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第四十八話 遺体の埋葬

本日、二本目の投稿です。

昼食をとりに、僕は王都の《結界》の中に移動した。


「はー、疲れた。只でさえ忙しいのに、また仕事が増えた。十億マネー貰えるけど」


そう呟きながら、移設を請け負った建築物を眺めた。


「結構多いな」


今の僕にとって、お金はそれ程重要じゃなかった。

既に充分、稼いでいたからだ。


僕が売る商品は、基本材料費が掛からない。

出費は、販売する人件費くらいだ。


「金が貯まる一方だ。このままだと、《百億マネー》もそう遠くないぞ」


エシャット村の為に色々と出費しているとはいえ、他に使うところがなかった。


村人の給料は上げて、既に隣街の水準を越えていた。

しかも、村の物価は安かった。


「これ以上、給料を上げてもなー」


貯まった金の使い道が無い事が、僕を悩ませた。


「これはあれだ。本当にもう、一生働かなくても孫の代まで食べていけるな!」


村は順調に豊かになり、今なら念願の《のんびり生活》が可能に思えた。



ハンバーガーを頬張り、二時間程してからラングレイ伯爵の元を訪れた。


「ヤマト。これが埋葬場所の地図だ。どうせまた、一人で行ってくるのだろう?」


「気が利くな」


「まあな。それで、どの位で戻って来れる?」


重鎮達は食事を終え、既に仕事をしていた。


「十五分も掛からず、戻れるだろう」


「分かった。できるだけ早く、集合しておく」


「頼む」


『フッ!』


僕は一旦、ラングレイ伯爵領の領都に《転移》した。

そしてそこから、北東方面へ飛び地図の場所を目指した。



「ここか?」


そこには、広大な草原が広がっていた。


「細かい場所は、ラングレイ伯爵に確認すれば良いだろう」


そう呟き、ノーステリア大公爵領の領城へ戻った。



「準備はできている」


先程のメンバーが、全員揃っていた。


「早く戻ったつもりだが、待たせたか?」


「いや、そうでもない」


「師匠を待たせる訳には、いきませんからね!」


ドナルド陛下の『師匠』は、すっかり定着してしまった。

認める気は無いが。


僕は五人を引き連れ、ラングレイ伯爵領の草原に《転移》した。



「この場所で良いのか?」


「うむ。ここら一帯を、使って構わん」


「早速、作業を始めるぞ」


「頼む」


僕は地面に右手を付き、地層を《分離》した。

そして分離した地層を、《亜空間収納》に回収した。


その広さ、五十X三十メートル。

深さ、二メートル。


「「「「なっ!」」」」


「師匠、流石です!」


「この穴に、回収した遺体を置いていく。言っておくが、平民は棺には入れていないからな」


「ああ。構わん」


『スタッ!』


ノーステリア大公爵領の確認を取り、穴の中に降りた。


そして《亜空間収納》を開き、隅から一メートル間隔で合計五十体並べた。



「遺体はゾンビの姿だと思っていたが、みんな綺麗だ!」


上から覗いているドナルド陛下が、呟いた。


「ヤマトが、修復してくれたのじゃ」


事情を知らないドナルド陛下に、エドワード様が答えた。


「師匠は、慈悲深いのですね!」


僕は聞こえない振りをした。


「次は通路を作る」


『ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・!』


地面に右手を付き、五十体の遺体の手前に幅一メートルの壁をせり上がらせた。


『スタッ!』


そして完成した通路に、飛び乗った。


「遺体に、土を盛るぞ」


「やってくれ。後日、司祭を連れて来る」


「そうか」


了承を得ると、先程収納した土を綺麗にしながら遺体に掛けていった。

それが終わると、《亜空間収納》で作った名前入りの墓石を一つずつ立てていった。



「墓石まで用意していたのか?」


「簡単な物だが、何も無いと寂しいからな」


「百八十万体もあるのだろ?」


「時間のある時に、コツコツやるさ」


「ここまでされては、報酬を出さねばならんな」


「その必要は無い。この埋葬は、俺の望みでやっている事だ」


「お主という奴は・・・・」


「見物は、もういいだろ。後は一人でやる」


「私は師匠を、手伝います!」


「陛下。国王なら、国王の成すべき事をしろ!」


「ヤマトの言う通りじゃ。わしらは邪魔せんよう、引き上げるぞ!」


「大祖父様」


どうやらドナルド陛下は、諦めたようだ。


「領城へ送る」


『フッ!』


僕は有無を言わさず、《転移》した。



「一週間後、また来る。建物の配置が決まっていれば、直ぐにでも設置してやる」


「何とか検討してみるが、一週間では決まらないだろう」


「別に急いでる訳じゃない。進捗だけでも聞かせてくれ」


「分かった」


「師匠。私は立派な国王になる為、精進します。見ていて下さい!」


「頑張れよ」


『フッ!』


そう言い残し、埋葬場所へ戻り引き続き作業を行った。



「うわー、結構大変だぞー! このペースで三千体かー!」


埋葬作業は、思っていた以上に手間が掛かった。

しかも、ゾンビはまだまだ徘徊していた。


《のんびり生活》は随分先の話しだと、この時考えを改めた。

お読みいただき、ありがとうございます。

《第八章》は、ここまでです。


またストックが溜まるまで、暫くの間投稿を休ませていただきます。

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