表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第七章 魔王襲来編
257/401

第四十一話 再調査

僕は失神したコロネ子爵に近付き、《悪事矯正リング》に魔力を通し念じた。


『使用準備。拡大』


そして、大きくなったリングを右足首に通し再び念じた。


『縮小。動作開始』


リングは足首のサイズに縮まり、動作が開始された。



「ヤマトよ。それは、ガーランド帝国の勇者達に使った物か?」


息を飲んで見ていた群衆の中から、国王が話し掛けてきた。


「よく知っているな。これは悪事を思考するだけで、体に激痛が走る魔道具だ」


『ゴクリ!』


どこからか、唾を飲み込む音が聞こえてきた。


「諜報部から報告があった。そのリングのせいで、勇者達が戦争で使い物にならなくなったと」


「そうか」


「その結果、戦争が起こらずに済んだ」


「良かったな」


「《魔王襲来》の事といい、多くの国民の命を救われた。改めて、礼を言う」


「ああ」


「お主には、褒美を授けたいのだが」


「褒美は不要だ。そんな事より、陛下はリートガルド伯爵が《反逆》を起こすと思っているのか?」


「いいや。我もリートガルドが、あの様な事を企てるとは、今でも信じられん」


「そう思うのなら、コロネ子爵から真実を聞き出し、リートガルド伯爵を元の地位に戻せ」


「なっ、なりませぬぞ陛下! 法廷で、既に審判が下っております」


そこにまたもや、宰相が割って入った。



「リートガルド伯爵がいなくなって、いったい誰が得をした? コロネ子爵が領主代行に抜擢されるなんて、不自然だとは思わないか?」


「うむ。それもそうだ」


「それに、落ちぶれた奴一人では成し得なかった筈だ」


「裏で糸を引く者がいると、言うのだな?」


「俺は少なくとも、そう思っている。増税も、そいつに献上する為だと」


台詞の後半、僕は宰相の方を振り向いた。


「陛下! 戯れ言を、真に受けてはなりません」


すると、宰相は必至に僕の言葉を否定した。



「そう言えば、《勇者勇也》がこんな事を言っていた」


「勇也を、知っておるのか?」


「ああ。『宰相に金銭的援助を打ち切られ、信用ならないから国を出た』と、言っていたぞ」


「なっ!」


「本当なのか?!」


「いいえ。決して、その様な事はございません」


「ある商人が、こんな事も言っていた。『《ガラス鏡》を王家に献上するよう宰相に強要され、断ったら牢獄に入れられた』と」


「誠なのか?! あれは、《二億マネー》の予算が出ていた筈」


「いっ、いいえ。出鱈目です」


その言葉を聞いて、国王は考え始めた。



「決めたぞ! リートガルドの件に関して、再調査を行う!」


「へっ、陛下!」


「ラビネット宰相は、調査に一切関わるな!」


「何故、その様な事を」


「分からぬのか? ヤマトは、お主が怪しいと言っておる。疚しさが無いのであれば、堂々としておれ!」


「はっ、はい!」


「ジークフリート。お主がこの件の指揮をとれ。そして、直接我に報告しろ!」


「ハッ!」


どうやら国王は、僕の言葉を信じてくれた様だ。


しかし、完全に鵜呑みにする訳にもいかず、公平に調査という形をとったのだろう。



「ヤマトよ、これで良いか?」


「ああ、充分だ。結果が出るまで、リートガルド伯爵は俺が預かっておく」


「分かった。ところで、兵士が襲った村と牢獄に入れられた商人はどうなった?」


「ああ。それなら、どちらも自力で解決している」


「何っ! そんな事が可能なのか?」


「調査をすれば、その理由が分かるかもしれんな」


「全ては明かさぬのだな?」


「そんなところだ」


「次来るのを、待っておるぞ」


「ああ。邪魔したな」


『スッ!』


僕は国王にそう告げると、《無詠唱》で《転移》した。



転移先は、プラーク街の別荘である。


リビングにはリートガルド伯爵と長男のミカエルと次男のイアン、そしてハッサンがいた。


「帰ったぞ」


「「「「ヤマト!」」」」


「国王に会ってきた」


「おお。丁度その事で、話しをしていた」


「で、どうだった?」


「コロネ子爵と宰相の過去の悪事を言い含め、伯爵を嵌めたんじゃないかと説明した」


「陛下の反応は、どうだった?」


「ジークフリートを指揮官に任命し、再調査する事になった」


「近衛騎士団のジークフリート団長か。それは良かった。彼なら公平に、判断してくれるだろう」


「そういう事だから、暫く待つ事になる」


「ああ、構わない。感謝する」


「それとコロネ子爵なんだが、領都の屋敷から連れ出し国王へ引き渡した」


「おお、そうか」


「父上。私だけでも、領都に戻った方がよろしいのでは?」


「まだ、判決が覆った分けではない。我慢するんだ」


「そうですか」


ミカエルの気持ちも分かるが、伯爵の言う事は最もである。



「他の者達は、どうした?」


「みんなで、料理を作っている」


「そうか。そう言えばハッサンがいる事だし、街を案内してもいいな」


「それはいいが、ここは何処なんだ?」


「ダンジョンの街、プラークだ」


「プラーク街なら、良く知ってるぞ」


「それなら食料等の調達は、自分達でやってくれると助かるんだが?」


「分かった。ハッサン、頼んだぞ」


「はい!」


ハッサンに簡単な地図を書いて渡し、雑用は彼に任せる事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ