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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第七話 グルジット様とリートガルド様の会話

グルジット様を役場に案内するだけのつもりが、僕は何故か話しに参加していた。


「《亜空間ゲート》は《国宝級》の魔道具だ。フロリダ街は成長著しいが、《亜空間ゲート》を設置してまで交易すべきか《視察》をする事となった」


「視察ですか?」


「陛下や大臣達が、こぞって来るぞ」


「えっ! 陛下が来るのですか?!」


「そういう事で、この街の素晴らしいところをおもいっきりアピールしてくれたまえ」


「そうは言われましても、《国宝級》に見合う物となると・・・・・」


「何を言っている。この街には《国宝》とも言えるダンジョンがあるではないか。それに海にも近く、塩や魚介類が手に入る」


「そうですね。海に近いダンジョンは、王国ではこの街だけでした」


「そうだ、自信を持て。他にアピールするものはあるかね?」


「食材が豊富なので、屋台や料理店が賑わってます。それに近隣の貴族や金持ちには《温泉宿》や《海水浴》、二コルの店の《トイレットペーパー》や《ガラス窓》も人気です」


「ほう。上手くいけば王都だけでなく、近隣の領地からも消費が見込めそうだ」


「それはありがたい。塩の生産設備や漁船を増やさねば」


「どうにかなるかね?」


「ニコル。直ぐに、手配できるか?」


「可能ですよ」


「今後の動向を見て、購入するかもしれん。そのつもりでいてくれ」


「分かりました」


「ニコル君は、塩の生産設備や漁船も売っているのか?」


「既存の物は、全てニコルから購入してます」


「ほほう」


「それだけでは有りません。このフロリダ街の発展は、ニコル無しでは有り得なかった」


「成る程。そういうカラクリがあったか」


『チラッ!』


グルジット様は、僕を見詰めた。



「何です?」


「君はこんな場所でも、やらかしておったのだな?」


「いえ。少し、お手伝いしただけです」


「少しねぇ」


グルジット様は、疑いの目で見てきた。


「そう言えば、グルジット殿とニコルはどういったご関係で?」


「そうだな。彼が十五歳の頃、縁があって王都屋敷の御用商人にしたんだが、それっきり疎遠でね。数年前のあの事故で、我々が避難したのが彼のプラーク街の別荘だったのだ」


「そんな昔から、知り合いでしたか。しかし、何故ニコルの別荘へ?」


「我々を救ってくれた《英雄》がニコル君の知り合いで、偶々別荘を借りていたそうだ」


『チラッ!』


ヤマトの正体を知っているグルジット様が、ニヤ付きながら僕の顔を伺った。


「そんな偶然があるのですね」


一方リートガルド様は事情を知らず、感心していた。



「視察が上手くいけば、《ダンジョン防衛施設》に《亜空間ゲート》の設置を予定している」


「《ダン防》は国の施設ですから、私としては構いません」


「あそこには大勢の王国兵士が滞在している。《亜空間ゲート》の守備に丁度良い」


「そうですね。ところで、《馬車》はどうするつもりですか?」


「その心配なら無用だ。馬は何とか扉をくぐれるし、車体は有料で魔法袋に入れて運ぶ」


「そうですか。あと、《入都税》は掛かるのですか?」


「入都税の議論は当分先だな。今はまだ街の開発を優先しているので、無税だ」


「それは良かった。物価はどうです?」


「ノーステリア大公爵領より、少し高い程度だ。以前の王都に比べたら、随分安いものだ」


「ノーステリア大公爵領は王国一農工業が発展しているので、此方からも是非仕入れに行きたいですね」


「そうしてくれ。だが《亜空間ゲート》の通行料は、それなりの金額になりそうだ」


「どの位になりそうですか?」


「今のところ最低ラインで、人一人馬一頭につき一万マネーといったところか。馬車の車体は自分で運べば無料だが、運営側に頼めばやはり一万マネーだな」


「その金額ですと、平民は気軽に使えませんね」


「それはしょうがない。王都まで旅をするとなったら、莫大な金と時間が掛かる。それに比べれば、全然安いものだ」


「まあ、そうですね」


リートガルド様は、少し渋い顔をした。



「それでスケジュール的な事は、どうなっているのですか?」


「私は今日この街に着いたばかりだ。詳しくは、王都に戻ってからだな」


「分かりました。連絡をお待ちしてます」


「ところで、今日泊まれる宿はあるかね?」 


「私の屋敷はどうです?」


「いや、兵士達も大勢いる。宿で結構」


「そうですか。それでしたら、先程話した《温泉宿》はどうですか?」


「うむ。視察を兼ねて、行ってみるのもいいな」


「温泉宿なら、私が案内します」


「すまない、ニコル」


「ニコル君、頼むよ!」


こうしてグルジット様の挨拶は、一先ず終わった。



温泉宿へ行く前に、僕達は店に戻った。


「あー、良かったわ。節約して使っていた化粧水が、もう直ぐ切れるところだったのよ!」


「もういい年だから、ここのお化粧品じゃないと綺麗なお肌を保てないのよねー!」


店の裏のプレハブ小屋に行くと、エマ様とソフィア様がいた。


「ソフィアー、会いたかったぞー!」


「あらマイク君、ご苦労様。やっと到着したのね」


「結局、二ヶ月半も掛かってしまったよ。凄く寂しかったんだ!」


「でも、マイク君。あの扉を使って、ちょくちょく帰って来てたじゃない」


「本当は毎日会いたくて、我慢してたんだ!」


「はいはい。私は今忙しいから、後にしてね」


「そんなー!」


ソフィア様のグルジット様に対する扱いが《雑》なんで、少し可哀想に思えた。



「あら、ニコル君じゃない!」


エマ様と、目が合った。


「ご無沙汰してます」


「ニコル君ったら、酷いわよね。私達を蔑ろにして!」


「すみません。家族と過ごす時間を、大切にしたかったもので」


「それを言われてしまっては、返す言葉がないわ!」


「エマ。ニコル君はこうして私達の為にお店を出してくれたんだもの、感謝しなくちゃ!」


「そうね。ニコル君、感謝してるわ!」


「恐縮です」


「それじゃ、買い物に戻るわね」


「はい。どうぞごゆっくり」


ご婦人方は、再び買い物に勤しんだ。



「ダニー、ご苦労様」


「ニコルさん、お帰りなさい」


「問題は無かったか?」


「はい。ですがご婦人方のテンションには、驚きました」


「まあ、今後も頼むよ」


「分かりました」


接客を任せ、気苦労を与えてしまったダニーを労った。


そして買い物が終わる頃ラングレイ様も現れ、両御夫妻と兵士達を温泉宿に案内した。

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