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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第七章 魔王襲来編
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第二十三話 守備的な敵対

話し合いの結果、女性陣の《貞操の危機》と子供達の《誘拐》の不安は拭えなかった。


そんな不安を抱えては、《召集令》に従えないし日常を過ごす事も難しくなった。


普通の村であれば、貴族に従うしかなかった。

しかし、僕が村全体を覆う《結界》を張れる事を、みんなは知っている。


だが、《結界》を張ってコロネ子爵達を締め出してしまえば、エシャット村は孤立し国に逆らう事になりかねない。


そんな話し合いの最中、ダンジョンに行っていた狩猟班が帰って来た。


「どうしたんだ。みんな集まって?」


「お前達こそ、帰って来るの早いじゃねーか」


「いやー、『かくかくしかじか』でよー。帰ってきちまった」


「何だと。こっちも、『かくかくしかじか』だ」


村人達は二人に注目し、会話を聞いていた。


「王都から来た奴等、とんでもねーな」


「本当だぜ」


どうやらダンジョンの方でも、一悶着あったようだ。



「父さん。今の話し、聞いてたよね」


「ああ、やりたい放題だな」


「このまま、エシャット村から手を引きそうもないね」


「ニコル、何か打つ手はあるか?」


「そうだね。まず、戦うか・守るか・逃げるか、方向性を決めないと」


《悪事矯正リング》を取り付けるという手もあるが、どうしたものだろうか?



「逃げるって、《亜空間ゲート》でか?」


「うん」


「プラーク街のニコルの家には、これだけの人数は住めないぞ」


「そうだね。だからどこか広大な土地を探して、家や畑を《移設》しようと思う」


「「「「「「「「「「えーーー!」」」」」」」」」」


僕が突拍子もない事を言って、みんなが驚いた。


「おいおい、そんな事できる訳が・・・・・」


父さんは、言葉の途中で考え始めた。


「ニコルは、できもしない事は言わない。もしかして、できるのか?」


「うん。できる」


「そうか。ニコルがそう言うなら、可能なのだろう」


「「「「「「「「「「ざわざわ・・・・・・・・・・」」」」」」」」」」


みんながそれを聞いて、ざわつき始めた。


「今の僕なら、戦って奴等を殲滅する事もできるけど、それは更なる戦いを生むような気がする。どれを選ぶかは、みんな次第だね」


能力を隠したせいで、誰かが傷付いたり今まで築き上げた生活を壊したくなかった。


この様な状況になってしまっては、みんなに《能力》を明かしてもいいと思った。



「守る場合は、やっぱり《結界》か?」


「うん。心配だったら、高い壁と堀で囲ってもいいよ。その上で《結界》も張る」


「それだけの物を作るには、時間が掛かるだろう?」


「大丈夫。今日中にはできるよ」


「「「「「「「「「「えーーー!」」」」」」」」」」


父さんを含め、再び村のみんなが驚いた。


「家や畑を持って行けるのなら、ニコルには可能なのだろう」


「「「「「「「「「「ざわざわ・・・・・・・・・・」」」」」」」」」」


そして、村のみんなが再びざわめいた。



「僕は思うんだ。《亜空間ゲート》を使って、逃げる事はいつでもできる。けど、今じゃない気がする。まして戦うのは物騒だし、守ってみない?」


「ニコルっちに任せる!」


「私も!」


「俺もだ!」


「ニコル君、やっちゃってー!」


「「「「「「「「「「ワー、ワー、ワー・・・・・・・・・・!」」」」」」」」」」


「みんなはこう言ってるけど、父さんの意見はどうかな?」


「ああ。俺も、ニコルに任せる!」


「決まりだね。それじゃこの人達、馬車に積んで外に出しちゃおう」


「そうだな」


こうしてエシャット村は、コロネ子爵と《守備的な敵対》をする方向に進んだ。



みんなに手伝って貰い、コロネ子爵の手下を村の外に出した。


そして、僕はエシャット村を囲う壁を立てていった。


高さは、五メートル。

範囲は、二キロ四方である。


壁の外側は堀になっており、ちゃんと水も引いた。

更に《結界》を張り、外部から人が入れないようにしてある。


これらを、五時間程で仕上げてしまった。

みんなはそれを見ている間、呆気にとられていた。


「まさか、本当に一日で完成するとは」


「ニコル君、凄いわ」


「これなら、安心ね」


「「「「「「「「「「ワー、ワー、ワー・・・・・・・・・・!」」」」」」」」」」


完成して間も無く、みんなから歓声が上がった。



「人が来ないなら、《亜空間ゲート》使ってもいいよな?」


「リートガルド様達が来た時の為に、設置場所を目立たない場所に移した方がいいね」


「頼んだぜ、ニコル」


「分かったよ、サジ」


この後、スーパーの裏に小屋を設置しする事になった。


そして、『リートガルド様達は、僕がいる時しか通さない』と、取り決めをした。



「ところで、父さん。門番はどうしようか?」


門の扉は鉄製で、堀には跳ね橋が掛かっていた。

そして、門の両側には見張り塔が建っている。


「そうだな。リートガルド様達も、来るしな」


父さんは、村人達を見渡した。


「ニック。狩猟班の若手に任せたいんだが、いいか?」


「俺達?」


「戦闘慣れしていて、いざという時対処できるだろ。交代でやってくれ」


「しょうがないな」


ニックさんは面倒臭そうにしながらも、引き受けてくれた。

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