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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第七章 魔王襲来編
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第二十六話 そうさせるお前達が、悪いんだからな

溺れ掛けた様子を見ていた兵士の指揮官が、コロネ子爵の手下に詰め寄った。


「おい、あんたら。まだ、こんな事やんなきゃいけないのか?」


「他に手は無い。場所を変えて、続けてくれ」


「無駄だ。この囲いは、攻略できない」


「どういう事だ?」


「俺達は、見張られている。トンネルの水は、村の連中の仕業だ」


「何っ!」


「それだけじゃない。俺達は手の内を晒し、既に対策を打たれた」


「まさか?」


「堀に開けた穴。さっきは無かったが、いつの間にか《結界》が張られている」


「何だと!」


男は石を拾い、堀に開けた穴に投げた。


『カツン!』


「石が壁の基礎の手前で、弾かれた」


「この分だと、堀の下も対策されただろう」


「くっ!」


「俺達は、帰らせて貰う」


そう言い、指揮官は踵を返そうとした。



「おい、待て。これは、コロネ子爵の命令だ!」


「そうは言うが、この村の者があんたらに、酷い狼藉を働いたって本当なのか?」


「本当だ」


「どうも信じられんな。いったい何をされた?」


「丁寧に援助協力を申し出たところ、村の奴等が俺達を囲みボコ殴りにし断った。その後意識を失っている内に、有り金や装備を全て奪って村の外に捨てたんだ」


勿論、これは嘘である。


「その挙げ句、こんな壁と堀を作って、《結界》まで張たってのか?」


「そうだ」


「いまいち、納得できん」


「疑うのか?」


「噂で聞いたんだが、フロリダ村の開拓に、この村の者が随分協力したそうだぞ」


「そんなの知るか。やられたのは本当だ!」


「形式上指示に従ったが、俺達王国兵士の使命は、ダンジョンの魔物を地上に出さない事だ。こんな事をしてる間に、非常事態が起きたらどうする?!」


「くっ!」


「人相手の治安の事なら、フロリダ村の兵士に頼るんだな」


コロネ子爵の手下は言い返す事ができず、言葉に詰まった。



指揮官はその様子を見て、踵を返し号令を発した。


「兵士は全員、撤収だ!」


「「「「「「「「「「はいっ!」」」」」」」」」」


兵士達は即座に、馬車に乗り込んだ。


そして、その様子を見ていた手下の仲間が声を掛けた。


「おい。兵士達を帰らせて、いいのか?」


「ああ。奴の言ってる事は、正しい。これ以上やっても、無理だろうよ」


コロネ子爵の手下は兵士達を引き止める手立てが無く、帰るのを見ていた。



またその様子を、食料の調達に来たハッサンが見ていた。


「いったい、何が起こってるんだ?」


そして、エシャット村を囲う壁と、それを攻撃する王国兵士に混乱していた。


「リートガルド様に、報告しないと」


ハッサンは王国兵士が来る前に、フロリダ村に引き返した。



残されたコロネ子爵の手下は、集まって議論を始めた。


「どうするよ?」


「お手上げだ」


「フロリダ村の移民で、手を打つか?」


「馬鹿。リートガルドと揉めるぞ」


「それじゃ、《隣街》へ行くか?」


「仕方ねえ。最悪、《隷属の首輪》を使うぞ。数は幾つある?」


「十だ」


「それだけあれば、取り敢えずいいだろう」


「おい。無断で行ったら、不味いんじゃねーか?」


「誰が、子爵に報告するよ?」


「チッ、俺が行く。その代わり、お前ら抜かるなよ!」


「「「「「任せろ!」」」」」



僕達は、その様子を見ていた。


「兵士達は帰ったが、昨日の奴等何してんだ?」


「女性の調達の、相談をしてる」


「聞こえるのか?」


「ああ。あいつら、エシャット村が攻略できないからって、隣街に行くらしい」


「酷い奴等だぜー」


「見過ごせないな」


「どうするんだ?」


「悪さができない様にする。これからする事は、内緒にしてくれ」


「「えっ!」」


「《睡眠》」


『『『『『『バタッ!』』』』』』


「全員、倒れたんだぜー」


「魔法で、眠らせたのか?」


「そう。そして、これを取り付ける」


そう言いながら、魔法袋から《悪事矯正リング》を取り出した。


一度は王都で使う機会を逃したが、身近な人達を守る為再び使う決意をした。



「何だそれ?」


「悪い事を考えると、痛みが走る魔道具さ」


「何でそんな物、持ってんだ?」


「いつか、役に立つと思ってね」


僕は、少し悪い顔をした。


「こえーな。そんな顔して言うなよ!」


「サジ、何ビビってるんだ?」


「うっせー!」


「ニコル。橋を降ろしてやるんだぜー」


「ああ、頼む」


壁の外に出る為、僕とスギルは見張り棟を下りた。



門の扉を開け《結界》の一部を解除し、スギルに跳ね橋を下ろして貰った。


《結界》は僕も含め、そのままでは通り抜けられない仕様にしてある。

強度と持続性を優先し、複雑な設定にはしてない。


「スギルは門を、見張っててくれ」


「任せろだぜー」


スギルに見送られ、僕は眠っている男達の元へ向かった。



「本当なら、こんな物使いたくないんだ。そうさせるお前達が、悪いんだからな」


眠っている男達を見て、そんな言葉が漏れた。

そして、六人の足首に《悪事矯正リング》を取り付けていった。


取り付けが終わると、馬車から《隷属の首輪》を回収し、穴を埋めて堀の修復を済ませた。

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