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第四十一話 王族の屍の回収

お昼休憩が終わると、《亜空間農場》の出口を開いた。


「ほら、出ていいぞ」


「行ってくるニャ!」


そう言って、シロンが出て行った。


「コケー!」


「モキュッ!」


するとその後を、ケイコとポムが追った。


「シャルロッテは、いいのか?」


『はい』


「それじゃ悪いけど、ここで待っててくれ」


『分かりました』


シャルロッテには並外れた《体力》と《筋力》があるので、戦闘ではシロンに引けを取らない筈である。

しかし、戦闘をあまり好まなかった。



「《雷撃》ニャー!」


『バリバリバリッ!』


シロンは魔法の一撃で、ウルフを同時に三匹仕留めた。


「コケー!」


『バサバサバサッ、ザシュッ!』


ケイコは、高高度からの爪攻撃でボアを仕留めた。


「モキュッ!」


『ブスッ!』


ポムは、鋭利な触角の一突きでオークを仕留めた。


アイテムで強化しているので、驚異になる魔物は此処にはいなかった。

先程は大群にいきなり囲まれたので、びっくりしたのだろう。


「僕がいなくても、大丈夫だな」


僕はシロン達を残し、ユミナと約束した国王様や王太子殿下達を探しに行った。



《地図》機能で探すと、国王様は平民街の軍施設にいた。


「あそこだ!」


空を飛んで移動すると、直ぐにその場所に辿り着いた。


「この建物の中か」


大きな建物で、王族の回りには兵士や貴族のゾンビが密集しているようだ。


「一人一人回収するのは、面倒だ」


そう呟くと王城の時と同じように、建物を《亜空間収納》に回収し、排出されたゾンビを纏めて屍に変えた。



屍を回収していると、王太子殿下を見付けた。


「王太子殿下の屍は、ユミナの元に送り届けるべきなんだろな」


しかしその変わり果てた姿に、思うところがあった。


「《上級体力回復》」


『・・・・・・・・・・!』


崩れた身体の回復を試みたが、何も起こらなかった。


「死人の肉体には、《回復属性魔法》は効かないって事か? ・・・・・待てよ。錬金術なら!」


そう思い、屍に右手を翳し《修復》能力を使った。


『ポワー!』


すると王太子殿下の屍が光に包まれ、みるみるうちに身体が修復されていった。



「良かった。成功した!」


どうやら死体は《物体》という定義で、錬金術が効くようだ。


「初めて見たけど、思っていたより年上だな。ユミナとの仲は、上手くいってたんだろうか?」


王太子という立場を使い、半強制的に三番目の妻にした事を思い出してしまった。


「余計なお世話だな」


あの時僕は、何もできなかった。

そんな事を言う資格が無いと思った。


王太子殿下の《遺体》を回収すると、続けて横たわる《屍》を次々と回収していった。


「埋葬してしまえば同じ骨になってしまうけど、やはりゾンビの姿のままでは心苦しいな」


そう思い、他の屍も《亜空間収納》内で《修復》する事にした。


「報酬として、資源となる《魔石》は抜き取らせて貰うけど」


そんな事を呟きながら、屍の回収を終えた。



「他は後回しだな」


軍施設には、まだまだ多くのゾンビが徘徊していた。

しかし王族を探した時に、王立大学・王立学園・王立初等学園にもいる事が分かっていた。


効率は悪いけど、ユミナとの約束を優先する事にした。



三つの施設で、王族を含む全ての屍の回収を終えた。


それらの敷地は、ゾンビが入って来れないように門や扉を全て閉じてある。

シロン達の次の狩り場にする予定だ。


「切りも良いし、みんなの所へ戻ろう」


王城の敷地に戻ると、シロン達はまだ狩りをしていた。

流石に全滅させるには、もう暫く掛かりそうだ。


「ただいま」


「お帰りニャ!」


「コケー!」


「モキュッ!」


「どうだい調子は?」


「いっぱい狩ったニャ!」


「そうか。後で倒した魔物を、見せて貰うからな」


みんなには収納用の魔道具を、身に付けさせている。

袋とか鞄ではなく、体型に合ったアイテムに収納の機能を付与したものだ。



「今日は、もう終わりにしよう」


「そう言えば、お腹が空いたニャ。続きは明日ニャ!」


「コケー!」


「モキュッ!」


シャルロッテが待つ《亜空間農場》にみんなで入り、僕は夕食の準備に取り掛かった。



翌日からは、《影分身》で効率を上げた。


その甲斐もあり、一ヶ月で三十万人分のゾンビを屍に戻し回収する事ができた。

しかしそれでも、王都から全てのゾンビをなくす事はできなかった。


子供達との約束もあったので、一ヶ月半で旅を切り上げエシャット村に帰った。


「ただいまー!」


「「あー、パパだー!」」


「ニコルちゃん、お帰りなさい!」


「パーパ、おかえりなちゃい!」


「みんな元気そうだね!」


僕は久し振りに家族に会い、みんなを抱き締めた。


エドワード様の所へは、次の行商の機会に伺う事にした。

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