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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第七章 魔王襲来編
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第三十五話 リートガルド伯爵、反逆罪

2021/05/27 コロネ子爵の嫡男の名前を、修正しました。

リートガルドは急いで屋敷へ戻り、伝達者から話しを聞いた。


「理由は分かりませんが、領主様は《反逆罪》の容疑を掛けられました。伯爵家の方々は、王国兵士によって屋敷に監禁されてます」


「馬鹿な。《反逆罪》だと!」


「はい。確かに」


「この事は、領都の母上や兄上達も知っているのか?!」


「はい。王都から共に出た者が、報告に向かいました」


「イアン様。もしやこの一件、コロネ子爵の仕業では?」


「くっ! だとしたら、私への当て付けか?! だがどうやって・・・・・」


「コロネ子爵は、裏の方で宰相様と繋がりがあります」


「宰相の力を持ってすれば、父上を陥れる事も可能か!」


宰相は国王の最側近という事もあり、貴族達への影響は大きかった。



「イアン様、どうなさいます?」


「王都へ行く!」


「では、私めもお伴します」


「ハイネス。お前は残って、村長代行を努めてくれ!」


「しかし」


「大丈夫だ!」


「分かりました。フロリダ村の事は、お任せ下さい」


ハイネスはついて行きたかったが、主の言葉に従った。



今の話しを、僕は隠れて聞いていた。


「コロネ子爵が絡んでいるとしたら、僕にも関係あるな」


なにせ僕がコロネ子爵と揉めていたところを、リートガルド様が追放したのだ。


「だけど、貴族絡みの厄介事に首を突っ込と、碌な事にならない気がする」


村人の僕が貴族の権力闘争を、《話し合い》で解決するなんて到底不可能である。


「国王様の前で、力ずくでコロネ子爵に白状させるか?」


そんな事をすれば、王族や貴族の目が僕に向けられてしまう。


「変装すれば、いけるかも? でも、まだ容疑って言ってたな」


もしかして、貴族の仲間が容疑を晴らしてくれるかもしれない。

僕は悩んだ挙げ句、静観する事にした。


そして、リートガルド様は兵士五人を引き連れ、その日の内にフロリダ村を発った。



その頃王都の屋敷では、リートガルド伯爵と第二婦人と学園に通う娘が監禁されていた。


「すまない。私に、力が無いばかりに」


「貴方のせいじゃありません。私達は、計略に嵌められたのです!」


「そうです。お父様がダンジョンの既得権を、王国から奪おうとしてるなんて言い掛かりです!」


「イアンがコロネ子爵を追放したのだって、きっと理由あっての事!」


「それを陛下に信じて貰えないのは、やはり私のせいだ」


「貴方!」


「お父様!」


リートガルド伯爵は、屋敷で裁判の日を待つだけだった。



数日後、僕はカイゼル様の元を訪れた。


「こんにちわ」


「ニコルなのじゃ」


「おー、来たか。待っておったぞ」


ケーキとインスタントコーヒーを手土産に、定期的に来て世間話をしている。


今回は、フロリダ村の出来事について語った。



「そんな奴、妾が豚に変えてやるのじゃ!」


「ゼルリルよ。人間社会に、手出しは無用と言ったろう。人間の問題は、人間が解決すべきだ」


「しかし、パパ上。原因は、妾にもちょびっとあるのじゃ。それに、ニコルが困っておる」


「それは、我も分かっている。しかし魔王が表にでれば、騒動になる」


「ゼルリル様、大丈夫です。今回は、近況報告をしたまでですから」


「それなら、いいのじゃ。だが、困った事があれば、妾に言うのじゃ」


「はい。ありがとうございます」


ゼルリル様が出ていって、リートガルド伯爵家が魔王と繋がりがあると思われたら逆効果である。


ここは、大人しくして貰った方がいい。



イアン・リートガルドがフロリダ村を発ってから三ヶ月が過ぎ、三月下旬になっていた。

しかし、一向に帰ってくる様子はなかった。


「ここが、フロリダ村か。父上の言う通り、随分と辺境だ」


そう言葉を発したのは、アルフォード・コロネだった。

彼は屋敷に閉じ込められたせいで学園を留年し、昨年の十二月に一年遅れで卒業していた。


そんな彼が、執事とメイドと護衛を引き連れやって来たのである。


「とっとと用事を済ませ、ゆっくりするぞ」


「はい。アルフォード様」


アルフォードは、ある用事を済ませに役場へ向かった。



村長代行を務めるハイネスは、アルフォードの突然の登場に困惑していた。


「追放されたコロネ子爵の御子息が、なぜこの村にいらっしゃった?」


「つい先日、この村の村長を任されたのでな」


「何を言っておられる。村長は、イアン・リートガルド様ですぞ!」


「何だ知らんのか? リートガルド伯爵は裁判で《反逆罪》が下り、家族諸とも投獄されたぞ」


コロネ子爵の様々な捏造証拠と根回しと宰相の協力により、リートガルド伯爵は有罪となってしまった。


「そんな馬鹿な!」


「領地は《王家の直轄領》となり、私の父コロネ子爵が《領主代行》を命じられた」


「そんなの嘘だ!」


「ふっ、本当だ。国王陛下からの任命証を持参し、領都の屋敷は既に父が居を構えている。疑うなら、確認に行けばよい」


「くっ! 伯爵家の方達は、どうされた?」


「捉えて、王都に送ったぞ」


「そんなっ!」


「一応見せとくが、これが村長に任ぜられた書状だ」


「・・・・・」


その内容は、正式なものだった。


「ハイネスと言ったか? お前は私に従うか、この村を出て行くか選べ」


「くっ!」


ハイネスは考えるまでもなく、村を出る事を決めた。


しかし、兵士や開拓に訪れた者達は、ハイネスの説得によりフロリダ村に残る事となった。

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