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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第二章 王都行商編
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第十六話 勇也の決断

朝食を食べながら、勇也さん達の戦力を考えた。


「勇也さんは、勇者だけあってレベルが低い割りにステータスが高い。レベルさえ上げれば、僕なんかより強くなると思う」


「問題は、他のメンバーがいずれ勇也さんと差が付きすぎて、足手まといになりそうなんだよね」


「人選をし直した方がいいんじゃないかな?」


「ふー」


僕はため息を吐く。


「今日は、露店の場所を予約しに行こう。いい場所が取れればいいんだけど」



ツイてる。二日後の休日、メインストリートの一番人通りの多い場所をキャンセルが出て借りられた。

休日価格という事もあり、一万マネーも取られたんだけどね。


ちなみに、この世界の一週間は六日。その週初めが休日である。

一ヶ月はどの月も三十日。

一年は十二ヵ月で三百六十日である。


夕方までやる事が無く、繁華街で店をまわり時間を潰した。



夕方になり、エーテルの街に転移した。

勇也さん達は、探すまでも無く昨日の食堂にいた。


僕が店に入ると、勇也さんが僕に気付いた。


「よー、ニコル。丁度良かった。話しがあるんだ」


「皆さん、こんばんは。勇也さん、話しって何ですか?」


「昨日の褒賞の話しが気になって、午後から王都に行って来たんだが、国というか宰相の態度が怪しい」


「どうしてですか?」


「『魔王を倒したら俺は元の世界に帰るから、爵位も五億マネーもいらない。その代わり、武器や防具を揃えたい』と、言ったら今回も全然相手にされなかった」


「そうですか」


「しかも、来月から勇者パーティーの活動資金も打ち切られた。『ダンジョンで稼げ!』だと」


「うわ、酷い! 宰相は魔王を討伐する気ないんじゃないですか?」


「何を考えてるか分からん。そんな分けで、今後の事をみんなで話してたんだ」


「随分、深刻な話しですね」


「まあな。こうなってくると、俺以外の褒賞も怪しくなってきた」


「勇也よ。わしらはパーティーを組んでから短いが、成長著しい勇也と一緒にいればさらにパーティーの実力は上がると思っちょる。褒賞が無くてもわしはいいと思うぞ」


「えー、私はやだよー。褒賞目当てで志願したんだからね」


「お姉ちゃん・・・」


「ニナはぶれないっすねー」



勇也さんが、何かを決意したような表情をした。


「みんな聞いてくれ、俺は・・・・・」


みんなは、勇也さんが喋り出すのを待つ。何を言うか察しているようだ。


「元の世界で戦闘なんてした事も無いこの俺が、この世界に召還され王城で訓練して戦い方を覚えた。料理の普及でサボったりもしたけど、ダンジョンでレベルも上げ、今は一人である程度戦えると思ってる」


「みんなにとって何が正解か分からないが、俺がみんなの前からいなくなれば、少なくとも以前の職場に戻れるだろう」


いや、勇者がいなくなるんだ。何らかの罰を負わされると思うぞ。

だが、敢えて言わない。


「俺と一緒にいれば、さらに厳しい戦いを強いるようになる」


「みんなに相談せず、黙っていなくなろうとも考えた。しかし義理を通し戻って来た」


「みんなには悪いが、俺はこの国を出る。黙って行かせてくれ! 出て行く理由は、この国の上層部に胡散臭さを感じたからだ!」


「「「「「・・・・・」」」」」


「何かしんみりしてきたっすね。こうなる気はしてたっす」


「わしは望んでパーティーに入ったわけじゃないが、今はみんなを仲間だと思っちょる。寂しいわい」


「まだ、国王様に訴えれば何とかなるかもよ。それでも行っちゃうの?」


「今回の件で、宰相が何か手を打ってくるかもしれない。手遅れになる前に出たい」


「そうなの?」


「お姉ちゃん。私は王都に帰りたい。魔王と戦うなんて嫌」


「レナ・・・」


ここでみんなの会話が途切れた。

そして勇也さんはみんなの顔を見渡し、決意した表情で再度話し出す。


「みんなには悪いが、俺は明日夜明けと共にこの街を出る。みんなは何も知らされず、俺がいなくなったと国に報告してくれ」


「仕方ないのう。今日でお別れじゃな」


「寂しくなるわね。こっそり戻ってきていいんだからね」


「勇也君のスイーツ美味しかった」


「楽しかったっすよ。今からは、お別れ会っすね」


「じゃあみんな、しんみりしないで飲み直そう」


「「「「おう!」」」」


そうして、夜遅くまで飲み続けた。

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