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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第七章 魔王襲来編
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第二十八話 リートガルド様からの事情聴取

コロネ子爵の所へ押し掛けた翌日、リートガルドはハッサンが操車する馬車でエシャット村に向かった。


「リートガルド様、壁が見えてきましたよ」


ハッサンは御者席から、箱馬車の座席にいるリートガルドに声を掛けた。


「どれ」


リートガルドは、前方の窓からハッサン越しに外を眺めた。


「本当に、壁だ!」


「だから、言ったじゃないですか」


「いや、疑った訳ではないのだが、規模が大き過ぎて驚いてる」


「それなら、いいですけど」


「もしやあの壁は、ニコルが作ったのか?」


「さあ、どうでしょう。小屋は一日三軒しか、建ててませんでしたから」


「他の者の仕業か、あるいは能力を隠していたかだな」


「そうですね」


そんな話しをしていると、門の前に到着した。



リートガルドは馬車から降り、壁を眺めた。


「領都の壁より、立派だな」


「そうですね」


「それに、堀と《結界》か」


「はい」


「短期間でこれを作った事に驚かされるが、いったい何を理由に作ったんだ?」


「コロネ子爵側の襲撃と、関係がありそうですね」


「それが妥当だな。理由を聞きたいが、私達を素直に入れてくれるだろうか?」


「こう閉ざしてしまっては、何とも言えませんね」


「よし、ハッサン。声を掛けてみろ」


「はい」


返事をすると、ハッサンは御者席から降り堀の前に立った。



「おーい。誰かおらぬかー? リートガルド様が、参られたぞー!」


「いますよー!」


ハッサンの呼び掛けに、サジが顔を出して応えた。


「私達を、中に入れてくれんかー?!」


「ニコルを呼んで来ますので、待っていて下さーい!」


「分かったー!」


もう一方の見張り塔にスギルを残し、サジが二コルを呼びに行った。


「やはり、ニコルだったのだな」


「そのようですね」


二人は、ニコルが来るのを待った。



僕はサジに呼ばれ門の前に到着すると、扉を開き一部の《結界》を解いて跳ね橋を下ろした。


「お待たせしました」


そして、リートガルド様達を迎え入れ扉を閉め終わると、僕は馬車に乗せられた。


「ニコル。何故、私が来たか分かるか?」


「ええ、何となく」


「そうか。それなら聞くが、村を囲う壁と堀は誰が作った?」


「僕です」


誤魔化すのは無理だと思い、ここは素直に答えた。



「フロリダ村では、能力を隠していたのだな?」


「はい。能力の事はフロリダ村だけでなく、エシャット村の人達にも隠していました」


「どうしてだ?」


「僕一人の力に頼っては、みんなが努力する意力を失うからです」


「その意思を違えてまで、能力を見せたのは何故だ?」


「村を、危機から守る為です」


「危機?」


「《魔王襲来》では、村を覆う《結界》を張りました。今回の壁は、コロネ子爵から守る為です」


「そうか。始めて来た時被害が見当たらない事に違和感を覚えたが、そういう事だったのだな。そして今回は、コロネ子爵が何か仕出かした訳だ」


「はい。詳しくは、父を交えてお話しします」


「そうか」


暫くすると、馬車はスーパーの前に到着した。



僕はリートガルド様を、父さんの部屋へ案内した。


「突然押し掛けて、すまんな」


「いえいえ」


「今回来た理由は、コロネ子爵が王国兵士を使って、村を襲った経緯を確認しに来た」


「はい。その事でしたら、お話し申し上げます」


父さんは畏まったもの言いで、一昨日と昨日あった出来事を語り始めた。


コロネ子爵に知られると不味いので、《ルークの誘拐の件》は事前に伏せる様言ってあった。

また、《悪事矯正リング》の事は、父さんも知らない。


僕は父さんの言葉に、時々補足を加えた。



「コロネ子爵め。領民に手を出すとは、許せん!」


「ニコルがいなければ、村の女は今頃どうなっていた事か」


「コロネ子爵には昔から黒い噂があり、ダンジョンの運営でも困らされている。何とか、排除したいものだ」


「賛成です。私も応援してます」


「口だけの応援か?」


「私は、ただの村人ですから」


「あんな壁を作ってしまう者が言っても、素直に受け取れんな」


「一般人が貴族の方に手を上げてしまえば、大変な事になります」


「もう充分、大変な事になってると思うぞ」


「それは、そうですが」


「ニコルよ。先日も言ったが、私の元で働く気は無いか?」


「すみません。お断りさせていただきます。私には、『エシャット村を良くする』という目標がありますから」


その先に、『のんびり生活』という目標もあるのだが、それは言わない方がいいだろう。


「そうか。また、振られたか。気が変わったら、言ってくれ」


リートガルド様は、ハニカミながら言った。



「ところで、食料の調達は大丈夫なんですか?」


「正直、金銭的に足元を見られ困っている」


「やっぱり」


「それで、エシャット村から食材を購入したいのだが」


「それでしたら、協力させていただきます」


「すまない、ジーン殿。それで、定期的にニコルに運んで貰いたいのだが」


「僕ですか?」


「この壁があってはな。第一ニコルは、商売人なのだろう?」


「分かりました。一日置きに、午後からでいいですか?」


「ああ、構わん」


僕はこんな約束をさせられ、リートガルド様は食材を購入し帰って行った。

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