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第四十三話 王城設置と遺体埋葬

僕の正体は、エドワード様の口から明かされてしまった。


「仕方ない」


『こうなってしまっては、話すなら今だ』と、思いたった。


王城の移設を対価に、遺体を埋葬する土地を引き出そうと画策した。

無人島より生まれ育った国に埋葬された方が、亡くなった人達にとって良いと思ったのだ。


「何か言ったか?」


「私は次の仕事がありますので、王城を設置するかしないか早く決めて下さい!」


「ニコルよ。取り敢えず城が利用可能か、確認しておきたい。移設に幾ら払えばよいのじゃ?」


「先程は別料金と言いましたが、お金はいりません」


「何っ! では、宝物(ほうもつ)か?」


「いえ、宝物もいりません」


「では、何だと言うのじゃ?」


「王都から持ち帰った遺体を、埋葬して欲しいのです」


「埋葬? それだけか?」


「遺体の数は、四十六万(・・・・)人分です」


「「「「よっ、四十六万人分だとー!!!」」」」


重鎮達は、揃って声を張り上げた。



僕はエシャット村に帰ってからも、一人で王都へ行き作業を続けた。

中途半端で終わらせるのは、後味が悪かったからだ。


その甲斐もあり、王都からゾンビの姿が消えた。

そして回収した屍の総数は、四十六万体にも及んだのだ。


「本当なのか?! それが事実だとすれば、王都の総人口を越えるぞ!」


「本当です。人口より多い要因は、多分王都の外から訪れた人達でしょう」


「ニコル君。それでは王都から、ゾンビはいなくなってしまったのか?」


「はい」


「ニコル。他の魔物はどうなんだ?」


「魔物はまだ、うじゃうじゃいます」


「王城を持って来れるのなら、私の屋敷も頼みたいところだが」


「どうしてもと言うのなら、対価をいただければ請け負いますが」


「幾らだ?」


「屋敷と敷地内の諸々を合わせ、三千万(・・・)マネーというところですかね」


「むっ。その金額なら、出しても構わんぞ!」


「ニコル君。私の屋敷も頼むよ!」


僕は吹っ掛けたつもりが、伯爵達にはそうでもなかった。



「二人共、今は王城の方が先じゃ。それに、四十六万人分の遺体の埋葬をどうするかじゃ!」


「そうでした」


「すみません」


「父上。そうなると、王族や貴族の遺体も含まれるのですよね」


「そうなるな」


「平民とは、別々に埋葬する必要があります。どうしましょうか?」


「うむ。ゾンビとなってしまっては、見分けるのは大変じゃな」


「それでしたら、大丈夫です。遺体は《修復》してありますから」


「「「「何だ(じゃ)とー!!!」」」」


重鎮達は、またもや声を張り上げた。



「それに指定した人物を、一人一人取り出せます」


「はぁ。お主のやる事には、いちいち開いた口が塞がらんぞ!」


「父上。ニコル殿は、《神》か《神の使徒》ではないのですか?!」


「「「まさかっ!」」」


みんなして、僕の顔をまじまじと眺めた。


()してください。私はれっきとした《人間》です!」


勘違いして貰っては困るので、強く否定した。



「今までの行いを見せ付けられては、人間というのも信じ難い。じゃが、ここは話しを戻すぞ!」


「「「そうですね!」」」


「埋葬の件は、何とかしよう。皆、我が国の民なのじゃからな!」


「しかし、数が多過ぎますね」


「平民は、共同墓地で良いのでは?」


「領地持ちの貴族は、故郷へ帰すべきだな」


「できれば王族は、新しい王都に埋葬するのがいいのじゃが」


「父上。王都の場所は、我が領地の東の森を切り開いてはどうです?」


「それじゃと、《軍事》と《政治》と《経済》がこの領地に集中するぞ」


「しかし中央は、今や不毛の地です。それに増え過ぎたこの領都の住民を、移住させられます!」


「確かにそうじゃな」


「話しは長くなりそうですね。取り敢えず、王城をどこかに出しませんか?」


「「「「おお、そうだな(じゃな)!」」」」


僕の提案は聞き入れられ、王城を設置する事となった。



『ズドンッ!!!』


「「「「「「「「「「うおぉぉぉぉぉ!!!」」」」」」」」」」


いきなり王城が現れ、周りから驚きの声が上がった。


王城を設置した場所は、軍施設の訓練場だった。

領主邸の庭は広かったが、花壇や木々を破壊してしまうので移動してきた。


ここへ来る際、人目に触れる事を考慮し黒髪に変装した。

四人の重鎮には、『他言無用』と口止めした上である。


また名前が『ヤマト』である事と、キャラ付けで《無礼》な物言いになる事を告げた。


「「「「凄い!」」」」


「これでいいか?」


「ああ。しかし、扉があんな場所に」


地下部分の階層が地上に競り出し、城門がかなり上にあった。


「地面に埋める事も可能だが、階段を設ければいいか?」


「頼む」


「分かった」


エドワード様に確認を取ると、僕は壁に右手をついた。


『ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・!』


そして、壁に階段を作った。



「これでいいか?」


「充分じゃ。では、行くとするか」


「「「はい!」」」


重鎮達は階段を上り、僕はそれに続いた。

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