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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第七章 魔王襲来編
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第三十二話 ニコルへ出店の打診

一週間後、役場と屋敷を合わせ、二十箇所の《ガラス窓》の取り付け終えた。


「この大きさで、この平面度と透明度。それに、この枠の仕組み。素晴らしいな」


「強度も増してあるので、滅多な事では割れません」


「強度までもか、素晴らしい!」


「窓枠には、軽くて錆にくい《アルミニウム》という素材を使用してます」


「初めて聞く名だな?」


「僕が開発したので、名前も僕が付けました」


「ニコルの開発だと! 作り方を教えてくれ?!」


「企業秘密です。それに材料があっても、僕の錬金術でしか作れませんよ」


「くっ、残念」


実際に作るとなると製錬に多くの電気を必要とするので、この世界には出回っていない金属だった。



「ところで、ニコルよ」


「はい」


「ガラス窓の店を、出さないか?」


「えっ!」


「この地は辺境な為か、折角のダンジョンも集客がイマイチだ。人を呼ぶには、もう一つ目玉が欲しい」


「それが、ガラス窓ですか?」


「村に商人が買い付けに来れば、物流も良くなるしダンジョンの噂も広がる」


「そういう理由でしたら、ダンジョンの食材を流通させればでいいのでは?」


「他領の者は、ここより近いプラーク街のダンジョンに行ってしまう。今のところ訪れるのは、領内の者だけだ」


「そう言われましても、私は孤児の面倒を見てるので手が回りません」


「それなら、移住者を雇えばいい。私が責任を持って、紹介するぞ!」


「うーん。それなら、何とかなるかもしれませんね。少し考えさせて下さい」


僕は報酬の土地を、直ぐにどうこうするつもりはなかった。

しかし、販売を任せられるのなら、良い話しの様な気がした。


この後、大通りに《二百平米》程の土地を、報酬として貰った。



「ただいま」


「お帰りニャ」


「モキュ!」


「仲良くしてたか?」


「シロンとポムは、仲良しニャ」


シロンは目の前にいるポムを、前足で転がした。


「モキュ、モキュー!」


ポムは、それを喜んでいた。


「怪我させるなよ」


「ちゃんと、手加減してるニャ」


「モキュ!」


二匹は、思った以上に波長が合う様だ。



「ご主人。今日で仕事は、終わったのかニャ?」


「ああ、終わったぞ。土地も貰った」


「一段落ついたニャ」


「モキュ!」


「だけど、また頼み事をされた」


「いい様に、利用されてるニャ」


「利害が一致していれば、有りなんじゃないかな」


「それで、今度は何を頼まれたニャ?」


僕はシロンに、先程の話しを聞かせた。


「リートガルドは理由をつけて、ご主人を手元に置いときたいニャ」


「それは僕も感じてる。でもリートガルド様は、悪い人じゃなさそうだ」


「それなら、ご主人の好きにすればいいニャ」


「モキュ!」


「そうするよ」



夕食後、店を出すか検討した。


「あんな辺境に、ガラス窓を買いに来るだろうか?」


高額なので、本当なら王都の貴族街で売りたかった。


「売れない商品を店頭に並べて、従業員を遊ばせる訳にいかないぞ」


給料を払うからには、利益を上げる必要があった。


「他にも、商品があった方がいいな」


僕は《亜空間収納》の中から、フロリダ村でも売れる商品を検討した。



「ダンジョンの村だけに、武器・防具・魔法回復薬なら高額で売れそうなんだけどなー」


しかし、僕はそれらの《販売資格》を、持っていなかった。

それに、フロリダ村には既に専門職がいた。


「村人相手だと、高額な物を売るのは難しいぞ」


それから考えた末、売れ筋商品は《日用雑貨》くらいしか思い付かなかった。


「良い品を安売りするのは、《エシャット村だけ》にしたいなー」


だからと言って品質を落とした低価格商品では、《薄利》にしかならなかった。

僕はこの時、開拓村で商売する難しさを感じていた。


「日用雑貨では利益を求めず、ガラス窓を買う客を待つしかないのか?」


リートガルド様に言われるまま、賭けの様な出店をするか改めて考えた。


「あー、駄目だ。どうしても、採算が合わない」


結局この日は、答えが出なかった。



二日後の午後、リートガルド様のところへ訪問した。


「どうだ。ガラス窓の店を、出す気になったか?!」


「私なりに考えたんですけど、お客が来る気しないんですよね」


「いや、大丈夫だ。絶対、貴族や金持ちが飛び付く!」


「それじゃこの数日間、役場や屋敷のガラス窓について問い合わせはありました?」


「珍しがって見物する者はいたが、購入したいという者はいないな。第一、まだ噂はそれ程広まっていまい」


「僕はそんな不確実なものに、店を建てて従業員を雇えませんよ」


「ニコルー。そんな事、言わんでくれー!」


「それなら、こうしませんか?」


「どうするのだ?」


「従業員は雇えませんが、店のスペースを無償で貸す代わりに、受注予約をして貰えるなら考えます」


「何っ、本当か!」


「ええ。店に見本品を置き、販売は僕が来た時にします」


「盗人対策か?」


「はい。世の中信じられる人だけだと、いいんですけどね」


「そうだな」


リートガルド様は僕の案を受け入れ、借主を探してくれるそうだ。


僕は早速、翌日から店の建築に取り掛かった。

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