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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第七章 魔王襲来編
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第三十話 コロネ子爵、追放

筆頭執事は、僕を執拗に捕まえようとした。


「ハア、ハア、ハア、ハア・・・・・」


しかし僕は、体捌きだけでそれをかわし続けた。

そんな二人の動きが、膠着した時だった。


『ボアーーーーーーーーーー!』


コロネ子爵がこっそりと《火属性魔法》の《火炎放射》を唱え、それを僕に向けて放った。


だが僕は、魔法を唱える際の魔力を感知していた。


「魔法盾」


『ボボボボボボ・・・・・!』


僕は全身を覆い隠す大きさの《魔法盾》で、それを防いだ。


「グヌヌッ。無詠唱の《魔法盾》だと!」


コロネ子爵の放った魔法は、普通の人が喰らっていれば死ぬ威力だった。

要するに、僕を殺す気で放ったのだ。



『『『『タッ、タッ、タッ、タッ、タッ!』』』』


「上空に炎が上がるのを見ました。何があったのですか?」


この騒ぎに、王国兵士達が駆け付けた。


「丁度いい。お前ら、こいつを捕まえろ!」


「この若者が、何かしたのですか?」


「理由など、お前らが知る必要は無い! 従わんと、懲罰だ!」


「「「「分かりました!」」」」


兵士達はコロネ子爵に脅され、その命令に従った。



「「「「「ハア、ハア、ハア、ハア・・・・・」」」」」


「何なんだ、こいつ?」


「五人掛かりで、触る事もできない!」


「只の行商人では、なかったのか?!」


それでも僕は、体捌きだけで彼らをかわした。


『『『『『タッ、タッ、タッ、タッ、タッ!』』』』』


「何をしてる?!」


そして遂には、リートガルド様が兵士を引き連れてやって来た。



「くっ! 愚図共が」


コロネ子爵が、執事や兵士達を小さな声で罵った。


「ニコル。これはどういう事だ?!」


「それがフロリダ村への食料販売を止めろと言われ、断ったら襲われました」


「何っ! コロネ子爵、説明して貰おうか?!」


「戯言だ。口の利き方の分からぬ無礼者を、捕らえていただけだ」


「ニコルが、何を言ったというのだ?!」


「説明する必要はない」


「貴族とて、この村でこんな事通用すると思うな!」


「イアン殿。その口のきき方、不敬だぞ。この間、言った筈だ!」


「私も言った。勝手な事は、私も父も黙ってはいない!」


「黙ってはいないか。それで、私をどうするというのだ?!」


「貴方には、このリートガルド領から出て行って貰う!」


「王都から派遣された、私をか? それがどういう事か、分かって言っているのか?!」


「知らん。だが、人の領地で好き勝手できると思うな!」


「その決断、後悔しても知らんぞ!」


「望むところだ!」


僕が原因で、大事になってしまった。

この先何が起こるのか、僕は知るよしも無かった。


コロネ子爵は荷物を纏め、一時間後には筆頭執事とフロリダ村を出て行ってしまった。



一方、王国兵士やダンジョンの運営に来た職員達は、全員そのまま残った。


「あんた達は、帰らないのか?」


リートガルド様は、コロネ子爵を見送りに駆け付けた兵士の指揮官に問い掛けた。


「俺達の使命は、ダンジョンの守備と運営だからな」


「それなら、何故エシャット村を襲った?」


「コロネ子爵の指示で、詳細を聞かされてなかった」


「あれは村の女達を、無理矢理連れて行こうとして抵抗されたんだ」


「やはり、そんな事だったか。エシャット村の者には、悪い事をした」


「そう思うなら、ちゃんと謝罪する事だな」


「そうだな。ニコルとやら、真実を知らぬとはいえ、村を襲って悪かった」


「謝罪を受け入れます。村長の父や村の人達にも、伝えておきます」


「頼む」


この後、リートガルド様達は、話し合いを持った。

そして、フロリダ村発展の為に、お互い協力していく事を誓った。


その時に価格設定を、プラーク街のダンジョンに合わせる事になった。

僕はお暇したので、その事を後日知る事となった。


また、フロリダ村からの帰り道、眠らせた手下達の姿は消えていた。

もしかすると、筆頭執事に起こされ、一緒にリートガルド領を出たのかもしれない。



翌日、フロリダ村では、ダンジョン産の食材の流通が復活した。


ドロップ品の内、《魔石》だけ全て買取りとなったが、他はダンジョン探索者の自由となった。


そんな事もあり、リートガルド様からは『食材の購入量を、減らしたい』と、言われてしまった。

それに対し僕は、『開拓にはお金が掛かりますし、いいですよ』と、快く答えた。


その結果、僕が買い取る量が増え、《亜空間収納》の食材がまた増える事になった。



そんなある日、食材を納めに行った時の事である。


「ニコルさん。リートガルド様が、納品が終わったら来るように仰ってました」


「リートガルド様ですか。分かりました」


僕は食材の代金を受け取ると、リートガルド様の執務室に足を運んだ。

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