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第四十六話 王城の移設

ドナルド陛下と重鎮達と共に、王城前へやって来た。


「これが伝説の《転移魔法》。やはり凄い人だ。ヤマト殿、是非弟子にして下さい!」


「断る!」


「お願いだ!」


「俺には、陛下に構っている暇は無い。しつこいと、このまま帰るぞ」


「まっ、待てヤマト。ドナルドも待つのじゃ!」


大祖父様(おおじいさま)!」


「ドナルド。ヤマトは本気じゃ。全て終わるまで、見届けるのじゃ!」


「・・・・・分かりました。《師匠》がこれから成す事を、見て学ぶ事にします」


「うむ。偉いぞ!」


『師匠』という言葉に引っ掛かったが、否定するのも面倒なのでスルーした。


「王城を回収するぞ」


「師匠、宜しくお願いします!」


「くっ!」


《地図》機能で中に誰もいない事を確認し、王城を《亜空間収納》に回収した。



「凄い! あんなに大きな王城が消えた」


ドナルド陛下が何か呟いているが、ここもスルーした。


「ノーステリア大公爵。王城は何処へ運ぶんだ?」


「ここから東へ行った森の中にある丘の上だ。先行して周辺の整地を始めている」


「そこに設置すれば、この件に関して俺の仕事は終わりだな?」


「そうだ」


「分かった。行ってくる」


『スー!』


そう告げると、ゆっくりと浮上した。



「「「「「なっ!」」」」」


《飛行属性魔法》を目の当たりにし、一同は驚きの声を上げた。


「まっ、待て! 私達も連れて行ってくれ!」


ノーステリア大公爵の制止する声に反応し、空中に停止した。


「飛んで連れて行く事も可能だが、現場に一度行ってから《転移》で迎えに来る」


「分かった。ここで待つ!」


『ズビューン!』


「行ってしまった」


「師匠、凄い!」


若き国王ドナルドは、目を輝かせて空を見上げていた。



「あそこか」


東へ飛ぶと、小高い丘の上に働く多くの人の姿が見えた。

確認の為、近付いて着地した。


「おい。この場所に王城を設置するのか?」


「なっ、何だお前は?!」


「王城を設置しに来た」


「黒髪。まさか、あんたがあのヤマト殿なのか?」


「そういう事だ。ここでいいんだな?」


「はっ、はい。ここでいいです。しかしノーステリア大公爵様の許可がないと」


『フッ!』


「わっ!」


場所の確認がとれると、話し終わるのを待たず《転移》した。



『スタッ!』


「おお、ヤマト。早かったな!」


「全員いるな。行くぞ」


『フッ!』


戻ると会話する暇も与えず、一同を連れ《転移》した。


『『『『『『スタッ!』』』』』』


「「「「「わっ!」」」」」


「着いたぞ」


「ヤマト。性急過ぎじゃ!」


「知らん。余計な仕事は、早く終わらせたい」


「なっ!」


ヤマトの姿だと、役作りを通り越しつい本音が出てしまう。



「こっ、国王様!!」


先程話した人物が、此方に気付いた。


「「「「「「「「「「えっ、国王様だって!!」」」」」」」」」」


『『『『『『『『『『『『ズザザッ!』』』』』』』』』』』』


ドナルド陛下の姿を見た人々は、片膝をつき頭を下げた。


「良い。面を上げよ!」


「「「「「「「「「「ははーっ!」」」」」」」」」」


ドナルド陛下の言葉に、一同は顔を上げた。



「これから、王城を設置する。準備は整っているか?!」


「はい!」


「余計な物がないか今一度確認し、安全な場所に移動せよ!」


「畏まりました!」


ノーステリア大公爵の指示で、現場の人達が動いた。



現場の確認と、作業員の移動が完了した。


「ヤマト。このマーキングした位置に城門がくるよう、南向きに設置してくれ」


説明は、簡単なものだった。


「分かった。みんな離れていろ」


ドナルド陛下達も避難させ、《亜空間収納》を開いた。


『ストッ!』


整地された土地に、衝撃を与えないよう注意し王城を取り出した。


「「「「「「「「「「おーう!」」」」」」」」」」


「師匠、流石です!」


回りから、歓声が上がった。



「この位置で、大丈夫か?!」


「うむ。大丈夫だ!」


「このまま、地下階を地面に沈めてしまうぞ!」


「頼む!」


僕は片膝をつき、地面に右手をついた。


『ズズズズズズズズッ・・・・・・・・・・!』


「「「「「「「「「「おおーう!」」」」」」」」」」


「師匠、凄い!」


またもや回りから、歓声が上がった。



「こんなものでいいか?」


「うむ。上出来だ!」


「仕事は終わった。報酬の遺体の埋葬の件は、どうなった?」


「王族と領地の無い貴族は、この新しい王都に埋葬する。領地持ちの貴族は領地に帰す。そして平民は、ラングレイ伯爵が土地を提供してくれた」


「ラングレイ伯爵」


「何だ?」


「遺体の数が増えても、大丈夫か?」


「どのくらいだ?」


「期日は未定だが、最終的に百八十万体位になりそうだ」


「ひゃ、ひゃ、百八十万だとーーー!!」


「今回の被災者全員の数だ。駄目なのか?」


「いや。そうではないが、一人一人コンパクトに埋葬してくれんか?」


「いいだろう。土地もタダではないからな」


「助かる」


ラングレイ伯爵は僕の言葉を聞き、安堵していた。

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