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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第七章 魔王襲来編
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第三十一話 リートガルド様からの呼び出し

僕はリートガルド様に呼ばれ、執務室を訪れた。


『トン!、トン!』


「入れ!」


「失礼します」


「おお、ニコル。来たか」


「はい。今日のご用件は、何でしょう?」


「先日鍛冶工房の準備が整ったのだが、材料の工面が大変でな。もしやと思い、ニコルを呼んだのだ」


「具体的に、何が必要ですか?」


「鉄鉱石があれば製錬するのだが、インゴットがあれば手間が省ける」


「インゴットなら、ありますよ」


「やはり、持っていたか。錬金術で、作ったのだな?」


「そうですけど、言い触らさないで貰えます?」


「分かっている。その代わり、まけてくれ」


「開拓中だから割引に応じますけど、頃合いを見て正規の値段にしますよ」


僕が安値で売るのは、基本的にエシャット村だけである。



「同じ領民を助けると思って、永続的にはならんのか?」


「私が能力を隠す理由の一つは、当てにされ過ぎるのが嫌だからです!」


リートガルドはその言葉に、『これ以上無理を言ったら、縁を切るぞ!』という意思を感じた。


「そっ、そうか。それじゃその時が来たら、要相談という事で頼む」


「分かりました」


僕は魔法袋から鉄と鋼のインゴットを取り出し、テーブルの上に置いた。


「私はインゴットの目利きはできんから、鍛冶師を呼ぶ。少し待ってくれ」


「はい」


僕は執務室で、鍛冶師を待つ事になった。



『トン!、トン!』


「入れ!」


「イアン様。インゴットが、手に入ったんだってな」


「ああ。行商人のニコルが、工面できるそうだ」


「おー、イケメンのあんちゃんか。助かるぜ。インゴットって、これだな。早速、見せて貰おう」


「どうぞ」


執務室に来て早々、鍛冶師はインゴットの品定めを始めた。


品質はどちらも《普通》といったところで、《玉鋼》のような《極上品》とは違った。



「どちらも、思った以上に良い」


「領都で仕入れるとしたら、いくらの値をつける?」


「鉄は十キロ五万マネー。鋼は十キロ十三万マネーってところだな」


鍛冶師のつけた金額は、《鑑定》能力で確認した金額とそれ程差異は無かった。


「ニコル。半額でどうだ?」


「それは、ボッタクリ過ぎです。採掘場って、罪人がいく重労働な現場なんですよね?」


「むっ、良く知っているな。それじゃ、六掛けだ!」


「いいえ。八掛けです!」


「七掛けでいいだろ!」


「まあ、そんなところでいいでしょう」


割引きを約束したが、言いなりになるつもりはなかった。

《ダニエル商会》という収入源が無くなり、僕も稼ぐ必要があったのだ。


インゴットは、取り敢えず十本ずつ買ってくれる事になった。



「あんちゃん。魔物の素材は、持ってねーよな?」


「ありますよ」


「何っ! あるのか?!」


「オーガ・ウォーベア・スノーウルフ・ブルドボア・ミノタウロスなんかで良ければ」


「それだけあれば、上等だ。どうやって、手に入れた?」


「えーと、倒しました」


「あんちゃんは、なかなかのパーティーにいたんだな?」


「ええ、まあ」


エミリやユミナとパーティーを組んでいたので、あながち嘘ではない。


魔法袋から魔物素材を取り出し、こちらは《ダン防》の買取り値で売る事になった。


代金は村の財政から立て替えて貰い、収益が上がったら返すそうだ。



鍛冶師は弟子達に材料を運ばせ帰ったが、僕は帰れなかった。


「ニコルよ」


「何ですか?」


「エシャット村の家屋には、ガラス窓がふんだんに使われていたな。あれも、錬金術か?」


「そうですね」


「人を集める為の話題作りに、フロリダ村でも普及させたいのだが」


「適正な価格で買っていただけるのでしたら、いいですよ」


「あの大きな板ガラスの相場は、かなり高額な筈」


この国では、ガラス自体高価である。

しかも、加工する技術が発達してないので、板ガラスは更に高かった。


「そうですね」


「まけては、くれんのか?」


「インゴットは《必需品》だから安く提供しましたけど、窓ガラスは《贅沢品》ですからね」


「そこを何とか!」


「リートガルド様。私が能力を隠す理由、もう忘れたのですか?」


「いや、忘れてはない!」


「ガラス窓にお金を掛けるなら、他に掛けた方がいいですよ」


「ぐっ、痛い所を突く。それなら、せめてこの役場だけでも」


「役場だけでも全部変えるとなると、結構な金額になります」


「そうだ。金の代わりに土地をやる。将来、ニコルが店を出せるように」


「土地ですか?」


真意は分からないが、こうなる様に誘導された様な気がする。


「どうだ?」


「そうですね。いいですよ」


怪しさを感じながらも悪い話しではないと思い、リートガルド様の交渉に応じた。


「それでしたら、屋敷もやっていただいたら良いのでは?」


「おお、そうだ! どうだ、ニコル?」


「分かりました」


執事さんの助言により、リートガルド様の屋敷も追加された。

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