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第十三話 勇者パーティー王城侵攻

王城や貴族街は、赤い狼煙が上がり警戒体制がしかれた。


貴族街にある王国軍も動き出し、先遣隊百人が門の方へ向かった。


「あのでかぶつ、こんな場所で剣を抜いてるぞ!」


「良く見ろ! 剣に血糊が付いてる!」


「奴等が、狼煙の原因なのか?!」


「ウガーーーーー!」


狂戦士が、吠えた。


『ドーン!』


次の瞬間地面を蹴り、一瞬で兵士達に詰め寄った。


『ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!』


「「「「「「「「「「うあーーー!」」」」」」」」」」


そして、十人の兵士の胴体を真っ二つにした。


王国でも実力のある兵士達であったが、個の力の差は歴然だった。

この後攻撃に耐え切れず、撤退を余儀なくされた。


兵士の数は、半数にまで減っていた。



「おい、悪羽魔(オハマ)。この調子で殺しまくる気か?」


「殺るのは王族だけのつもりだが、抵抗する奴は殺す」


「キーヒッヒッ! 貴族や兵士を恐怖(・・)で支配できれば、国の統治は楽なんだがな」


「ウガー! 全員ぶっ殺せばいいー!」


「お前はそればっかりだな。全員殺してたら、この世は俺達だけになるぞ。飯が食えなくなってもいいのか?」


「ウガー! うるせーーー!」


「やれやれ」


賢者は狂戦士の考えの無さに、呆れていた。



勇者達が王城へ辿り着くと、フェンス越しに大勢の兵士が待ち構えていた。

その数は、千を優に超えている。


「おうおう。よくもたった六人に、これだけ集めたな?!」


「平和的に従えさせるのは、無理だな」


「ウガー! 皆殺しだー!」


「キーヒッヒッ! 殺るしかねーな」


「好きにしろ!」


「お前ら、行くぞ!」


「「「「「おう!」」」」」


勇者達は高さ二.五メートル程の門扉を、軽々と飛び越えた。


「《落し穴》トラップ発動!」


魔法師のその言葉で、勇者達の足元の地面が突如消えた。


「「「「「「うわーーー!」」」」」」


勇者達は、そのまま穴に落ちていった。


これは、グルジット伯爵の指示で仕掛けた罠である。

穴の底には尖った岩が、剣山の様に張り巡らされていた。



「どうだやったか?!」


近くにいた兵士が、穴の中を覗き込んだ。


『ブォーーー!』


「ボヘッ!」


その瞬間穴から《炎槍》が飛来し、兵士の腹を貫いた。


『スーーー!』


そしてその穴から、勇者達が浮かび上がって来た。


「「「「「「「「「「なっ!」」」」」」」」」」


賢者が咄嗟に、《飛行魔方陣》を使ったのである。



「面倒だ。魔法で蹴散らすぞ!」


「任せる」


「《火炎竜巻》」


『ブボァーーーーー!!!』


「「「「「~《防御壁》!」」」」」


『ブバォッ!!!』


大魔導師の魔法は、王国魔法師達の待機させていた魔法によって防がれた。


「チッ!」


「矢を放てー!」


その合図で、勇者達に一斉に矢が放たれた。


「《防御壁》」


しかしそれを、賢者が防ぎ返した。



「「「~《空気鎚》」」」


『ドスッ! ドスッ! ドスッ!』


今度は空中に浮いている勇者達を、頭上から空気の塊が襲った。


「「「「「「ぐっ!」」」」」」


《飛行魔方陣》はバランスを崩し、乗っていた勇者達は振り落とされた。

そして落とし穴を避けながら、それぞれ地面に着地した。


「《地雷》トラップ発動!」


『ドン! ドン! ドン!・・・・・・・・・・!』


「「「「「「うわーーー!」」」」」」


間髪入れず、勇者達を爆発の罠が襲った。

勇者達はその攻撃を、諸に食らってしまった。


しかし高性能の防具と高いステータスにより、ダメージはそれ程でもなかった。



「糞がっ! 《特級爆裂》!」


『ドグォォォォォーーーーーーーーン!!!!!』


「「「「「「「「「「ウギャーーーーーーーー!!!!!」」」」」」」」」」


大魔導師が怒りに任せ、レベル8の《特級魔法》を放った。


その爆発にその場にいた全ての兵士が巻き込まれ、多くの者が死んでしまった。

辛うじて防御した者も、重症を負っている。


「おいっ! 俺達を、巻き込むんじゃねー!」


「わりー。やり過ぎちまった」


勇者達も爆風を浴び、火傷を負っていた。


「《範囲中級体力回復》」


賢者は傷付いた仲間達を、直ぐに回復してやった。



国王と大臣達は、今の惨劇を王城の議会室で見ていた。


「何という事だ! 兵士はほぼ全滅ではないか!」


「陛下。念の為、地下通路から避難いたしましょう」


宰相が、国王に進言した。


「城を、この国を、奴等に明け渡すと言うのか!」


「いえ。その様な事では決してありません。ただ、最悪の事態を考えての事です」


「城には《結界》が張ってあり、近衛騎士団や魔術師団もおるではないか?!」


その様子を、グルジット伯爵は窺っていた。



「陛下。私からも進言致します。今直ぐお逃げ下さい! 先程の魔法は、上級魔法の威力を越えております。敵の力は未知数です」


「むっ! グルジット伯爵」


「父上。私も、宰相や大臣の意見に賛成です!」


「父上! 避難致しましょう!」


王太子と第二王子も、その意見に賛同した。

第三王子は黙っていたが、同じ気持ちである。


数秒の沈黙の後、国王は目を閉じ考えを巡らせた。



「分かった。(みな)を集めてくれ」


「畏まりました」


近衛騎士が数人、王族を呼びに部屋を出て行った。


「陛下。ご準備を!」


「分かっておる」


地下通路への入り口は幾つか有り、この議会室にも備わっていた。


宰相とグルジット伯爵で本棚をずらすと、鉄製の扉が現れた。

この扉は登録した者だけが開けられる仕組みになっており、国王の他は三人の王子だけである。


国王は扉に近付き、右手を添え魔力を流し込んだ。


『ガチャ!』


鍵の開く音がし扉を押すと、そこには階段があった。

中は真っ暗だが、壁には携帯用の照明魔道具が五つ掛けてある。


グルジット伯爵は一月程前、第三王子と共に地下通路の安全と機能を確認していた。

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