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第十話 危機感知と未来視の影響

《危機感知》スキルが反応した翌朝。


「二人共、ごめんな」


「また今度、連れて来てね」


「うん。約束だ」


「パパ、僕も」


「ああ、レコルも一緒だ」


僕達家族は、海辺の保養所を予定より早く引き上げた。



その帰りの途中フロリダ村の店に寄り、従業員達に警戒を促した。


「そういう訳で、昨日から《危機感知》スキルが相当ヤバイレベルで働きっぱなしなんだ。君達も警戒してくれ」


「「「はい!」」」


「それとエシャット村の人を見掛けたら、教えてやってくれないか?」


「「「分かりました!」」」


「でも、危険って何なんですかね?」


「バーカ。それをニコルさんが、分からないって言ってんだろ!」


「それはそうだけどさ、気になるでしょ!」


「お前達、言い争いは止めろ!」


「「はーい」」


この後ミーリア達を店に待たせ、僕は役場へ足を運んだ。



「ニコル、昨日振りだな。早速パエリアの調理方法を、伝授しに来たのか?」


「いいえ。それは、次の機会でお願いします」


「では、どうしたのだ?」


「はっきりとは分かりませんが、危険が迫ってるかもしれません」


「何だそれは。何処からの情報だ?」


「いえ。僕の《危機感知》スキルが、昨日からざわついてるんです」


「ニコルの《危機感知》スキルだと?」


「ええ。思い過ごしならいいのですが、こんな事は初めてで」


「ニコルのそのスキルがどれ程のものか分からんが、一応気には止めておく」


「お願いします」


リートガルド様は今までの長い付き合いから、一応聞き入れてくれた。



家族を迎えに行きエシャット村へ帰ると、父さんにも同様に説明した。


「《魔王襲来》以来の危機を、感じてるだと!」


「そうなんだ。だけど、昨日から何も起こる気配がないんだ」


「それが勘違いじゃないとしたら、この先起こるのかもな」


「僕もそう思う。念の為、村に《結界》を張らせて欲しい」


「ニコルがそこまで言うなら、やってくれ」


「ありがとう」


父さんは村人を集め、説明してくれた。

村人達も『ニコルが言うなら』と言って、素直に同意してくれた。


僕はこの後、エシャット村を覆う《結界》を張った。


◇◇


その頃、王太子の三人目の妻となったユミナは、《未来視》スキルである出来事を視て不安に駆られていた。


その出来事とは、ガーランド帝国から魔人と化した勇者達がやって来て、王城を急襲するというものだった。


『このままでは陛下や殿下や貴族達は殺され、私達女は・・・・・』


王族の女性は彼らの《慰み者》にされ、子供達は幽閉され人質に取られる。


『彼らには、武力では敵わない。どうすればいいの?』


ユミナは能力を明かしておらず、どう警告すればいいか悩んでいた。



『トン!、トン!』


「はい」


「私だ!」


「お父様、どうぞ入って下さい」


「失礼する」


『パタン!』


「久し振りだな」


「ええ。忙しいところ、お呼び出ししてすみません」


「それはいい。顔色が優れない様だが、大丈夫か?」


「はい」


「ユミナ様。休まれた方が、いいです!」


「アンナ。席を外して貰っていい?」


「えっ!」


「私からも、頼む」


「・・・・・そうですか。分かりました」


侍女は只ならぬ雰囲気を察し、部屋を出て行った。



「お父様!」


ユミナは父親へ歩み寄り、その胸に飛び込んだ。


「ユミナ?」


「うっ、うっ!」


ユミナは不安に押し潰されるのを我慢していた為、泣き崩れてしまった。


「一体、どうしたのだ?」


「うっ、うっ!」


「《未来》を視たのだな?」


「はい。今お話ししますので、少し待って下さい」


「ああ」


「***** ******* ***** ******* ******* 防音結界」


ユミナはこれから話す内容の事の重大さに、《防音結界》を張り盗聴を阻んだ。


「ユミナ。その話しとは、《防音結界》が必要な程なのか?」


「はい。これから話す事は、他人に知られると騒ぎになります」


「そうか。ユミナ、聞かせてくれ」


「お父様、心して聞いて下さい。この先、この国に大変な事が起こります」


ユミナは父親であるグルジット伯爵に、《未来視》スキルで視た内容を伝えた。



「そんな事が!!!」


「この王都に、彼等に敵う者は恐らくいません」


ユミナは自分達が陵辱される事までは、伝えなかった。

しかしグルジット伯爵は、『ユミナがただで済む筈が無い』と思っている。


「ユミナ。だとしても、魔人の好き勝手にはさせぬからな!」


「お父様。何か策は、あるのですか?」


「私が、命に代えても守る!」


「そんな!」


「王城を覆う《結界装置》と、地下通路から逃げる準備も整えておく」


「お父様。どうか、命を大切にして下さい!」


「ユミナ。王族や国を守るのが、貴族の使命なんだ!」


「お父様!」


ユミナは『争って殺されるくらいなら、城を捨て避難しては』と言いたかったが、口にできなかった。

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