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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第二章 王都行商編
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第十二話 今頃かよ!

今日は露店を開く為、朝から繁華街に来ていた。


王都のような大きな都市で露店を開くには、商業ギルドに登録している必要がある。

露店を開ける場所も決められていて、商業ギルドに使用料を支払う必要があった。

これを破った場合、違約金を支払うか牢屋に入れられてしまう。


僕は商業ギルドで、一番安い一千マネーの場所を借りた。

繁華街でも、人通りの多いとは言えない場所だ。

いい場所は金額は高いけど、それでも早くに予約をしておかないとだめらしい。


「まあ、今日は初めてで場所も悪いし様子見だね」


僕は売り場に着くと、隣りで果物を売っているおばさんに挨拶した。


「今日一日、隣りで露店を開くニコルです。よろしくお願いします」


「よろしくね。お兄ちゃん。いっぱい売れるといいわね」


「はい。よかったら、おばさんも見てください」


たわいもない会話を交わしながら、魔法袋から取り出した木の板で組んだ台を置き、見栄えを良くする為に青い布を被せた。

そして、商品であるガラスで作った五センチ程の小動物や鳥の置物と銀で作ったアクセサリーを並べた。


今回は露店らしく一般人向けの商品にし、価格帯は一千マネーから一万マネーの間だ。

値段を書いたタグも付けてある。


「まあ、可愛らしいわね。でもちょっと私には買えないわ」


「そうですか。それじゃあ、そのすもも一個と交換ならどうですか?」


「それならいいけど、あなたは大丈夫なの?」


「ええ、お近付きのしるしです。この中から好きなのを選んでください」


「じゃあ、この小さいウサギがいいわ」


そして、すももとウサギの置物を交換した。

それから取り出したした椅子に座り、前を通る人を見やりながら客が来るのを待った。

元々人通りの少ない場所なので、暇な時には隣のおばさんと話したり、この場では不釣合いな魔法書を読んで過ごした。


見てくれる人達は、かわいいだの綺麗だの素晴らしいだのわりと褒めてくれた。

しかし、王都でもお金に余裕のある人はいないのか、一日やって買ってくれた人は八人だけだった。


最後、老紳士がガラスの置物を気にいって、まとめて十個買ってくれた。

これが無かったら、本当厳しかった。

一日の売り上げは、二万三千マネーである。


「様子見だと言ってたけど、この結果はへこむなー」


露店を一日やってみて、商売の難しさが少し分かった。


店を出しても買いたい人が集まらなければ売れないし、買いたいけどお金の無い人には売れない。

値段を下げれば、売れるかもしれないけど儲けが少なくなる。

数日売り続ければ噂が広がり買いたい人が集まるかもしれないけど、売れる確証も無いし場所代も人件費も宿代も掛かる。


鑑定スキルで価格を付けたが、商売はそれだけではだめで、売り手と買い手のバランスが非常に難しい。


そんな事を考えていたら突然ウインドウが現れて、ステータスの《職業》に《見習い商人》が追加された。

『今頃かよ!』と、思わず突っ込んでしまった。

今まで商業ギルドに登録して、塩やボックスティッシュやグラスを売ったが、商人として認められてなかった事になる。


いったいどういう基準で《職業》が増えたんだろうか?

農業や狩りや採掘なんかもやっていたけど、今回が初めてだ。


ステータスをよく見ると、《職業》が《(本業)大魔導錬金術師》となっている。


「自分の中では、職業は行商人のつもりなんだけどな。どうしたら、本業が変わるんだ?」


《検索ツール》で調べたら、分かったのかもしれない。

でも、別にこだわりはないので、この時は調べなかった。


一日よその店を見ていたら、売れ筋だったのは三百マネーから五百マネーまでの肉串や果物等の食べ物だった。客も常連っぽい。

この辺で売るには、僕の商品は客層も価格帯も合ってなかった気がする。


次場所を選ぶ時は、高い場所代を払ってでも趣向品を買えるようなプチセレブがいそうな場所にしようと思う。

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