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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第九章 二コルと家族編
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第二話 家族と過ごす為に

2022/08/21 レコルの年齢を修正しました。

シロンの具合が悪くなり、僕は暫く仕事を休んでいた。


「シロンも、ケイコも亡くなってしまった。ここ数年忙しくて、かまってやれなかったなぁ」


僕は後悔していた。


「こんなんじゃいけない。家族と一緒に過ごす時間を、もっと作ろう!」


そう思い立ち、実行に移す事にした。



「お早う!」


「「「二コルさん!」」」


「シロンちゃんは?!」


「昨日亡くなったよ」


「そう、なんだ。シロンちゃん・・・・・。ひっぐ、えーん!」


「「シロン・・・・・!」」


「シロンの為に、泣いてくれるんだな。ありがとう」


三人は孤児院で、子供の頃からシロンと仲良くしていた。

シロンの容態を気にし、見舞いにも来てくれた。



「ダニー、サム、ルーシー、仕事は楽しいか?」


「二コルさん。俺達は大恩ある貴方の役に立てる事が、嬉しいんです」


「仕事の種類は、関係無いぜ!」


「そうよ。二コルさん!」


「お前達・・・・・。実を言うと、店を閉めようかと思ったんだ」


「「「えっ!」」」


「そんな事したら、みんな困りますよ!」


「トイレットペーパーは、この街だけじゃなく、他の領地まで広まってるんだぜ!」


「トイレ事情が良くなったと、喜んでくれてます」


「みんなは、反対なんだな?」


「「「はいっ!」」」


「・・・・・分かった。続けるよ!」


「「「良かったー」」」


三人は、安堵した。



「でも僕は、家族の側にいてやりたいんだ。ここへ来るのは、二週間に一度でいいか?」


「構いません。任せて下さい!」


「俺はもう、一人前だぜ!」


「自分だけ何よ。私だって、一人前なんだから!」


「ありがとうな。みんな」


僕は屋台の出店も止め、二週間に一度在庫の補充と売り上げの回収をするだけにした。



フロリダ街の役場の方はというと、食料自給率が高くなり足を運ぶ頻度は少なくなっていた。

今は砂糖や胡椒といった調味料や、リートガルド様向けに日用品をメインに売るだけだった。


僕は有耶無耶になっていた案件を済ませに、役場を訪れた。


「リートガルド様。お貸ししていた魔法袋百個、返して下さい」


「えっ! 何を今更」


「街の情勢は落ち着きました。もういいでしょう」


「返してしまったら、此方は困るのだが」


「それでは、買い取っていただけますか?」


「うっ、流石に全部は無理だ!」


「私は魔法袋を《ダン防》に委託し、ダンジョン探索者に《レンタル》しようと考えてます。そうすれば、ドロップ品の収穫量は維持できると思います」


「《ダン防》を仲介すると、ドロップ品の物価が上がってしまうな」


「元の状態に戻るだけですよ。魔法袋の貸し出しは、急激に人口が増えた為の対策でしたから」


「それはそうだが・・・・・。ところで、レンタル料金は幾らだ?」


「《ダン防》との話し合いにもよりますけど、一日千マネーといったところですかね。高いと借り辛いですし」


「うむ。その値段だったら、利用しやすい。我々も借りられるのか?」


「可能ですが管理が難しくなるので、貸し出しはダンジョン内だけにしようと思います」


「それでは魚介類や農作物の運搬に、支障がでる。どうにかならんのか?」


「やはり、買い取って貰うしか」


「うーむ」


リートガルド様は悩んだ結果、一つ百五十万マネーで二十個買い取る事にした。

しかも、五年ローンで。


残り八十個の魔法袋は、後日返して貰う事になった。


僕はこの後《ダン防》の偉い人と会い、話しを纏めた。



翌日。


《ノーステリア大公爵領の鍛冶屋》


「すみません。行商に来るのは、今回が最後です」


「何だと! ここじゃあんたのインゴットで作った製品が、売れ筋なんだ。もう一度考え直してくれ!」



《新王都のラングレイ伯爵邸》


「すみません。行商に来るのは、今回が最後です」


「ニコル君、冗談よね? 冗談って言って!」



《新王都のグルジット伯爵邸》


「すみません。行商に来るのは、今回が最後です」


「ニコル君、何があったの? そんな事言わないで、お願い!」


三ヶ月に一度足を運んでいた顧客を、バッサリ切ってしまった。



そのまた翌日。


忙しい日々から逃れ、僕はやっと《のんびり》暮らせるようになった。


「パパ、行ってきます!」


「行ってらっしゃい!」


レコルは現在九歳で、学校に通っている。

エシャット村では五歳から十歳になるまでの五年間、学校に通う事になっている。


そこで読み書き・算数・歴史・地理等を学び、十歳から仕事の手伝いを始める。

仕事をした分は、勿論賃金が貰える。



「パパ、行ってくるね!」


「行ってらっしゃい!」


サーシアは十一歳になり、既に学校を卒業し十歳からスーパーの手伝いを始めている。

将来はスーパーで働くか服飾工房で働くか、はたまた魔法を活かし狩猟班になるか悩んでいる。



「ミーリア。エミリアは僕が見てるから、工房に行ってきたらどうだい?」


「ありがとうニコルちゃん。久しぶりに、行ってくるね」


子育ての間、ミーリアは服飾工房を休んでいた。

その間ミーリアのお母さんが切り盛りし、従業員の育成も行っていた。



「パパー!」


エミリアはまだ四歳なので、学校には通っていない。


「エミリア、何して遊ぼうか?」


「おそといこ!」


「孤児院かい?」


「うん!」


エミリアが言う『おそと』とは、孤児院を指していた。


僕はエミリアを連れて、孤児院に向かった。

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