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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第五話 マイクとグレンの策略

新王都の王城にて。


「マイク。話しがあるのだが」


「グレン。私もだ」


二人はお互いの悩みを、打ち明けた。



「「はぁー」」


二人は、大きな溜め息をついた。


「どうする?」


「二人で、行商人を雇うか?」


「以前もこんな遣り取りがあったな。こんな時、《亜空間ゲート》が使えれば良いのだが」


「それだ、グレン!」


「それって、どうするつもりだ?」


「《亜空間ゲート》を、理由を付けて設置すればいいんだ!」


「エシャット村にか? そう簡単にいくか?」


「設置するのは、エシャット村の隣のフロリダ街だ。あそこは塩が安く、魚介類が手に入ると聞く!」


「そう言えば、ダンジョンもあったな!」


「ああ。フロリダ街との交易を押し出せば、何とかなる!」


「それにニコルとこのまま縁が切れてしまっては、王国としても多大な損失だしな!」


「そうだ。ニコル君には悪いが、交渉のだしに使わせて貰おう!」


こうして二人は、エドワードとノーステリア大公爵の元へ交渉しに行った。



「という訳だ!」


「二人の言い分は理解できるが、《亜空間ゲート》は《国宝級》だぞ。何かあったら、どうするんだ?」


「私が責任を持つ!」


「私もだ!」


「二人がフロリダ街まで、責任持って運ぶと言うのか?」


「「ああ!」」


「大臣職は、どうするんだ?」


「もうそろそろ、後任に譲っても良いと思っている。何なら、家督も息子に譲る!」


「私も、だ! えっ?!」


ラングレイ伯爵は勢いで相槌を打ったが、そんな事は聞いていなかった。



「二人がそこまで必死になるとは・・・・・」


「アルフォンスよ、良いではないか。領都から王都への人の移動は大方済んでおるし、ニコルと直ぐに連絡がつくという事は何よりの利点じゃ」


「それはそうですが・・・・・」


「どうやら、直ぐには答えは出んようじゃ。後日、回答する」


「「分かりました」」


二人の提案は、一旦保留となった。



そして、月日は流れた。


前触れも無く、一台の馬車と十人の騎士がエシャット村を訪れた。


「おい、そこの者。ここは、エシャット村か?」


「そうですよ」


「おー、そうか。我々を、村に入れて貰えんだろうか?!」


「どういったご用ですか?」


「我々の主人グルジット様が、村の者に用事がある」


使命を果たす旅に出たのは、マイク・グルジット一人だった。

後日行われる《フロリダ街の視察》の結果如何で、《亜空間ゲート》の設置が決まる事となった。


二人は宣言した通り、大臣職を譲る事でこの《視察》に漕ぎ着けた。

また家督も息子に譲り、若い王や兄弟への剣と魔法の《教育係》に落ち着いた。


そしてグレン・ラングレイは王都に残り、剣の指導をする傍ら視察団への根回しをしていた。



「グルジット様ですか?」


()伯爵様だ。以前、この村に訪れた事がある」


「「元伯爵様っ!」」


「どうする?」


「ニコルもいるし、大丈夫だろ」


「そうだな」


二人の門番は、来訪者を村に迎え入れる事にした。


「ご案内します」


「取り敢えず、村長の家まで頼む」


「分かりました」


門番の一人が《自転車》に跨がり、一行を案内した。



『キキーッ!』


「ここが、村長の家です」


「そうか、助かった」


「グルジット様。村長の家に到着しました」


「やっと、着いたか」


『ガチャッ!』


グルジット元伯爵は長旅の末、数年振りにエシャット村を訪れた。



厩舎でシャルロッテのブラッシングをしていると、騒がしいので覗いてみた。


「グルジット伯爵様!」


「おー、ニコル君。丁度良かった!」


「こんな遠くまで、どうしたんです?」


「どうしたもこうしたもない。君が行商に来てくれないから、《二ヶ月半》も掛けてわざわざ足を運んだんだ!」


「えっ、伯爵様自らですか?」


「私はもう伯爵ではない。長男に家督を譲った」


「そうでしたか。この村も、兄のジークが村長を継ぎました」


「まさか、ジーン殿に何かあったのか?」


「いえいえ、元気ですよ」


「それは良かった。序でに言うと、グレンの奴も家督を譲ったよ」


「ラングレイ伯爵様もですか」


「ニコル君、我々の事はどうでも良いのだ。問題は、妻達の事なのだよ」


「奥様方ですか?」


「どうか妻達に、スーパーの商品を売ってやってくれんか?!」


「そういう事でしたか。しかし私は、この村で《のんびり》過ごす事にしたのです。グルジット領へ伺うつもりはありません」


「領地まで足を運ぶ必要はない。《亜空間ゲート》を持って来た。今後、王都とフロリダ街の交易を考えている!」


「えっ! 《亜空間ゲート》を、わざわざ持って来たんですか?」


「そうだ。重鎮達と交渉して、ここまで漕ぎ着けたのだ!」


「しかし、スーパーは村人の生活の為のものですし・・・・・」


「何とか頼むよー。ニコル君と私の仲じゃないかー!」


「うーん、困ったなー」


「ニコルくーん。このままでは、私はソフィアに口を利いて貰えなくなってしまうよー!」


元伯爵ともあろうお方が、とうとう泣き落としをしてきた。



「・・・・・分かりました。私はフロリダ街に店を持っているので、奥様方がいらしたらプレハブの店で対応しましょう」


「うおー、やったー! ありがとー!」


『ブンッ、ブンッ、ブンッ、ブンッ!』


グルジット様に両手を取られ、上下に振り回された。


「ですが他の貴族の方達に、広めないで下さいよ!」


「わっ、分かった。妻達に約束させる!」


「それで、この後どうするんですか?」


「悪いが、フロリダ街まで付き合ってくれんか? 交易の件でリートガルド男爵に会う必要がある」


「・・・・・まー、良いですよ」


理由は良く分からないが、僕もフロリダ街へ行く事になった。

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