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第四話 危機感知

子供達は砂浜で、潮干狩りを楽しんでいた。


「パパ見てー。アサリいっぱい捕れたよー!」


「僕も捕れたー!」


「二人共、凄いぞ。お昼ご飯に使うから、ママに持って行ってくれ」


「「はーい!」」


僕はその隙に他の食材を確保しようと、口に《酸素吸入》の魔道具を咥え海へ潜った。



少し沖に行くと、急に深くなっている。

子供の頃から来ているので、その辺の事は熟知していた。


『相変わらず、魚介の宝庫だな』


人の手が入って無い、優良な漁場である。


『《影腕》』


水中で《闇属性魔法》の《影腕》を伸ばし、海底を歩くロブスターを三匹捕まえた。


『楽勝、楽勝!』


捕まえたロブスターは、直ぐに網の袋に入れた。

すると、目の前に真鯛を発見した。


『《影銛》』


『プスッ!』


影腕の先端を銛に変え、瞬時に突き刺した。


『やったぞ! 大物を捕まえた』


七十センチ越えの真鯛を、手に握り締めた。


その後イカを捕まえ、浜に戻る途中蛤を拾った。



保養所の建物に戻ると、子供達が三人で遊んでいた。


「わー、パパすごーい!」


「いつ、捕まえたの?!」


「今だよ。魔法で、チョチョイのチョイって感じだ」


「「うわー!」」


二人は興奮しながら、僕の後をついて来た。


「シロン。エミリアの面倒を頼む」


「ニャー!」


シロンにエミリアを任せ、僕達はキッチンに向かった。



「ミーリア。これも料理に使ってくれ」


キッチンのテーブルに、捕まえた魚介類を置いた。


「ありがとう、ニコルちゃん」


「サーも、料理手伝うー!」


「僕もー!」


「あら二人共、ありがとね。それじゃニコルちゃん、料理の間エミリアの面倒を見てて貰っていい?」


「ああ、構わないよ」


魔法で体を綺麗にし、僕はエミリアの所へ向かった。



「バーブー!」


『ポーン。ポム、ポム、ポム!』


「モキュ!」


『コロコロコロコロー!』


「ニャー!」


「キャハハッ!」


エミリアが、ポムを投げて遊んでいた。

シロンがそれを、転がして拾ってくれている。


僕はエミリアを抱きかかえ、頬擦りをした。


「エミリアたーん、可愛いでちゅねー!」


「キャハハッ!」


三人の子供達は、贔屓目抜きでみんな可愛らしかった。



エミリアを抱きかかえたまま、厩舎へシャルロッテとケイコに食事を与えに行った。


「ウマ、ウマー!」


エミリアが、シャルロッテを見て手を伸ばした。

どうやら、シャルロッテに乗りたいらしい。


要望に答え、シャルロッテの背にエミリアを乗せてやる。


「キャハハッ! ウマ、ウマ!」


エミリアは、シャルロッテの鬣を握り締めはしゃいだ。

シャルロッテは、僕以外にも顔見知りの子供なら乗せてくれる様になった。


「エミリア、落ちるなよ」


と言いつつ《影腕》でサポートし、食事の用意を始めた。



「おーい、ニコルー!」


食事の用意が終わったタイミングで、遠くから僕を呼ぶ声がした。

シャルロッテの背からエミリアを抱きかかえ、声のする方へ歩いた。


「何でリートガルド様が、ここにいるんですか?」


「何でとは、とんだ言い草だな。建設中の施設の視察だ!」


「サボリの間違いじゃないですか?」


「なっ、何を言う。ちゃんと仕事をしているぞ!」


「本当ですかー?」


「馬鹿にしおって。ところで、いい匂いだな?」


「もうすぐ、お昼ですからね」


「そう言えば、腹が減ったなー!」


『チラッ!』


「何か、わざとらしいですね?」


「べっ、別に、たかりに来た訳じゃないんだからな!」


何故か、慌てている。


「分かりました。上がって下さい」


門を開き、リートガルド様を食事に招待した。



「いやー、美味いな! これは、何て言う料理だ?」


「パエリアです。主人から、教わったんですよ」


「そうか、パエリアか。魚介が使われていて、この土地にピッタリだ。フロリダ村でも、広めたいな」


「それはいいですけど、米が手に入り難いですよ」


「エシャット村では、作らんのか?」


「作りませんよ。エシャット村は、小麦が生産のメインですから」


「だったら、フロリダ村で作るか!」


「私は、手を貸しませんよ」


「何も言ってないのに、お前は冷たいな」


「リートガルド様は、直ぐ私を頼りますから。米作りなら、専門家に頼むべきです」


「くっ、言われてしまった」


「おじさん、残念だね」


「残念」


「バーブー!」


リートガルド様は、子供達に宥められた。


料理はパエリアの他にも、真鯛のムニエルとアサリバターとサラダとスープが並んだ。



リートガルド様が進めていたトンネルの準備は既に整い、一般にも通行が開始された。


照明には、ダンジョン内を照らす《輝石》が使われた。

しかしダンジョンの外では半月程で輝きを失うので、頻繁に交換が必要だった。


今は《馬糞》の清掃と共に、人海戦術で対応している。


その一方で、漁業の施設と塩の生産施設の建設も着々と進んだ。

船は既に二艘売れ、先行して漁業を始めている。


「リートガルド様、本当に視察だったのかな?」


「忙しいんですもの。たまには息抜きも必要よ」


「そうだな。追及するのは、止そう」


「バーブー!」


「エミリアも、『そうだ』って言ってるわよ」


「はははっ!」


そんな時だった。


「んっ?!!!!!」


《魔王襲来》以来の、強力な《危機関知》スキルが働いた。

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