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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第七章 魔王襲来編
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第二十九話 ニコルの排除

コロネ子爵の手下達は、《悪事矯正リング》の発動条件をつきとめていた。


昨日エシャット村からの帰り道、各々その餌食となったのだ。

そんな事もあり、やっとの思いでフロリダ村に辿り着いた。


そして、エシャット村での失敗と足のリングについて、コロネ子爵に報告した。

その結果手下達は罵られ、リングを外す当ても無いと言われてしまった。


手下達は失望し、『コロネ子爵の元では、これ以上働けない』と、思い至った。

その後手下達は六人で協議し、夜明け前にフロリダ村を旅立つ決心をした。


今は一台の馬車で街道を走り、エシャット村を大分通り過ぎていた。


「俺達また、ダンジョン探索者に戻るのか?」


「悪さはできなくなったし、それしか選択肢がねーからな」


「あんな飯も糞も睡眠も緊張しながらする生活、嫌だね」


「俺もだ」


「これも、コロネ子爵が落ちぶれたせーだ」


「ああ。こんな事なら、早く抜ければ良かったぜ」


「全くだ」


手下達は馬車を走らせ、王都方面へ向かった。



一方のコロネ子爵は、窮地に追いやられていた。


王国兵士から反発を買い、十人いた手下の内六人に逃げられた。

それに加え、ダンジョンの経営も早々に行き詰まっていた。


「何て事だ。ラビネット宰相に頭を下げて、辺境くんだりまで来たというのに」


「早めに、リートガルド様と和解された方がいいのでは?」


「いや、まだだ。その内、奴等は食料が尽きる。多少高くとも、こちらで購入するしかない。それに僅かでも収入を得る為、ダンジョンにも来る筈だ」


筆頭執事のエドモントは、そう都合良くいくか不安だった。



そして、五日が過ぎた。


「何故だ。状況が、変わらんではないか!」


「旦那様。リートガルド様は、エシャット村から食材を購入してる様です」


「馬鹿者! 分かっているのなら、何故手を打たん」


「しかしあの村、不気味じゃありませんか?」


エドモントはエシャット村が数時間で壁や堀を作った事に、只ならぬ能力の高さを感じていた。


「つべこべ言わず、何とかしろ!」


「はっ、はい」


こうしてコロネ子爵はリートガルドと協調する事無く、対立する道を突き進んだ。



僕はリートガルド様の要望で、一日おきにフロリダ村に食材を届ける様になった。


その時間帯は、大体決まっていた。


『ご主人様。前方に、待ち伏せがあります』


「ああ。僕も気付いてる」


『どうしましょう?』


「このまま行ってくれ」


『分かりました』



馬車を進めると、木の陰から四人の男が現れ道を塞いだ。


「止まれー!」


その言葉に、僕は素直に馬車を止めた。


「何ですか?」


「お前、エシャット村の行商人だな?!」


「そうですけど、あなた達は?」


「俺達が何者かは、どうでもいい。だがお前は、金輪際フロリダ村に行くな!」


「そんな事言われても、リートガルド様から頼まれてるので」


「どうやら、痛い目見ねーと分からねーようだな!」


「あなた達こそ、痛い目見ないと諦めてくれそうもないですね」


「「「「何っ!」」」」


「《睡眠》」


『『『『バタン!』』』』


僕は男達を、例の如く眠らせた。



「実はこの間フロリダ村に行った時、コロネ子爵と待ち伏せする算段してたの聞こえたんだよね」


僕は《悪事矯正リング》を男達の足に取り付け、道の端に転がした。


「コロネ子爵の裏家業の実行部隊は、こいつらで終わりだ」


僕はその事を、事前に調べていた。

そして、エシャット村を襲った王国兵士達は、偶々コロネ子爵の指揮下に入っただけだった。


残す手駒は、筆頭執事だけである。


「それじゃ、行こうか」


『はい!』


僕達は再び、フロリダ村へ向かった。



程無くしてフロリダ村に到着し、役場の食品倉庫に食材を納めた。


「なっ! そこの行商人、待つんだ!」


そして、馬車で帰るところを、コロネ子爵の筆頭執事に見付かった。

僕がここへ来た事を、驚いている様だ。


「何でしょう?」


「馬車を降りて、こちらで話しをしよう」


「はあ」


すると僕は、ダンジョン近くに連れて行かれた。



「単刀直入に言う。フロリダ村に、食材を売るのを止めてくれ」


「何故ですか?」


「ダンジョンの食材が、売れんからだ」


「それなら僕だって商売ですし、何よりリートガルド様に頼まれた事なんで」


「それでは、私が困る。言う事を聞くなら、二十万マネー払おう」


「目先の金に釣られて、リートガルド様と関係を悪くしたくないです」


「くっ!」


筆頭執事は、ぐうの音も出なかった。


「エドモントよ。何故まだ、行商人がおるのだ?!」


「旦那様!」


そこへタイミング悪く、コロネ子爵がやって来た。



「行商人。子爵の私が命じる。二度とフロリダ村に来るでない!」


「子爵様もですか? それは、リートガルド様に言っていただかないと」


「貴様。私に逆らう気か?!」


「いえ。そういうつもりは、なくてですね」


「言い訳はいい。エドモント、この行商人を捕まえろ!」


「はい!」


『シュッ!』


『スッ!』


返事をした後の執事の動きは、素早かった。

貴族に仕えているだけあって、武術の面でも腕が立つのだろう。


しかし、僕は体捌きだけでそれをかわした。


「なっ!」


「捕まる気は、ありませんよ」


「大人しく、捕まるんだ!」


その後、暫く執事から逃げ回る事になった。

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