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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第十三話 親戚は大丈夫よね?

プレハブ小屋で買い物をしていたエマとソフィアに、窮地が訪れた。


二人はマイクから、『店の事を他に広めない様に。破ったら、取り返しのつかない事になるぞ!』と、忠告を受けていたからだ。


「おば様方はこの小屋で、何をなさってらっしゃるの?」


「何って」


「ねー」


「怪しいですわねー!」


「エマさん、ソフィアさん。私達、お友達でしょう。隠し事なんて酷いわ!」


「ソフィア、どうしよう?」


「どうしましょう?」


二人は顔を、見合わせた。


『ガチャッ!』


そこへ二人の様子を見に、ダニーがプレハブ小屋から出て来た。


「お二人共、どうされました? えっ!」


そしてその状況に、驚きの声を上げた。



「あら。先程一緒に歩いて行った男性ですわ!」


「まさかっ!!」


「『まさかっ!!』て、リリーシア何馬鹿な事想像してるの!」


「だって、教えて下さらないんですもの!」


「リリーシアさん。私達はお買い物をしていただけですよ」


「こんなお店の裏で?」


「ええ、訳があって」


「何を購入しているのか、気になりますわ。私達も御一緒して良いかしら?」


「それはー」


「私達の一存ではねー」


ソフィアとエマは、振り替えってダニーの顔を窺った。



「えっ! 私ですか?」


普段冷静沈着なダニーだが、兵士を従えている高貴な女性達にビビっていた。


「そうよ!」


「どうしたら良いかしら?」


「私が店主から聞いているのは、グルジット伯爵家とラングレイ伯爵家の(ゆかり)の方であれば良いと」


「そうなの? それなら《親戚》は大丈夫よね?」


「多分・・・・・」


そう返事をしたものの、その範囲の曖昧さにダニーは不安になった。



「良かった! グルジット伯爵家とノーステリア大公爵家は、親戚ですもの!」


「ノーステリア大公爵家?!」


「リリーシアさんの孫のドナルド国王陛下は、私の孫バロンちゃんの弟なんですもの!」


「ソフィア様のお孫様が、国王陛下の兄君・・・・・」


ダニーはその事実を、知らなかった。


「そして此方のアリーシアさんは、国王陛下のお母様よ。問題無いわよね?」


「こっ、こっ、国王陛下の母君でらっしゃいますか?! どっ、どうぞ買い物をなさって下さい!」


ダニーはこの面子に、断る事などできる筈もなかった。



エマが商品を手に取り、リリーシアとアリーシアに説明を行った。


「そんなに、この化粧水が良いの?」


「一度、試してみて。今までのと、全然違うから!」


「確かにお二人の肌、とても綺麗だわ!」


「お母様。お二人の髪も、艶々ですわ!」


「アリーシアさん。それはこのシャンプーとコンディショナーのお陰よ!」


「そうですの? 私、是非購入いたしますわ!」


こんな調子で、リリーシアとアリーシアへ商品説明が長々と始まった。


「はぁ・・・・・」


ダニーは今後もこんな気苦労が絶えないのかと、胃を痛くした。



僕が二週間振りにフロリダ村の店を訪れると、ダニーからやつれた顔で報告があった。


「そんな事があったのか?!」


「はい。国王陛下の母君までいらっしゃるとは、思ってもみませんでした!」


「大変だったな。まあ今回のお二人はしょうがないとして、これ以上増えても困るな」


「はい」


「『親戚だからと言って広められると、商品が品切れになりますよ!』とでも言って、それとなく脅してくれないか?」


「俺がですか?!」


「できないのか?」


「いえ、やります」


「良し。店の売り上げが伸びた事だし、三人には後で《ボーナス》をあげよう」


「ありがとうございます」


貴族や王族相手に酷だが、店を任せているダニーには悪い結果になっても僕が責任を取るので頑張って欲しい。



お昼時の一時間は、従業員の休憩の為いつも店を閉じている。

僕は商品の補充を終えると、とある準備をしながらお昼休みになるのを待った。


そしてお昼になって客がいなくなり、落ち着いたところで三人にボーナスを配った。

店長のダニーには《百万マネー》、サムとルーシーには《七十五万マネー》を渡した。


「わー、こんなにー!」


「すげえー!」


「ニコルさん、ありがとうございます!」


「王都からの客も来て忙しいと思うけど、宜しく頼むぞ!」


「「「はいっ!」」」


「さあ、お昼御飯にしよう。今日は僕が作った!」


「「やったー! ニコルさんのご飯だー!」」


「久し振りに、ニコルさんの料理が食べられる!」


休憩所へ行くと、テーブルには料理が並んでいた。



「さあ、食べよう!」


「「いただきまーす!」」


「いただきます」


「《唐揚げ》、美味しそー!」


「俺も、唐揚げ食うぞー!」


「それじゃ、俺も」


僕は三人が、唐揚げが好物なのを知っていた。



『『『モグモグモグッ!』』』


「「「美味しい!!」」」


「こんな美味しい唐揚げ、初めて!」


「美味過ぎて、涙が出てくる!」


「この深い旨味、これは《鶏》の唐揚げではありませんね?!」


「ダニー、良く分かったな。《コカトリス》の唐揚げだ!」


「「「コカトリス?!」」」


「それって、プラークダンジョンの《ボス》ですよね?」


「だから美味いんだ!」


「こんな高級食材、俺達に振る舞って良いんですか?」


「ああ。みんな頑張ってるからな」


他にも海鮮チャーンやサラダやスープを味わいながら、三人は満面の笑みを浮かべた。

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