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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第二章 王都行商編
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第十三話 勇者パーティーに加わる条件

今日は、勇也さんと会う約束の日だ。


憂鬱だが、昼前に待ち合わせ場所の喫茶店に足を運んだ。

店の前に行くと、勇也さんは既に来ていた。

こっちに気が付き、お互い手を上げ挨拶を交わす。


「お待たせしました」


「いや、そんなに待ってないよ。じゃあご飯でも食べながら話をしようか?」


「そうですね」


そして、僕のお気に入りの食事処に連れられ個室に入った。


「俺が奢るから、お勧めのでいいかな?」


「ありがとうございます。お任せします」


そう言って、特上のうな重を二つ頼んだ。そして、待っている間に話は進んだ。


「この間の件、答えを聞かせて貰いたい。それとも、食事が終わってからの方がいいか?」


「いえ、大丈夫です」



僕は話を続けた。


「正直言って、断りたいです。ですが召還された勇也さんが、この国の為に命を掛けようとしています」


「そして、この国には僕の家族もいます。決して魔王なんかに殺させる訳にはいきません」


「だから、勇也さんが僕を必要とするなら、協力しようと思います」



「ありがとう。ニコル」


「でも、条件があります」


「条件?」


「はい。僕には小さい頃から故郷の村の暮らしを良くするという目標があります。その為に二ヶ月前に行商人になりました」


「ニコルも若いのに、村の為に頑張ってるんだな」


「二日前に運良く大口の卸し先ができたばかりで、このまま行商も続けたいんです」


「行商か。両立できそうなのか?」


「《勇者パーティー》と行動を共にするのが、《ダンジョン攻略》と《魔王討伐》に限定すれば可能だと思います」


「《転移魔法》か?」


「はい。《転移魔法》を使えば、何とかなると思います」


「二足のわらじじゃないけど、大変そうだな」


「頑張ります」


「そうか分かった。ニコルが《ダンジョン攻略》に加わってくれれば、俺達のレベル上げが加速するしな」


「ありがとうございます」


「ところで、正式に《勇者パーティーメンバー》の申請を国にしたいんだが、王城へ一緒に行ってくれないか?」


「王城ですか?」


「ああ、《魔王討伐》の報酬に爵位と五億マネーが貰えるんだ」


何か凄い話になった。テンプレだと王族や貴族に関ると、碌な事にならない。


「貴族に興味は無いです。五億マネーは魅力的ですが、王侯貴族と関係を持つのも遠慮します。《魔王討伐》の報酬は要りません」


「えっ、要らないのか? そんなに貴族が嫌なのか?」


「嫌というか僕は只の村人ですし、接点もありません。という訳で、そういう場には一切行きません。これも条件に付け加えます」


「まあ、ニコルがそう言うなら仕方ない」


そこで特上のうな重が運ばれてきた。この話は一旦終わりにし食事を始める。


「これ美味しいですね」


「そうだろう。俺がこの店のメニューに一役買ってるんだ。まあ俺の発案だな」


やっぱり、勇也さんがやらかしていたらしい。


「凄いですね勇也さん。料理が得意なんですね」


「まあな。この店には、俺の故郷の料理がたくさんある。スキルを使って再現したのさ」


「へー、すごいですね」


もしかして、一年もこの世界にいてレベルが低いのは、このせいなんじゃないか?

そしてご飯を食べ終わり、話を切り出す。


「それで、具体的にパーティーとの合流はいつにしますか?」


「すぐに来てくれると助かるんだがニコルにも都合がある事だし、俺達の《ダンジョン攻略》の後にしようか?」


「いいですよ」


「貴族連中がな『勇者パーティーが、ダンジョンも攻略できずに魔王を倒せるのか』と、言うもんだからな。意地でも攻略したいんだ」


「僕は借家の期限がまだ一ヶ月近く残ってるので、王都で露店でも開いてますよ」


「ああ、そうしてくれ」


「そうだ、パーティーメンバーと顔合わせだけでもしましょうか?」


「いいのか?」


「ええ、勇也さんの《空間転移》スキルで、僕をみなさんのところまで連れて行ってくれませんか? どんなところか興味ありますし」


「ああ、助かる。それじゃ、店を出たら早速行こうか?」


「はい」


そうして勇也さんが会計を済ませ、店の外でダンジョンの近くへ転移した。

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