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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第八話 フロリダ街の視察①

マイク・グルジットがフロリダ街に到着してから、三週間が経過した。


到着当日ニコルの店を出てからは、ソフィア夫人達と温泉と豪華な食事を満喫している。

そして翌日王城に出向き、目的地に到着した事をノーステリア大公爵に伝えた。


後日日程が決まり、今日ついに《亜空間ゲート》を設置する為の視察団がフロリダ街の役場に訪れた。


「陛下、御待ちしておりました。フロリダ街の代官を務めます、男爵のイアン・リートガルドでございます」


「リートガルド男爵。発展著しいこのフロリダ街を、この目でしっかり視察を行う。案内を頼む」


「畏まりました」


若いドナルドは、国王らしく振る舞おうと気を吐いていた。


この舞台を作ったグルジットは、リートガルド男爵の後ろに控え彼の補佐役を務める事になった。

またグレン・ラングレイも、国王の護衛として同行している。



「皆様。これから繁華街を通り、ダンジョンへ向かいます。外に用意した馬車にお乗り下さい」


視察団総勢十五人と案内役の二人は、役場のロビーを出て三台の馬車に乗り込んだ。


「馬車を、やってくれ」


「はい」


リートガルド男爵の号令で、馬車は護衛の十騎の騎馬と共に走り出した。



人々の視線は、馬車と騎馬の列に向けられた。


「何だあれ。何処かの大貴族様か?」


「お前、知らなかったのか? 国王陛下と大臣様達だよ!」


「こんな所に国王様って、冗談だろ?!」


「冗談な訳あるか! マジだから、膝をついて頭を下げるぞ!」


「おっ、おっ、おっ、おうっ!」


今日国王率いる視察団が来る事は、街の住民達に通達されていた。

馬車の列に気付いた者達は、次々と膝をつき頭を下げていった。



「私は新旧王都とノーステリア大公爵領しか知らないが、良い街というのが伝わってくる」


「ありがとうございます」


「リートガルド男爵は、何もないところから十数年でこの街を作ったと聞いている。とても優秀なのだな」


「いえいえ。私個人の能力は大した事はございません。人材に恵まれただけです」


「優秀な人材とは、羨ましい。開拓中の王都にも、欲しいものだな」


「何を仰られます。陛下の回りには、優秀な人材が大勢いるじゃないですか!」


リートガルドは、同乗したメンバーを見渡した。

そこにはエドワードを始め、ノーステリア大公爵・ラングレイ元伯爵・グルジット元伯爵がいた。



「そうであった。私の回りにも、新しい王都を築き上げた優秀な人材が大勢いる。特に《師匠》は素晴らしい!」


「陛下のお師匠様ですか?」


「今は何処で何をしてらっしゃるか分からないが、王都の開拓は師匠のお陰で早く進んだ!」


「そうでしたか。お師匠様のお名前を伺っても、宜しいですか?」


「ああ、良いとも。師匠の名は『ヤマト』だ!」


「ヤマト殿と言えば、救国の《英雄》ではないですか!」


「その通り! 師匠は強いだけでなく、街造りにも長けているのだ!」


「知りませんでした。凄い方なのですね!」


「そうだ! しかし私が一方的に憧れ、勝手に《弟子》と名乗っているだけなのだがな。ははっ」


「はぁ、それは残念ですね」


リートガルドはドナルド国王に、『子供の一面も、持ち合わせているのだな』と微笑ましく思った。


「陛下。もう直ぐダンジョンに到着しますよ」


「うむ。ダンジョンは初めてなので、楽しみだ!」


暫くすると、馬車は《ダン防》に到着した。



《ダン防》では、施設長や兵士達が出迎えた。


「ダンジョンの安全の為、日々の務めご苦労!」


「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」


「陛下。施設長のトーマス・リンデルが施設をご案内します」


「うむ、頼む」


この後リンデルに説明を受けながら、《ダン防》施設内を回った。



「あの者達が、魔物と戦う《戦士》なのだな?」


「そうで御座います」


「うむ。皆、屈強そうだ!」


「ダンジョンは資源を得るだけでなく、人を成長させる場所でもあります。彼等は一般人より、遥かに強いですよ」


「私も国民を守れる様に、強くありたいと思っている。一刻も早くダンジョンに入りたい!」


「その志し、素晴らしいです。しかし此方のダンジョンは、安全の為入場は十三歳からとなっております」


「何っ! それではまだまだ先ではないか?!」


「陛下が規律を乱したら、下々に示しがつきません。十三歳になるまで私が鍛えて差し上げますので、我慢して下さい」


「むっ、そうか。仕方ないな」


グレン・ラングレイは大臣職を退き、ドナルド国王と王城に住居を移したバロンに剣を教えている。



「ムムッ! ここでは、魔法袋の貸し出しをしているのか?」


ノーステリア大公爵が気付き、施設長のリンデルに質問した。


「はい。此方でドロップ品を買い取る条件で、安く貸し出してます。お陰で、ドロップ品の収穫量が増えております」


「安くとは、いくらだね?」


「はい。一日千マネーです」


「何と!」


「数は、幾つ用意してるのだ?」


「八十個です」


「八十だと! 良く思いきった事をしたな」


「はい。魔法袋を、賃料の半額で提供する者がいたので」


それを聞いて、グルジットはニコルの事を思い浮かべた。



「マイク殿。提供者はそんな事をして、割りに合うのかね?」


「低性能であれば、十年で元は取れるんじゃないか」


「その間、盗まれたり無くしたり破損させるリスクがある。売った方が得だと思うのだが」


「同意見だ」


「それは提供者も、承知です。心配要りません」


「そんなものなのか?」


一同は驚きつつも、この後も施設を見て回った。

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