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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第十九話 バロン、サーシアとの再会②

バロンは《ボール焼き》を食べ終わると、そわそわしだした。

それは、ある目的を果たす為だ。


「ご馳走様。どれも美味しかった!」


「本当? 嬉しい!」


「・・・サッ、サーシア!」


「何?」


「明日、仕事は休みか?」


「うん、休み!」


明日は日本で言うところの、日曜日に当たる。


「僕達今日、フロリダ街の温泉宿に泊まるんだ。良かったら、明日一緒に街を巡らないか?」


「うーん、久し振りに行ってみようかなー。パパに送ってくれる様頼んでみる!」


「やった!」


バロンは小さく、拳を握った。



「エレナ叔母さん、パパの所に行って来ても良い?」


「良いわよ」


「それじゃ、行って来るね!」


「サーシアちゃん、待って。バロンちゃん、私達も一緒に行きましょう」


「はいっ!」


ソフィアに促され、三人もサーシアに着いて行く事になった。



『ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガシーーーン! ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ!』


「パパ。エミリアと遊んでると思ったら、レコルの《剣術》の相手してる!」


サーシアがニコルを探すと、学校前の広場で見付けた。

学校が夏休みの為、レコルに剣術の相手をせがまれていたのだ。


一方エミリアは、孤児院の遊具で子供達と遊んでいた。



「凄い!」


バロンは剣術と魔法を習い、その才能から《神童》と持て囃されていた。

しかし自分を上回るであろう才能の持ち主が、目の前にいた。


「バロン君、何が凄いの?」


「レコルの打ち込みだよ。僕より一つ年下なのに!」


「へー、凄いんだ」


「一体どんな鍛練をすれば、ああなれるんだ?」


「いつもパパと、打ち合ってるだけだよ」


「それだけ?」


「きっと、ニコル君の《才能》を受け継いでるのよ」


「あの才能を受け継いでいる・・・・・」


この時バロンの頭には、ガーランド帝国の勇者達を蹴散らす《ヤマト》の姿が浮かんだ。

そしてその正体が、『ニコル』と言ったユミナの言葉を覚えていた。



『チラッ!』


レコルの剣を受けていると、ユミナ達の姿が目に入った。


「休憩にしよう」


「えー! パパもっとやろーよー!」


「お客さんだ」


「お客さん? あっ、バロン君!」


「やあ、レコル」


「久し振りだね!」


「君の剣術、凄い腕前だ」


「ありがとう。バロン君も剣術やってみる?」


「そうだな。レコル、《試合》をしよう!」


「試合?!」


「待て、レコル。バロン殿下は《王族》だぞ。怪我をさせたら、問題になる!」


「「えっ! バロン君って、王族なの?!」」


僕の言葉に、レコルだけでなくサーシアも声を上げた。

当時幼かった二人には、敢えて教えなかった。



「剣術の鍛錬に、身分は関係無い。レコル、やるぞ!」


「でも・・・・・」


「バロン殿下はこう仰ってますが、良いのですか?」


「ニコル君、お久し振りです。バロンが怪我をしたら私が治すので、存分にやって下さい」


「そう、なんだ」


「木剣を貸してくれるか?」


「それなら、これを」


僕は心配しながらも、木剣をバロン殿下に手渡した。



「本当にやるの?」


「やる。手加減しなくていいぞ!」


「分かった。それじゃ、やろう!」


「審判は私が務めます。宜しいですか?」


護衛の一人が、名乗り出た。


「頼む!」


「うん!」


「構えて!」


二人は向き合い、木剣を構えた。


「始め!」


「セイヤー!」


『ガーン!』


いきなり仕掛けたのは、バロン殿下の方だった。



「バロン君、やるね!」


「レコルもな!」


『ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ・・・・・・・・・・!』


バロン殿下の猛攻を、レコルは剣で受け凌いだ。


『ガキーン!』


そして凌ぎきると、重い一撃を打ち返した。


「くっ、負けるかっ!」


『ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ・・・・・・・・・・!』


『タッ、タッ、ガキーン!』


「結構、激しく打ち合ってるな」


「そうですね。レコル君凄いわ」


「それを言うなら、バロン殿下だって」


「数年前バロンは自転車に乗るサーシアちゃんに刺激され、エシャット村を去ってから剣術と魔法を頑張ってましたから」


「バロンちゃんはきっと、格好良い姿を誰かさんに見せたかったのよ!」


そう言って、ソフィア様はサーシアを見た。


「ん?」


しかしサーシアは、自分の事を言われてると気付かなかった。



「ねー、パパ。明日フロリダ街に送ってよ!」


「別にいいけど、何の用だ?」


「バロン君と、街を見て回るの!」


「まさか、二人きり?」


「どうだろう?」


「ニコル君。私達や護衛も一緒です」


「そう。それじゃ、明日送ってくよ」


「パパ、ありがとう! それとね、王都のお屋敷で《ボール焼き》の作り方を教えて欲しいんだって」


「サーシアが、王都まで行くのか?」


「ボール焼きがとても美味しかったから、私が頼んだの。できれば、調理器具も融通してくれる?」


「調理器具は良いですけど、サーシアを一人で王都へ行かせるのは・・・・・」


「心配なら、ニコル君も来れば良いじゃない!」


「はぁ」


「パパ、行っても良い?」


「そうだな」


「やった。それじゃ、いつにしようか?」


「パパは《仕入れの旅》があるから、できれば早い方が良い」


「それなら、二週間後の休みの日はどうかしら?」


「私は構いません」


「サーも大丈夫ー!」


「それじゃ、決まりね!」


折角家族とのんびり過ごしているのに、バロン殿下やソフィア様に崩されていく気がした。

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