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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第十四話 シロンの旅①

私はご主人に再び会いたくて、生まれた《アルシオン王国》の貴族の家を飛び出した。


そして馬車を乗り継ぎ、《エステリア王国》を目指した。

しかし今は馬車の乗り継ぎが上手くいかず、街道を歩いていた。


「野良は、ひもじいニャ」


人間の頃の記憶が邪魔をし、食べられる物が限られていた。

ここまで鳥や川魚を捕まえて食べたが、いつも近くにいるとは限らなかった。


食べ物を確保できなければ、飢えて死んでしまう。

私は、そんな過酷な環境にいた。


「モン○チー、ちゅ○るー!」


人間の頃、飼い猫に与えていた餌を思い出し叫んだ。


「神様。カリカリでいいから、恵んで下さいニャ!」


お腹が空き過ぎて、私は変な言動をする様になった。



『パタパタパタパタッ!』


「ハッ、バッタニャ。バッタって、食べられるかニャ?」


空腹に耐えられず、そんな思考に陥った。


「えいっ!」


猫パンチを繰り出し、飛んで来たバッタを仕留めた。


『パクッ! ムシャムシャ!』


「初めて食べたけど、食べられない事は無いニャ」


『ピョーン!』


「えいっ!」


再び猫パンチを繰り出し、跳ねるバッタを仕留めた。


『ジリジリジリジリッ!』


今度は《雷属性魔法》で、焼き目をつけた。


『パクッ! ムシャムシャ!』


「香ばしくて、生よりいけるニャ!」


この時バッタが、私の食べられる物リストに加わった。



翌朝街道をゆっくり歩いていると、後ろから馬車がやって来た。

飛び乗ろうと道の端で待つと、馬車は盗賊に追われていた。


「面倒だけど、助けるニャ!」


私は逃げる馬車に、飛び乗った。


「オラー! 馬車を停めやがれー!」


「誰が停めるか!」


「お父さん、恐いよー!」


「大丈夫だマーサ。父さんの魔法の杖を取ってくれ!」


「うん!」


マーサと呼ばれた少女は、荷台にある箱を開けた。



「あった!」


マーサは杖を見付け、手に取った。


「お父さん、はいっ!」


「ありがとう。マーサはしっかり、荷台に掴まってなさい!」


「うん!」


父親は杖を構え、呪文を唱え始めた。


「***** ******* ****** ******* ******* 空気壁!」


『ドシーン!!』


「ヒヒーン!!」


「うあぁぁぁっ!!」


盗賊が乗った馬が転倒し、盗賊はそのまま落馬した。



「魔法が使えるニャ! もしかして、助ける必要無いかニャ?」


「気を付けろ! この商人、魔法が使えるぞ!」


「お前ら、馬車を囲め!」


「「「「「「「「おうっ!」」」」」」」」


「くっ! ***** ******* ****** ******* ******* 風刃!」


『ザクッ!』


「うぎゃーーー!!」


「てめえ、良くも仲間を!」


反対側にいた盗賊が馬を走らせながら、剣を振り下ろした。



『ガイーン!』


それを咄嗟に、魔法の杖で弾き返した。

その杖は、《ミスリル》でできていた。


「***** ******* ****** ******* ******* 風刃!」


『ザクッ!』


「うぎゃーーー!!」


「くそっ! こうなったら、馬車をを燃やしちまえ!」


「積み荷まで燃えちまうが、良いのか?」


「逃げられたら、そんな事言ってらんねーだろ!」


「チッ! ***** *******」


「させないニャ。《雷》!」


「「「「「「「うぎゃーーー!!」」」」」」」


「「「「「「「ヒヒーン!!」」」」」」」


私は追い掛けて来る盗賊を、全てやっつけた。



「あれっ? 静かになったぞ」


「お父さん。盗賊達、追い掛けて来ないよ!」


「本当か?」


「うん!」


「そうか、助かったんだ」


父親は、馬車の速度を緩めた。



「ニャー!」


「あっ! 猫ちゃん」


「ニャー!」


「可愛い。でもどうして、ここにいるの?」


そう言って少女は、私を抱き上げた。



「お父さーん。荷台に猫ちゃんがいたよー!」


マーサは父親に、私を見せた。


「ニャー!」


「おかしいな。いつ紛れ込んだんだ?」


「分かんない。ねー、飼っても良い?」


「そんな高貴な猫、貴族の飼い猫かもしれんぞ」


「えー、飼おうよー!」


「うーん? 後で問題になっても困るから、飼い主が見付かるまでの保護だったら良いぞ」


「それじゃ飼い主が見付からなければ、うちの子にして良いんだね?」


「そういう事になるな」


「やったー! 貴方女の子ね。名前は《ミルク》よ」


「ニャー!」


私はこの父娘と、暫く旅をする事にした。



「ミルク、ご飯よ」


出されたのは、トウモロコシである。


「どうしたの? 食べないの?」


私はこの時、肉が食べたかった。


「ニャー!」


「あっ、駄目。貴方、私の干し肉が食べたいの?」


「ニャー!」


「駄目よ、駄目駄目。干し肉は塩分が強いから、体に悪いわ!」


「マーサ。積み荷に塩の使っていない干し肉があるから、そちらを少しあげなさい」


「いいの?」


「ああ」


「ミルク。ちょっと、待っててね」


「ニャー!」


マーサはほぐしたトウモロコシに、干し肉を入れてくれた。

私はそれを、全部たいらげた。

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