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第二十話 亜空間ゲート

《結界》で救えたのは、グルジット伯爵邸・ラングレイ伯爵邸・ダニエル商会本店・ダニエル商会支店・御食事処やまと・喫茶店を囲んだごく一部の範囲に留まった。


咄嗟な事で、これ以上の範囲を覆えなかった。


救助を《影分身》に任せ、僕は防具の兜を外しプラーク街の別荘に《転移》した。


「ヤマトさん!」


「「ヤマト!」」


「大規模の魔素の発生は、止められなかった」


「えっ!」


「「何だって!」」


「俺が《転移》した直後、魔素の爆発は起こった。今、王都は大変な事になっている」


「「「そんな!」」」


「だが一部の地帯だけは、《結界》で救う事ができた」


「「「えっ!」」」


「行くか?」


「行くぞ!」


「私もだ!」


「分かった。少し待ってくれ」


そう言って、《亜空間収納》を開いた。


「《アイテムボックス》?」


グルジット伯爵の言葉を無視し、そこから《亜空間ゲート》を取り出した。


「これは?」


「後で説明する」


『『『『『『フッ!』』』』』』


僕は五人を連れ、王都のグルジット伯爵邸の玄関前に《転移》した。



『『『『『『スタッ!』』』』』』


「「「「「わっ!」」」」」


「ここは、私の屋敷ではないか?!」


「そうだ」


「救ってくれたのか?!」


「そういう事だ」


「ヤマトよ。感謝する!」


「私の屋敷はどうなった! 暗くて見えん!」


辺りは魔素が充満し、薄暗かった。


「大丈夫だ」


「おおっ!」


ラングレイ伯爵は、隣にある自分の屋敷に慌てて駆けて行った。



「グレンの奴、行ってしまった。私達も屋敷へ入ろう」


「「「はい」」」


屋敷に入ると、メイドや執事や兵士達がざわついていた。


「「「「「「「「「「伯爵様!」」」」」」」」」」


こちらに気付き、一同は驚きの声を上げた。


「おお、お前達!」


「ユミナ様にバロン様まで!」


「ソフィアはいるか?!」


「はい、お部屋に!」


「そうか!」


グルジット伯爵は、そのままソフィアさんの所へ向かおうとした。


「待て!」


僕はその伯爵を、止めた。


「何だ?!」


「俺の話しが、終わっていない」


「そっ、そうか。誰か、ソフィアを呼んできてくれ!」


「はい!」


するとメイドが、直ぐに駆けて行った。



僕は再び《亜空間収納》を開き、《亜空間ゲート》を取り出した。


「これは、先程と同じ物だな?」


「二つ一組で使う魔道具だ」


「魔道具なのか!」


「暫くの間、これを貸し与える。あんたの責任で、有効に使ってくれ」


「分かった。だが、これは一体何なんだ?」


『ガチャッ!』


「着いて来い」


僕は《亜空間ゲート》の扉を開け、グルジット伯爵を促した。


「みんなは、待っておれ!」


「「「はい!」」」


ユミナ達に一言告げると、グルジット伯爵は《亜空間ゲート》に足を踏み入れた。


「なっ! 何だこの空間は!」


僕はその声を無視し、対のドアを開け外に出た。



「ここは、先程までいた部屋ではないか?!」


グルジット伯爵は扉を出ると、驚きの声を上げた。


「そういう事だ」


「何て凄い魔道具を、持っているんだ! どうやって手に入れた?!」


「そんな事はどうでもいい。《結界》は閉鎖された空間だ。食料は何れ尽きる。この魔道具を使い人々を救ってくれ」


「あっ、ああ。分かった」


「それと、魔石で魔力の補充を忘れないようにな」


「分かっている。私はこれでも、魔道具に精通している」


「そうか」


「ところで、ここは何処なんだ?」


「・・・・・プラーク街の友人の別荘だ」


「ダンジョンのあるプラーク街か?」


「そうだ」


「友人の家と言ったな? 私達が使って構わないのか?」


「緊急時だからな」


「友人の名を、聞いておこうか?」


「ニコルだ」


「ニコルだと!」


「ああ」


「私の娘ユミナは、お主がニコルだと言っているぞ!」


「違う。俺は俺だ。それに名前が同じだけで、そいつは俺の友人と同一人物なのか?」


グルジット伯爵は疑いの目で見るが、僕は動じなかった。



「兎に角、俺はやる事がある。あんたらは、自分達の事を何とかしろ!」


そう言うと、手に持っていた兜を被った。


「行ってしまうのか?!」


「ああ。後は任せた!」


グルジット伯爵を残し、僕は別荘を出た。



外に出ると、《地図》機能で勇者達を探した。


「ガーランド帝国との国境付近にいる! 逃げたつもりでいるのか?!」


だが、様子がおかしい。

違うマーキングが、一つ混ざっている。


地図をズームしていくと、動きが激しい。

争っている感じだ。


「でもこの動き、早過ぎる。・・・・・アレンさん!」


その相手を調べてみると、アレンさんだった。


「急がなきゃ!」


僕は地図が示す場所に、慌てて《転移》した。



「《灼熱放射》!」


『ブアオォーーーーー!!』


『シュタッ!』


「チッ! 素早い」


「オラーッ!」


『ガインッ! ガインッ! ガインッ!』


『ズバビュッ!』


『ガシャーン!』


『ビュン! ビュン!』


『ギンッ! ギンッ!』


「ウガー!」


『ブオンッ!』


『シュタッ!』


『ドゴーーーン!』


《転移》すると、そこは戦闘の真っ只中だった。

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