その様子を見かねて、僕は口を挟んだ。


「・・・・・パパ、おこったー?」


「怒ってないよ。パパはみんな仲良くして欲しいから、言ったんだよ」


「なかよく・・・・・。おねーちゃん、シロンかしてあげる!」


そう言ってエミリアは、シロンを差し出した。


「ありがとう、エミリア。私達、いつまでも仲良しだからね!」


「うんっ!」


サーシアはシロンを受け取ると、抱き上げて頬擦りをした。



「えへへー。可愛いー!」


「サーシアの次は、ママね!」


「うん。もうちょっと待って!」


「ママ、次は僕だよー!」


実はレコルも、エミリアが一人締めしていて抱いていないのだ。


「もー、しょうがないわね。ママは最後でいいわ」


馬車の中でずっとシロンの争奪戦が繰り広げられながら、僕達はフロリダ街に到着した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ